新名智のレビュー一覧
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面白くて一気に読めた。
怪談師の三咲と同居人のカナちゃんは、それぞれの理由から、人が本当に死ぬ怪談を探している。
ある日「釣ると死ぬ魚」の噂を聞き、その取材を始めるが・・・
表紙絵に遠田志帆さんを起用し、帯に綾辻行人先生のコメントがあるので、「Another」のような超常現象系ホラーミステリーかと思ったが、怪談のルーツを追っていく形式で物語が進み、どちらかというと民俗学ミステリーに近いのかなと思った。
怪談を追跡するにつれて、三咲とカナちゃんの心情の変化、心の成長も読み取れ、青春群像劇のようにも思える。
最後の方の三咲のセリフに
「偶然と呪いの違いって、本当はない気がする」というセリフが印象的。
何か目的や因果関係があって人は生まれてくるものではないということにも通じる考え方だなと。
不可解な現象に理由や論理的説明をしようとするものが怪談であるし、呪いは受け取る側の心の問題だという考え方は、京極夏彦先生の文脈を受け継いでいるのかなとも思った。 -
Posted by ブクログ
この川を辿った先に虚ろを満たすなにかがあるのだろうか。
すごく出来の良い長編怪談を読ませてもらって大満足です!
ホラー×ミステリ、というより、ミステリの手法で書かれた怪談噺と呼びたい印象。川を辿って震源を探す設定がワクワクを誘い、あいだに入る各怪談も"らしく"て実話怪談好きとしても満たされる。
怪談、登場人物が無駄なく繋がっていく気持ちよさはミステリの快感であり、このふたつのジャンルの相性の良さを再確認した。
三咲とカナちゃんのキャラクターが特によく、幸せにはならなくても、この先も良い関係を結んでいけたらと願う。
怪談語りするのも好きなので、作中で怪談シーンが来るとそこだけ朗読で読んでみたりしました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今時のネット社会がテーマの短編集。
七人の若手作家達が書いているのだけど、その中に若手ではないが^^自分の推し作家である杉井さんが入っていたのでそれを目当てに読み出したのだけど他の作家さんのお話も面白かった。
題材的にはVtuber、tiktok、マッチングアプリ、押し活などいかにもなもので、内容的にはミステリあり青春ものありサスペンス調のお話ありとバラエティがあって、なかなか面白かった。
個人的にはtiktok絡みの青春ものが読後感が良くて好き。
杉井さんのお話は「世界でいちばん透き通った物語」の後日談なのだけど改めて霧子さんがホームズで燈真くんがワトソンなのだなと納得した。 -
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ネタバレこの現代に潜むゾクゾク感がたまらない!
SNSはやっぱり恐くて、でもこんなに温かいものだったなんて、今まで知らなかったなぁ。
特に好きな話は、
自分の娘がパパ活?をしている可能性があり、それを止めるべく取る父の行動に鳥肌が止まらない、結城真一郎「ヤリモク」。
YouTubeの配信に熱を注ぐ変人な同級生を裏で支える主人公。果たして彼女たちの行く末はー。佐原ひかり「あなたに見合う神様を」。
PCを使えない上司の指導係になり、不満を募らせる女性。その女性はその腹いせにその上司の管理下にあるタイムカードの数字をいじり、自分の残業時間をいじるというゲームを行っていた。最後の彼女の言動にに思わず胸を打たれる、石田夏穂「タイムシートを吹かせ」。
現代は、数多の嘘が溢れている。
その嘘に振り回されることもある。
でもその中で救われることがあることも
忘れたくない…
少しずつ人を傷つける嘘や言動が減って、
誰かを温かい思いで包むような
SNSの世界で溢れるといいなぁ
p.220 暴力は…(あなたに見合う神さまを)
「人を支配するもの、人の幸福を妨げるものはおしなべて暴力よ」
p.238 最強の人(あなたに見合う神さまを)
「すごい。最強じゃん、この人。
神さまの首なんて、
いつでもすげ替え可能ってことでしょ?
すげ替えて、自分を磨き続けるってことでしょ?
そんなの、もう、一生、幸せじゃん。」 -
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えっ普通に面白く読めたんだけど。
ここの表かと俺の感覚合わないのかな?
怪異の怖さみたいなとこにはあまり重点を置いてないというのは途中からわかったので、たいして怖くないというところはそんなに気にならなかった。
呪いを解くホラーミステリという趣で、リングと同じようなもんだよね、と。
呪いが当然に存在する世界観にも慣れてしまえば違和感はなく、遭遇する怪異の演出が控えめな分だけかえってリアリティーがある。
呪いのルールの解析と切ない思い出や痛い過去のリンクも論理的で必然性があり、その辺とってつけたような、動機が説明できないお話とは異なる。ジュブナイルとして上出来。
最後だけ唐突すぎるので、そこはちょっと勘弁してよと思った。 -
Posted by ブクログ
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画面の
向こうに
隠された
秘密と嘘
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仕事帰りの書店で見つけて購入しました。
「世界でいちばん透きとおった物語」のスピンオフがあるということで。
7作品中、6作品が平成生まれの作家さん。
時代感じます。笑
昭和生まれの私…おののきました。笑
「かわうそをかぶる/朝倉秋成」
人気VTuberへ楽曲を提供していた音楽クリエイターが殺された。
犯人は、VTuberの熱心なファン。
自分はあてがわれた役を演じてるだけなのか。
「まぶしさと悪意/大前粟生」
Tipshotというショート動画SNSでバズって神格化された女子高生。
彼女とのコラボ、動画目当てで入学してくる学生たち。
そんなときに彼女が突然動画投稿をやめた。
教師と彼女とのやり取り。
「霊感インテグレーション/新名智」
呪いのアプリ。幽霊から届くというプッシュ通知。
本当に幽霊は存在するのか。
「ヤリモク/結城真一郎」
アプリで知り合った女性。彼女を持ち帰る。
妻子ある身でありながら、やめられない理由。
「あなたに見合う神様を/佐原ひかり」
少し変わっている、痛いと思われそうな権藤さん。
彼女は、大好きな動画クリエイターwataruのアクスタを持ち歩き、祭壇をつくる。
大好きなwataruを感じたくて、GONチャンネルを始める。
好きなものにまっすぐな権藤さんと、
家族不和で父親から暴力を受ける私。
権藤さんを馬鹿にする教師。
権藤さんと私は学校の外で出会い話すようになる。
「タイムシートを吹かせ/石田夏穂」
私は、パソコンのできないおじさんたちのフォローをしている。色々教えている、サポートをしている。
だから少しだけタイムシートを吹かせる。
「君がため春の野に/杉井光」
未だに動く亡き夫のアカウント。
その謎に隠された秘密と嘘。
どれもこれも「今」って感じで、
じゃあ心に何が残る?と言われると
まーまー私も年取ったなあと思わされます。苦笑
転職当時の余裕のないなか、
ただただ面白いという気持ちで読んでました。
好きだったのは、
「まぶしさと悪意」「あなたに見合う神様を」です。
どちらも女子高生が主人公なのですが、
成長していく自分と周囲の環境で、
挫けそうになりながらも進もうとする感じが。
私が高校生のときはまだスマホではなく、
ドコモのiモード主流とかでしたが、
とにかく小さい機械のなかで繋がれる感覚は
今思えば依存していたかもしれないです。
そう考えると今の世代は、どうなんだろう。
スマホのない人生なんて考えられないんだろうな。
青い空に独りぼっち。
上を見上げず、スマホを見下ろす。
読み終わった後に装丁を見ると、
何とも言えない気持ちになります。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ⚫︎感想
エンタメの短編集。全体を通して面白かった。
石田夏穂さんの作品全部読みたい!という動機で読んだため、最初に読んだのは石田さんの「タイムシートを吹かせ」。石田ワールド全開、しかもちょっといい話で終わっていて良かった。レジェンドはレジェンドたる歴史を持っていた。
「かわうそをかぶる」浅倉秋成さん。「六人の嘘つきな大学生」以来。若者を描くのが上手いんだな〜と思ったし、今作は女の子のVtuberが主人公なので器用さを感じた。本音と建前と本当の自分ってどこ?…怖くて、でも、こんな世界もあるのかなぁと思える、漫画みたいに画像が浮かんでくる作品だった。
「まぶしさと悪意」大前粟生さん。TikTokと思われる動画が有名になる女子高生の話。若さという眩しさが光る。
「霊感インテグレーション」新名智さん。二つのアプリを巡る今どきなお話。短い中にスリリングな要素があり、一気に読めた。
「ヤリモク」結城真一郎さん。あー、なるほど!そういう展開。
「あなたに見合う神さまを」佐原ひかりさん。権藤さん最高。おもしろかった。青春もの。
「君がため春の野に」杉井光さん。ミステリー仕立てのお話。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
『世界でいちばん透きとおった物語』の杉井光、『六人の噓つきな大学生』の浅倉秋成、『#真相をお話しします』の結城真一郎など、最注目の作家が集結!“今を生きる私たち”をリアルに切り取る7つの物語!
彼らのその後が読める。本書のための書きおろし! 『世界でいちばん透きとおった物語』スピンオフ「君がため春の野に」収録!
これが当たり前になった時代で、あなたならどう生きる?
信者に人生を壊されたVTuber、バズって神格化された女子高生、呪いのアプリの謎に迫る調査員、娘に似た女性をマッチングアプリで探す男、学校の机に「推し」の祭壇を作る彼女、上司を騙して残業代を増すOL、未だに動く亡き夫のアカウント。それぞれの物語に隠された、生きていくための秘密と噓。ベストセラー『世界でいちばん透きとおった物語』のスピンオフも収録した、新進気鋭の作家たちによる現代のリアルを切り取る7つの物語。
かわうそをかぶる(浅倉秋成)
人気音楽クリエイターが殺された。犯行動機は『VTuberを守るため』。彼と交際の噂があったVTuber雨露ゆゆは失意の中、事務所に言われて釈明配信の準備を進める。身も蓋もない噂だけで人生を壊されたゆゆは、これまでの人生が走馬灯のようにフラッシュバックしてくる。
まぶしさと悪意(大前粟生)
信じられないだろうが、ショート動画を撮りたくてうちに入学してくる子はいる。理由は赤羽海荷がいるから。動画がバズり、カリスマ女子高生として崇められた彼女は、ある日を境に動画を投稿しなくなった。かつて副担任だった私は彼女の様子が気になり、動画を撮らなくなった理由を探ろうとする。
霊感インテグレーション(新名智)
訳あり社員が集まる会社に入社した私は、「幽霊からプッシュ通知が届くらしい」といった報告が多発している通称“呪いのアプリ”の調査に乗り出す。どこにも不具合が見つからない中、ひょんなことから解決の糸口を見つけ出すのだが……。
ヤリモク(結城真一郎)
三十二歳。独身。そう彼女は信じているが、実際は四十二歳。妻子持ち。我ながら罰当たりな男。マッチングアプリでお持ち帰りを企んでいる男は、今回も小柄でショートカットの女性と出会い、いつものテクニックで目的を果たそうとする。
あなたに見合う神さまを(佐原ひかり)
権藤さんの机には、ダンス系ユーチューバーWataruさんのグッズを奉っている祭壇がある。クラスでは浮いた存在の権藤さんだが、ある日、日課の早朝ランニングをしていた私は、推しのダンスを練習している権藤さんを見つける。
タイムシートを吹かせ(石田夏穂)
月末。上司のアカウントにログインをして、今月の食費分だけ残業代をかさましする。それは私と会社を繫ぐためのもの。パソコン音痴でパワハラは当たり前、前時代的な上司、通称“レジェンド”の介護をしている私は、どうにかこうして会社を辞めずに生きている。
君がため春の野に(杉井光)
前作『世界でいちばん透きとおった物語』を書きあげた僕は、「SNSがテーマ」のアンソロジーに短編を依頼される。無事書き上げた僕は打ち上げで、亡き夫のSNSアカウントが未だに動いているという相談を受ける。そこに隠された秘密と噓とは。