エイダン・チェンバーズのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
10代の頃から久しぶりに再読。表紙が派手になっていて驚く。
主人公の一人称で、学生らしいけれん味溢れる文体なのだけど、比喩やエピソードが絶妙の位置に配置されていて、丁寧に描かれているのが窺える。
当時は切ない恋愛描写に目が行っていたけど、今読むと本当の主題は恋愛ではなく、自分と対話する、人と向き合うという事なんだと分かる。
"言語というのはなんてすごいんだろう! たったひとことにこれだけの意味がある。それでも何も伝わらない。”
”「そう、誰かいたのは確かよ。でもあなたが思ってた人とは違った。わたしが思ってた人とも違ったかもしれない」”
素晴らしい青春小説なんだけど、かなり明け透けな話もし -
Posted by ブクログ
映画を観る前に途中まで読んで放置していたのだが、
文庫化されたことがなんだか嬉しくて
読み直す。
当たり前だろうけど…
映画よりずっといい。
ハルのバックグラウンドがよく分かるからかな。
ヴォネガットが好きで、
トールキンとその友だちの(ww)ルイスを馬鹿にしている。
〈死〉に興味がある、取り憑かれている16歳の男の子ハル。墓荒らしの容疑で少年裁判所に起訴される。
ハルが自ら再生?するために書きたおす、彼の手記の物語。それを書かせた、彼の文才に興味を持っていた教師のオジーが素晴らしい。(大丈夫、トールキンのすばらしさは、オジーがちゃんと訂正してます。「だがトールキンについてはまちがって -
Posted by ブクログ
映画を先に観て小説を読んだ。
監督が映画化したいと言っていただけあって,
原作にかなり忠実だと感じた。
舞台がイギリスからフランスに変わったり,
お店がレコード屋から船のショップに代わってたりしたけど,
そこは全く違和感がないように,丁寧に変更されたんだと思う(たぶん)
読めば読むほどハルの失望感や動揺やパニックなど深く感じた。そんな風に勢いよく頭に心に入ってくる訳も素晴らしかった。
最後カーリがまさに真理とも言えることを勇気を出して友人であるハルに伝えていて,自分もそれでストンと納得できた。
ダンスのシーンは映画で観て感じて,小説でその心理を深く感じるのがオススメ。