ヴィトルト・シャブウォフスキのレビュー一覧

  • 踊る熊たち:冷戦後の体制転換にもがく人々

    Posted by ブクログ

    この本は旧共産圏のブルガリアに伝わる「踊る熊」をテーマに、旧共産圏に生きる人々の生活に迫る作品です。

    この本もすごいです・・・!

    ロシアに関する本は山ほどあれど、旧共産圏のその後に関する本というのはそもそもかなり貴重です。

    しかも、その地に伝わってきた「熊の踊り」というのがまさに旧共産圏から「自由」への移行劇を絶妙に象徴しています。

    「踊る熊」を通して私たち自身のあり方も問われる衝撃の作品です。これは名著です。ぜひぜひおすすめしたい作品です。

    0
    2024年08月19日
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓

    Posted by ブクログ

    「これでもうわかっただろう、大統領のために働くというのがどういうことか」

    この言葉に集約されている。
    大変面白かった。同じ著者の「踊る熊たち」も素晴らしい本だった。ポーランド人である著者だからこそ書けた内容だと思う。

    0
    2024年04月24日
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓

    Posted by ブクログ

    独裁者に気に入られつつも、いつ殺されるか分からない恐怖に怯える

    独裁者のこどもが腹痛をおこし、急ぎ病院に連れて行く話や、仲のよかった友人が実は自分を密告していたり

    もう小説のようなエピソードがたくさん

    一方で独裁者の優しい一面を語る料理人もいる
    決して歪んだ認識というわけでなく、おそらく正しい一面なのだろう

    そういう点も含め素晴らしい
    ハンターハンターの蟻編のストーリーみたいだ

    0
    2023年08月12日
  • 踊る熊たち:冷戦後の体制転換にもがく人々

    Posted by ブクログ

    今年一番、すすめたい本。

    前半はブルガリア・ロマの熊使いの伝統の終焉の、人と熊と。自由は社会の設定ではないのだと感じる。しかし社会の設定は自由な社会を設定しようとする。これは社会の過渡期なのだろうか?そう考えるよりも、自由は能力のように上達させるものなのだろう。

    日本に限らないと思うが、自由は置かれているのに閉塞感が強い。いや、足枷はないがルールがある。社会なら仕方がない質のものはあるだろうけど、問題なものもあるだろう。ただ、案外に好きにすればと放任されている。こういった暮らしを知ると。例外は一旦置いといて。

    便利なのだ。道具だけでなく仕組みも。広い意味での道具が便利で、扱いに注意しなく

    0
    2022年06月19日
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓

    Posted by ブクログ

    ファーストインパクトは著者のポートレート写真だった。
    「一度料理人になりかけた」というジャーナリストの佇まいは、満面の笑みでもカバーしきれていないほどの強面。こんな人物に訪ねて来られたら、嫌でも口を割らねばなるまい…。
    だが本書でインタビューを受けるのは「独裁者」に仕えていた元料理人たち。強面の来訪とは比べものにならないほど、恐ろしい瞬間に立ち会ってきたはずだ。(何より貴重な生き証人である)

    「世界の運命が動いたとき、鍋の中では何が煮立っていたのか?[中略](料理を)見張っていた料理人たちは横目で何に気付いただろう?」

    ポートレートを皮切りに、そこからは本の構成に魅せられていった。
    著者は

    0
    2024年05月24日
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    サダム・フセイン、イディ・アミン、エンヴェル・ホッジャ、フィデル・カストロ、ポル・ポト。
    独裁者たちが何を食べてどんな顔を見せていたかを、彼らの専属の元料理人たちが語っている。
    彼らは今もあまり過去を喋りたがらない。食事で何か問題が起きれば自分の命が危ないというギリギリの現場だったようだ。当時一般の人々よりは良い暮らしをしていても、独裁者の身近に仕えていただけに色々と危険も多く、周囲の人に過去を知られることも避けたいと考える人がいてもおかしくない。
    印象的だったのはイディ・アミンの料理人。料理人というより職人のような雰囲気だった。料理の腕と安全性と信頼がすべてであり、失敗は許されない。読む限り

    0
    2024年05月23日
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    かつて独裁者だった人物、イラク共和国のサダム・フセイン、ウガンダのイディ・アミン、アルバニアのエンヴェル・ホッジャ、キューバのフィデル・カストロ、カンボジアのポル・ポトの料理人のインタビュー集。

    料理人になった経緯と仕事をしていたときの心理と主人の失脚後の人生は様々。大体は「いつ捨てられるのか、いつ殺されるのか」と怯えながら仕事をしていた。

    その中で一人だけ異彩を放っていたのはポル・ポトの料理人のヨン・ムーン。インタビューされた人間では唯一の女性。彼女はポル・ポトに心酔しきっていた。

    料理人以外の現地の人間にもインタビューを行い、独裁者が当時現地でどう思われていたのか詳しく描かれている。

    0
    2023年06月21日
  • 踊る熊たち:冷戦後の体制転換にもがく人々

    Posted by ブクログ

    前半が熊使いにまつわる話、後半は共産主義から資本主義に移行して戸惑う人々の話。後半の章ごとに冒頭に差し込まれる前半の言葉が心模様を端的に表している。100%の社会など存在しない。ソ連解体に伴う意識の変化を通じ、社会の成り立ちの基本を見直せる良書。

    0
    2022年02月14日
  • 踊る熊たち:冷戦後の体制転換にもがく人々

    Posted by ブクログ

    鎖の付いた鼻輪を付けられて、男の指示に従って二足で立ち上がり、見せ物として”踊る熊”。動物虐待に他ならないこの伝統は、ブルガリアにおいてかつて脈々と受け継がれていたー過去形を使ったのは、ブルガリアが共産主義から資本主義社会へ展開した後、動物愛護団体によって全ての熊が庇護され、この伝統は消滅したからである。

    では、この熊たちは庇護され、幸福な生活を送っているのかと言えばそうではない。生まれてから長きに渡って鼻輪で拘束された熊たちが自由を味わったとき、自由の重さに耐えきれなくなる。そして熊たちはすっくと立ち上がり、鼻輪で拘束されていたときと同様に、踊ってしまうのだ。

    本書は、ブルガリアのような

    0
    2021年06月06日
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓

    Posted by ブクログ

    独裁者の身近にあって、その食事を作る人たちの証言をまとめた話。
    独裁者達の孤独、独裁者達に仕えることの緊張感が、どの話にも濃密に漂っていました。

    0
    2024年01月07日
  • 独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    独裁者の料理人
    厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓

    著者:ヴィトルト・シャブウォフスキ
    訳者:芝田文乃
    白水社
    *著者はポーランド人ジャーナリスト

    サダム・フセインは何万人ものクルド人をガス処刑するよう命じた後、何を食べたのか?200万人近いクメール人が飢え死にしかけていたとき、ポル・ポトは何を食べていたのか?フィデル・カストロは世界を核戦争の瀬戸際に立たせたとき、何を食べていたのか?

    こうした問いに答えを出すため、著者は独裁者に仕えた料理人を探した。4年間で4つの大陸を旅し、フセイン、イディ・アミン(ウガンダ)、シェチェ・パーレ(アルバニア)、カストロ、ポル・ポトの5人に仕えた、6人の料

    0
    2023年09月14日