木村敬一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全盲のスイマー、木村敬一さんの自伝小説。
目の病気で何度も手術を繰り返すが、2歳で全盲となり、4歳から水泳を始める。
6歳から寮生活、中学は東京の盲学校、地元の学校では、世間が広がらないというお父さんが決断した。
高校、大学と進学し、すでに水泳選手として活躍していたが
更なる飛躍を目指して拠点をアメリカに移す。
とんとん拍子に進み、サクセスストーリーのようだが、とんでもない。
彼は目が見えないのだ。
トラブルや、事故を数え上げたらきりがないだろうが、持ち物の紛失(盗難も含め)は多々、電車のホームからの転落や、遮断機の中で電車の通過を待っていたなど、命に関わることも。
でも彼は明るい、前向きだ。 -
Posted by ブクログ
目が見えない闇の世界を、どこまでも続く希望に満ちた世界と言える木村さん。目が見えないこと以外は普通の人。(いや、すごい金メダリスト)明るく何にでも挑戦される姿は励まされる。
オリンピックへの道のり、教員を目指して受けた試験や教育実習についてなど、今までのエピソードが綴られている。
見える人にとってはどんどん便利になっていると感じること(タッチパネルやスマホ操作)が見えない人にとっては不便になる。良かれと思って行うことも余計なお世話ご迷惑になることもある。つい、見える目線で気づかなかったことがいくつもあった。
日本はシステムも施設も必要となればすぐに準備してくれる国、アメリカはいつ必要になるかは -
Posted by ブクログ
明るく度胸があり素直な著者の人柄が伝わる。
タイトルだけ聞くと「大変な苦労をしたってことかな」と思うが、それは「闇」にネガティブなイメージを晴眼者が持っているからで(「闇に葬る」「闇市場」「闇取引」など「闇」のつく言葉にポジティブなものはほとんどない)、全盲の人にとっては闇が普通、暗くも怖くもない、希望に満ちた世界なのだ、と著者は書いている。
だとすると当然このタイトルの意味も違ってくる。
暗い中を不安と恐怖にさいなまれながら泳ぐのではなく、温かくて居心地のいい場所で希望を抱きながら進むということ。
そういう発想の転換ができるのも良いと思う。
著者の木村さんが気負わない人である上、障害を苦にす