コリン・ディッキーのレビュー一覧

  • ゴーストランド

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    幽霊話は不動産をめぐる抗争から、富裕な老未亡人に対する反感と不安から、奴隷たちの行動を制限する目的から、そして人目につかない悲しい歴史を保存する必要から生じる。幽霊話とは象徴であり喩えなのだ。それを語ることによって人々は別のことを、もっと生々しい現実の問題を語っている。貧富の差、階級差、そういった現実の深刻な問題が幽霊話にも反映している。幽霊は圧倒的に白人が多く、黒人が幽霊として語られるケースは極端に少ないという。幽霊話にも人種問題というアメリカ社会の一面が潜んでいる。

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    2025年11月08日
  • ゴーストランド

    Posted by ブクログ

    全米各地の幽霊話を、霊の実在を問うのではなく、何故そこにそのような物語が成立したのか、という観点から掘り下げていくという内容が面白かった。“言い伝え”と“事実”は恐ろしい程に乖離するのだということを知る。日本各地の都市伝説も、同じようにアプローチしてみたら、これも面白い結果になるのではなかろうか。

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    2023年09月13日
  • ゴーストランド

    Posted by ブクログ

    アメリカの幽霊と心霊現象の「背後」「側面」に迫った一冊。幽霊の実在を問うのではなく「どうしてそこに幽霊がいる・心霊現象が起きる(もしくは起きていない)といわれるのか?」に切り込み、そこに(副題にある)「アメリカ史」を見る…という視点はとても面白かった。
    なぜ幽霊屋敷は誕生するのか、先住民と土地にまつわる噂、奴隷制度の悲惨な歴史と幽霊が「出ない」理由、ゴーストツアーに群がる人々、幽霊話と犠牲者とその遺族、精神病院・墓地の変遷と幽霊がうまれるタイミング、人種差別に利用される心霊、IT時代・自動化時代の新しい幽霊観…。
    「火のないところに煙は立たぬ」。
    単に「廃墟だから」「事故物件だから」「なんか出

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    2023年06月12日
  • ゴーストランド

    Posted by ブクログ

    「幽霊」とは何か、あるいは幽霊譚、取り憑かれた場所はなぜ生まれるのか。そこには光の当たるその土地の「正史」に隠された、しかし忘れ去られることをよしとしない陰の歴史が眠っている。類稀なる着眼点でもってアメリカ各地の幽霊出没地をめぐり、その陰に語り継がれる物語を紡ぎ出す。
    大変興味深い一冊。
    ただまあ難を言うとちょっとレトリックが多すぎる気はしたのでそこは文体の好みが分かれるかなあ。

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    2022年09月06日