【感想・ネタバレ】闇を泳ぐ 全盲スイマー、自分を超えて世界に挑む。のレビュー

あらすじ

2021年東京パラリンピックでの金メダル大本命、パラ水泳選手の木村敬一(東京ガス)が半生を振り返った初の自伝。

6歳から寮生活、12歳で上京、27歳で単身渡米――。物心つく前に全盲となった木村は、母の機転で習い始めた水泳を武器に、自らの人生を切り開いてきた。温かく見守る両親に、盲学校で出会った個性豊かな友人たち。世界の舞台で共に戦うライバルや仲間、そして恩師。前例のないアメリカ行きをバックアップしてくれた所属企業。水泳の実力はさることながら、天真爛漫で誰からも愛されるその人柄もまた、木村にとって大きな武器となった。そんな木村は、いかにしてパラ水泳界屈指のトップスイマーとなったのか。

競技者だけでなく、障害をもつ子やその家族、そして自分の置かれた環境に悩む全ての人へ。木村が歩んだこの半生の記録は、自分らしく生きていくことのすばらしさに気づかせてくれるだろう。

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Posted by ブクログ

筆者の優しさと実直さに溢れた良書です。

「僕は,自分が生きているこの人生が大好きで,
この闇の中が,泳いできた世界が,何よりも大事なんだ。
だから,何度だって,この人生を生きたいと思う。」

私も含めて、一体どれだけの人が胸を張って自分が生きている人生が大好きだと言えるだろう?
何度だってこの人生を生きたいと言えるだろう?

障害の有無、得意不得意、好き嫌い、いろいろあるけど、
自分の尺度で生き方を肯定していくことってとても大切なんだなと改めて思った。。

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2024年01月18日

Posted by ブクログ

最の高。どんな思い出にも必ずトホホエピソードを絡めてくるから、電車で読んでいて笑ってしまうもマスクで助かった。見えるとか見えないとか関係なく、チャレンジし続ける気持ちが大事なんだと

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2022年03月03日

Posted by ブクログ

全盲のスイマー、木村敬一さんの自伝小説。
目の病気で何度も手術を繰り返すが、2歳で全盲となり、4歳から水泳を始める。
6歳から寮生活、中学は東京の盲学校、地元の学校では、世間が広がらないというお父さんが決断した。
高校、大学と進学し、すでに水泳選手として活躍していたが
更なる飛躍を目指して拠点をアメリカに移す。
とんとん拍子に進み、サクセスストーリーのようだが、とんでもない。
彼は目が見えないのだ。
トラブルや、事故を数え上げたらきりがないだろうが、持ち物の紛失(盗難も含め)は多々、電車のホームからの転落や、遮断機の中で電車の通過を待っていたなど、命に関わることも。
でも彼は明るい、前向きだ。
手を差し伸べてくれる周りの人たちにも恵まれている。それも彼の人徳だと思う。
生きていく上での「武器」のひとつである水泳に向き合う姿勢もまじめすぎて読んでいて苦しくなるほど。
「銀や銅のメダルをいくつとっても意味がない」オリンピックにも届かない人が聞いたら、怒りそうなことを言うが、彼にはそう言えるだけの、積み重ねてきたものがある。その自負が言わせる。納得できる。


最後にお母さんからの手紙が綴られています。
6歳から親元を離れて行った子供を思う気持ち・・・
母親の切ない気持ち。
もうたまりません。

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2022年01月10日

Posted by ブクログ

パラリンピック水泳メダリスト木村敬一さんの自伝
明るく前向きな性格の素敵な青年だなぁと更に応援したくなりました。
人格的に魅力のある人は、自然と周りに人が集まり、沢山の愛や支え、助けを受けて、人生を切り開いていけるんだと思いました。

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2021年12月15日

Posted by ブクログ

目が見えない闇の世界を、どこまでも続く希望に満ちた世界と言える木村さん。目が見えないこと以外は普通の人。(いや、すごい金メダリスト)明るく何にでも挑戦される姿は励まされる。
オリンピックへの道のり、教員を目指して受けた試験や教育実習についてなど、今までのエピソードが綴られている。
見える人にとってはどんどん便利になっていると感じること(タッチパネルやスマホ操作)が見えない人にとっては不便になる。良かれと思って行うことも余計なお世話ご迷惑になることもある。つい、見える目線で気づかなかったことがいくつもあった。
日本はシステムも施設も必要となればすぐに準備してくれる国、アメリカはいつ必要になるかは分からないが常に準備ができている国。その言葉が印象に残っている。

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2021年10月29日

Posted by ブクログ

強い人やな。
すごい努力して金メダルとってるのが伝わった。
良いことばかりでなく、挫折や苦悩も乗り越えてやってきてるんだなと感心した。
障害をもってるからと見てまうけど、みんなその世界で生きてるからそれが普通で、下にみたり、不憫に思うのは他人の勝手な評価やねんな。
誰に対してもそう。
たとえ子供でもどうしようもない人でも、人それぞれ一生懸命生きてるから、否定せずに認めてあげないといけない。
たくさん考えさせられた。

あとがきは今まで見た本の中でも、群を抜いて素晴らしい。このあとがきを越えることなんてないと思えるくらい心に響いた

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2022年04月06日

Posted by ブクログ

明るく度胸があり素直な著者の人柄が伝わる。
タイトルだけ聞くと「大変な苦労をしたってことかな」と思うが、それは「闇」にネガティブなイメージを晴眼者が持っているからで(「闇に葬る」「闇市場」「闇取引」など「闇」のつく言葉にポジティブなものはほとんどない)、全盲の人にとっては闇が普通、暗くも怖くもない、希望に満ちた世界なのだ、と著者は書いている。
だとすると当然このタイトルの意味も違ってくる。
暗い中を不安と恐怖にさいなまれながら泳ぐのではなく、温かくて居心地のいい場所で希望を抱きながら進むということ。
そういう発想の転換ができるのも良いと思う。
著者の木村さんが気負わない人である上、障害を苦にすることもなく全体に明るい雰囲気はあるものの、不眠症に苦しめられたり、アメリカで言葉も通じない中で悪戦苦闘したりと苦労もあった。しかし、それでもチャレンジして克服していく姿は、勇気を与えると思う。
著者がまだ若いので、これからもいろいろなことがあると思うが、また書いてくれるといいなと思う。
視覚障害のある人の水泳が、晴眼者の水泳とどう違うのかも初めて知った。泳ぐこと自体は同じなのだから同じだろうと思っていたが、コースロープに手が当たる感覚を頼りに泳ぐとか、「タッパー」と呼ばれる人がターン地点とゴール地点にいて距離を知らせてくれる、など。
タッパーがいないと水を掻く回数を数えて壁までの距離を考えながら泳ぐ(ためタイムは落ちる)が、数え間違うと壁に激突したり突き指したりしてしまう。全力で泳ぐためにはタッパーが必要だが、タッパーが下手だとタップしそこねてやはり壁に激突してしまう。マラソンの伴走も大変そうだが、タッパーにも大きな責任がある。

『目の見えない白鳥さんとアートを見に行く』の白鳥さんも言っていたけど、木村さんも「目が見えるようになりたいか」という問いにNOと答えている。
外国に行っても相手の身振り手ぶりや表情がわからないと、会話力だけの勝負になるというハンデはあるが、逆に相手がどんな人種だろうと年齢だろうと見た目だろうと、自分と合う人と仲良くなれるのはいいな、と思うし、それだけ見える人は偏見を持ちやすいということを忘れてはいけないなと思う。

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2022年01月16日

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