古市晃のレビュー一覧

  • 倭国 古代国家への道

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    古市晃『倭国 古代国家への道』(講談社現代新書)は、「古墳の巨大化=ヤマト王権の一気の中央集権化」という通俗化しやすい図式をいったん留保し、5〜6世紀の政治秩序を連合的な枠組みとして捉え直すことを主眼に据える。王統を単一の連続体として前提せず、周縁王族や有力首長の並立、海上交通・交易の結節点としての大阪湾岸の位置づけを通じて、権威(称号・儀礼)と実務(物流・軍事・対外交渉)の分有という見取り図を提示する点が特徴である。

    史料の扱いも慎重で、記紀を「史実の台本」として直読するのではなく、編纂の意図や叙述の効果を意識しつつ、風土記的伝承や地域史、考古学的知見を重ねて古い位相を推定するという手順が

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    2025年12月22日
  • 倭国 古代国家への道

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    古事記・日本書紀の伝承的記述を読み解き、謎が多いとされていた5、6世紀の列島の王権や地域社会の実像に迫った労作。これまで記紀の記述は後世の創作で信用できないとされ、もっぱら考古学的遺物の検証に重点が置かれていたが、本書を読むと記紀・風土記の世界に示される地名・人名などをたどることで権力の移行や支配体制確立の実態が浮かび上がってくる。

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    2022年06月12日
  • 倭国 古代国家への道

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    学校では、縄文時代を習って、弥生時代を通過するとすぐに聖徳太子が登場するのですが、個人的には弥生時代と聖徳太子の登場までの期間に何が起きていたのかがきになっています。
    本書ははっきり言って、「古事記」や「日本書紀」などの基礎知識が必要なので、読みにくい本ですが、福岡や瀬戸内海の地域でも、社会が構成されていたことがわかる『目からウロコ』の1冊です。

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    2021年10月09日
  • 倭国 古代国家への道

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    古代日本における倭国の国家形成過程を検討し、その特徴を明らかにする事を目指す内容。王名を起点とした王宮の分布と特徴の考察、王族の存在形態と権力構造の分析、五世紀後半を画期とした国家体制の変容といった論証が興味深い。

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    2023年06月21日
  • 倭国 古代国家への道

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    5-6世紀の古墳時代の歴史を資料の分析から読み解いた本。允恭天皇系と仁徳天皇系が血を血で争う抗争を続ける中で、葛城・紀・吉備が海人と連携し、渡来人を招聘し、海外交易を独占する形でそれに対峙する構造を読み解いた。それが雄略天皇時代に征伐され、朝鮮半島での危機と相まって継体天皇時代に中央集権化が強まったとしている。倭の五王の比定がどうなるのか、倭がどうして日本になるのかなど不明点は多いが、一定の説明にはなっていると思った。但し、新書にしては専門的すぎる部分もあり、読み進めるのに苦労した。邪馬台国から倭国への空白もだれか読み解いてほしい。

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    2022年03月27日
  • 倭国 古代国家への道

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    明らかにするのが難しい5世紀をなんとかあぶり出していこうという新たな試み。
    細部では、それ6世紀以降を反映しているのではと思われる点もあるが、方向・方法論としては正しい。

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    2021年11月26日
  • 倭国 古代国家への道

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    記紀や風土記の記述や地名、一族分布などを複層的に組み合わせることで継体朝以前の我が国の政治形態というか皇室の実態を掘り下げようとする筆者の試みには同感できる。

    古代史の専門家はわからないが、背景が全く白紙の読者からすると決めつけのように取れる箇所も散見され、必ずしも説得力があるようにも思えない。

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    2022年02月21日
  • 倭国 古代国家への道

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     本書は、倭と呼ばれ、また自称もした列島社会における国家の形成過程を、5、6世紀を中心に検討し、明らかにしようとするものである。
     倭の五王から継体天皇即位に至る時代の歴史については、中国の史書や記紀の記述、鉄剣に刻まれた文字、あるいは前方後円墳の位置や様式を史料に、様々な見解が示されてきた。
     本書もまたそうした一書であるが、記紀や風土記などの記述内容を単純に事実か虚構かの二者択一で捉えるのではなく、それらを素材として、相互に比較することで、より整合性の高い推論の提示を目指すものであると、その方法論を示している。
     そして、重要な手がかりとするのが、王宮のあり方である。なぜなら、王族の名前に

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    2021年09月20日