【感想・ネタバレ】鈍色の奴等のレビュー

あらすじ

家族との軋轢を抱え、SMの女王を生業とする女。
残酷な“絆”に翻弄され続けた彼女の結末は、救いか、地獄か。

夏海は裕福といえる家庭に育った。だが、エリートの父は姉弟に教育虐待を加えた。
逃れるようにドロップアウトした夏海は現在38 歳、SMの女王として生計を立てている。
同居人の自称俳優の時生は、酒に酔うと「社会不適合者が」と詰りながら夏海を殴る。
屑のような男との暮らし、精神を病んだ弟から連日届く呪詛のようなメール―。
果てのない悪夢のような毎日に、弟の自殺の報せが届く。

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Posted by ブクログ

この作者、何者なのか?
暴力に次ぐ暴力、ロスジェネ世代の諦念、SM好きなら舌舐めずりして悦ぶ様な女王様からの罵倒シーン。
過激なシーンのオンパレードなのに、作者は新人に有りがちな自身の筆に酔う事もなく、極めて淡々とした筆致で一つ一つの描写を圧倒的な力で描き切っている。
末恐ろしい作家が出てきたもんだ、素顔が判らない、男か女かも判らないが小説を読めばその「人」が見えてくるのは自明の理だ。この短さも己の性に合っていた、我が持論は「世に出回る大多数の長編は蛇足の宝庫」である。

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2022年02月27日

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