ケイトリンマレンのレビュー一覧

  • 塩の湿地に消えゆく前に

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ボードウォークというアイデンティティを持ち、かつてカジノで栄えた町、ニュージャージー州アトランティックシティ。
    今やかつての精彩は消え、多くのカジノ、ホテルが閉鎖されゆく中、しがみつくように残っている商業施設と共に冴えない日々を送っている町の人々。

    この物語が焦点を当てるのは、この寂びれた町に人生を翻弄され、泥沼にはまり込んでしまった、あるいははまりそうなところを何とか抜け出そうともがいている女性達。

    町がら、カジノでのカクテルウェイトレスとして若さを売ることで対価を得ることにも華やかさや誇りを持てた時代があったが、次第に町自身の低迷と共にそうした者達の地位は下がり、またある者は年を重ねる

    0
    2022年03月05日
  • 塩の湿地に消えゆく前に

    Posted by ブクログ

    ニュージャージー州アトランティックシティを舞台にしたシリアル・キラーもの。とは言え、そもそも被害者たちは発見されておらず、誰もこの事件に気づいていない。ただ一人、占い師のクララを除いては。彼女は他者の思いをビジョンとして受け取るサイキックで、この能力を基に話は進む。主な語り手はクララと、夢破れて失意の中この街に戻ってきたリリーだ。
    犯人探しを目的にすると拍子抜けする(そもそもそこに力点はない)が、衰亡した都市に漂う無力感、そこに集う疲弊した人々の姿で読ませる。
    2021年エドガー賞最優秀新人賞受賞作。

    0
    2022年02月05日
  • 塩の湿地に消えゆく前に

    Posted by ブクログ

    モーテル裏の湿地に、ふたりの女の死体が並んでいる。という冒頭から始まるのだが、犯人に関しての描写がことごとく少ないというか無いに等しい。

    主に16歳の少女クララとカジノホテルのスパで働いているリリーのふたりの目線で描かれている。

    クララは、叔母のクラブの稼ぎと占いの店で凌いでるのだが、家賃を滞納し、ついには叔母の段取りで、男の相手をすることになる。
    もともとクララは、人が心にいだいている強い念を垣間見る力を持っていたのだが、次第に不気味で恐いビジョンを頻繁に見るようになる。

    ふたりの死体から徐々に増えていく死体。
    彼女たちが、どう関わっていくのか…
    そして謎の行動をする清掃員のルイス。

    0
    2022年04月21日
  • 塩の湿地に消えゆく前に

    Posted by ブクログ

    ニュージャージー州アトランティックシティ。叔母のデズとともに暮らす少女クララは、他人の強い思いをビジョンとして視ることができる能力を持っていた。その力を使った占いで生計を立てていた彼女は、ある日行方不明になった少女を捜し出してほしいという依頼を受ける。その日を境に、女性たちが傷つけられる不吉なビジョンを頻繁に視るようになったクララは、カジノホテルのスパ施設で働くリリーの協力を得て彼女たちを救おうとする。だが犯人の魔の手はクララたちにもおよび……。

    ミステリというよりも、普通の小説の味わい。

    0
    2022年04月14日
  • 塩の湿地に消えゆく前に

    Posted by ブクログ

    アメリカのティーンエイジャーを含む若い女性の悲哀が描かれている。タバコや酒そしてドラッグを普通に経験し、金を得る手段として手っ取り早く売春で稼ぐ、そこに男につけ込まれ悲しい運命を辿る。
    この小説は犯罪というサスペンス性より若い女性達の心理面が丹念につづられ、手を差し伸べて救ってあげたい同じ女性としての著者の想いが伝わる。
    読み進めていつ高揚感が来るのか分からず、根気よく読んでそのまま最後に至ると言うふうに、読み終えてなる程ね、と言う感じで終了した。

    0
    2022年02月24日