冬矢冴のレビュー一覧

  • 鈍色の奴等

    Posted by ブクログ

    この作者、何者なのか?
    暴力に次ぐ暴力、ロスジェネ世代の諦念、SM好きなら舌舐めずりして悦ぶ様な女王様からの罵倒シーン。
    過激なシーンのオンパレードなのに、作者は新人に有りがちな自身の筆に酔う事もなく、極めて淡々とした筆致で一つ一つの描写を圧倒的な力で描き切っている。
    末恐ろしい作家が出てきたもんだ、素顔が判らない、男か女かも判らないが小説を読めばその「人」が見えてくるのは自明の理だ。この短さも己の性に合っていた、我が持論は「世に出回る大多数の長編は蛇足の宝庫」である。

    0
    2022年02月27日