ギャングの息子と銀行員の息子、全く異なる出自を持つ二人が歩んだ三十年間を描くイタリアの文学作品。帯の惹句にある通り、二人が育む友情物語かと思いきや、銀行員の父親が矢鱈と出過ぎるので、これは一体何ぞや…?と思いながら読み進めていくと、物語の後半で漸く合点がいく。父と息子の関係性も今作を彩る重要なファクターとなっている様だ。二人が辿る数奇な運命は、私的には何処かポール・オースターの小説を連想させる部分もあったりする。原題の「アメリカ人」だとタイトルの意図が伝わり難いので、この邦題が確かに一番分かり易いのかも。