植野大輔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
未来を自分事化すること、センスメイキングを通して過去ではなく自分が未来を創ることを臨場感を持って突き進むべき。
これがトランスフォーメーション思考であり、30年以上先に実現する現状とは全く異なるような世界観=MTPが今後個々人に必要であると説く。
ありたい未来を意思を持ってイメージして、その状況から現在を捉え、まず違和感を頂き、変革テーマとして実行をしていく。
そこで必要な事は、その夢を大きく捉え、人間らしさの視点で世の中をどう後押しするか。
夢が叶った後に何が生まれ、世界にどういう変化を自分は起こしているか。その際に将来、隣には誰と組んでいるか。結果、MTPが実現された時、何のために生きていると実感出来るか。
未来思考を繰り返しイメージ出来ればMTPはより強固になる。
併せて技術変化の変曲点を迎えそうなところを探して、それに乗る感覚が必要。
1人では実現が難しい中、組織内にMTPを浸透させる上で、OODAサイクルで未来の観察から始め、方向づけを決め実行する。
とにかく過去の結果や現在のPDCAの積み上げだけでは無い、有りたい未来に夢を持ち、行動する思考の重要性が書かれた良書。 -
Posted by ブクログ
自分が未来人になった感覚で、現在を眺めてみる。
これも一つの想像力だと思うが、SFプロトタイピングの手法に近いかもしれない。
フューチャリストと呼ばれる人たちがいるが、彼らがやっていることはまさにこれだ。
もし未来に生きている人たちが、現代にタイムスリップしてきたらどうなるのか。
おそらく違和感しか持たないだろう。
「なぜ、こんなに不便なまま放置されているのだ」
それは、現代に生きている我々が、過去にタイムスリップをした時のことを考えてみればいい。
おそらく、同じことを感じるはずだ。
1000年前、100年前は、当然生活が違うことは想像できるだろう。
それでは10年前だったらどうなのか。
中年以上の年代の人にとっては、10年はほんの少し前の話。
自分自身も確かにそこで生活をしていたから、当時の時代のことを思い出してみればいい。
リモート会議は当たり前ではなかったし、当然生成AIは一般的には存在していなかった。
(コロナ禍の2020年にリモート会議が浸透し、Chat-GPTが一般にリリースされたのは2022年11月だ)
20年前になると、スマートフォンは発売前の時代だ。
(日本でのスマホ発売は2008年だ)
この感覚を頭に刻むことが重要なのだと思う。
今、スマホも生成AIもリモート会議も社会からなくなったら、どれだけ不便なことか。
ここで頭を切り替えてみる。
自分が未来人として、現在にタイムスリップしたら、社会がどう見えるだろうか。
未来の思考回路になればなるほど、不便を放置したままでいることが、しっくりこなくなる。
これこそが、これからの未来を生きていく上で、最も必要な思考法だというのだ。
単に想像力が豊かな人というだけではない。
未来の当たり前を肌感覚として持っているからこそ、現代の日常に対して強烈な違和感を抱く。
「ここを改善せねばならない」「何とかせねばどうしようもない」という衝動に駆られ、実際に行動を起こしてしまう人が存在する。
こうした変革のエネルギーこそが、今まさに求められていると思うのだ。
トランスフォーメーションというと、DX(デジタルトランスフォーメーション)が有名だが、今ではあらゆる変革を「〇〇X」で表現するようになった。
CXであれば、コーポレートトランスフォーメーション。企業体の変革のことだ。
IXであれば、インダストリアルトランスフォーメーション。
モノづくりなど工業分野の変革である。
最近では社会全体を変革しようと、SX(ソーシャルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)という言葉も使われ始めている。
まったく異なる発想で、根本から考え直して作り変えてみる。
あらゆることが、そうした段階に入っていると思う。
しかしながら、頭では理解していても、身体はすぐには反応しない。
人間には今まで生きてきた歴史がある。
長年積み重ねてきた経験や自負もある。
それを根底から作り変えることは、相当に勇気がいることだ。
アンラーニングやリスキリングという言葉は、カタカナのために柔らかく感じてしまう。
しかし、伝えたい内容は非常に厳しいものだ。
「今までのものをすべて捨てろ」、そして「まったく新しい技を習得せよ」ということに他ならない。
人間にとって過去を捨てることは相当に難しいにも関わらず、そうしなければ生き残れないという。
これは部屋の片付けでも同じ。
今までの思い出があればあるほど、なかなか物を捨てられないものである。
しかし、冷静に考えてみると、本当に大事な思い出なのかは怪しいところだ。
極端に言えば、大災害が起きて着の身着のままで逃げるとしたら、何を持っていくか。
その本当に大事なもの以外は、意外と捨ててしまっても生活に影響がないものだと思う。
私の両親も高齢であるが、実家を片付けようとして物を捨てようとすると、全力で止めてくる。
思い出を捨てたくないという思いと、もったいないという思いがあるのだろう。
しかし、長年使っていないのだから、もったいないも何もない。
自分の過去に積み重ねたスキルや考え方を捨て去るのも、結局はこれと同じことではないだろうか。
絶対に使わない。未来には役に立たない。
それなのに「もったいない」と思って手放せない。
これが、これからの人生を大きく分けることを知らずに、古い考え方に凝り固まってしまっている。
それではダメなのだ。
伝統を守ることも重要で、歴史のすべてを捨てろとは言わない。
しかし、自分の凝り固まった思考は、大胆に入れ替える必要がある。
まさにトランスフォーメーションせよ、ということだ。
芋虫が蛹になり、やがて蝶になる。
これが生物学でいう「変態(メタモルフォーゼ)」であるが、これこそがトランスフォーメーションの本質なのだ。
人間は外見こそ急激には変態できないが、頭の中の思考回路を変えていくことは、今すぐにでもできる。
著者が挙げるマレーシアのGrabの例は、非常に分かりやすい。
配車アプリや電子決済が当たり前の環境で暮らしている人が、たまに日本に帰国すると、その不便さに心底びっくりするという。
タクシーを拾うのにも手間取り、現金払いで時間がかかる。
この違和感こそが、新しいビジネスの種になるのだと思う。
しかし、ほとんどの人はその環境に慣れきってしまっていて、違和感を感じ取れない。
日常の当たり前を疑うためには、まず一度、未来の環境にどっぷりと没入してみる必要がある。
そして本書では、変革を駆動させる核として「MTP」を紹介している。
Massive Transformative Purpose。
「途方もなく巨大な変革の目的」のことだ。
積極的な変革の目的をどうやって持つか。
単なる目先の売上目標や数値目標ではない。
将来の大きなビジョンをどうやって示していくかが、非常に大事になってくる。
情熱を持って他人に示していくことが、自分の思考回路を周囲に伝播させる強力な手段になり得るのだ。
一人ひとりの熱量が重なり合うことで、硬直した組織や社会も、少しずつ動き出すのではないだろうか。
(2026/2/8日)