関かおるのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
高卒で家業の農業を手伝っている塚田唯吹は卒業してすぐ行われた北海道のとある市がやるオペラのオーディションを受ける。募集に制限などなく、歌をならったことのない唯吹にも受けられたから。結局オーディションには不合格だったが、審査員の梶憬子に見いだされ「アンバー・オペラハウス」が行うサマープログラム東京受験の推薦をもらう。そこから、唯吹のシンデレラ・ストーリーが始まる。
歌う、という世界を垣間見ることのできるお話でした。何も習ってない、ただ歌が好きだった唯吹が色々なことを知り、短時間で乗り越えるための努力がまぶしく、楽しく読みきりました。明るいし、知らない世界を読めるし、とても面白かったです。うまく行きすぎが好きじゃない人には向いてません。
ルビはないけど、分量(220ページ)的にも内容的にも小学校から大丈夫。基本は中学生くらいから。 -
Posted by ブクログ
ネタバレーきみは、歌に選ばれたんだー
本作は、オペラハウスのオーディションの物語。
本作の主人公 唯吹。
才能があるのにも関わらず、野心がない。
現状、知識不足である彼女は、オーディションに落ちてしまうことから物語はスタートする。
アメリカの名門劇場であるアンバーオペラハウスが主催するサマープログラムに参加し、そこでの彼女を応援しながら、読み進めた。
唯吹は、オーディションのライバルたちと交流を深める。
そのことにより、「他の人を押しのけてまで、オーディションに合格する意味があるんだろうか」と悩み続ける。
オペラの専門用語がわからなくても大丈夫◎
(わかりやすい説明があり、オペラのことを全く知らなくても読みやすいです)
オーディションの厳しさがリアルに描かれており、実際のオーディション番組を見ている気分になった♪
是非、オススメの作品です!
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Posted by ブクログ
ネタバレ全体的にとても爽やかな物語
むしろ爽やかすぎるというか、主人公もオーディションの参加者もめっちゃいい子たちです。
音楽の世界ってもっとシビアなのでは、というイメージを持っているため、主人公の置かれた境遇や次々と降ってくる(わたしにはそう感じた)チャンスに対しては、出来すぎてるなぁーとちょっと冷めた気持ちで読んでしまいました。
そもそも、レッスンをまともに受けてないほぼ一般人が、耳の肥えた審査員から注目されるだけのオペラが歌えるのかと、疑問に思ってしまいまして、、、。
合唱のソロなどとは比べ物にならないくらい、特有のスキルが必要だと思うのです。
めちゃくちゃ自主練を頑張っていた、という描写もなかったので、本当に潜在能力だけで、ステップアップしていくのかと、ちょっと置いてきぼりを喰らった感じで読み進めることになったので、あまり感情移入できませんでした。
オーディションという場にそぐわないくらい、本人は結果に執着がなくて、浮世離れしている印象でしたが、オーディションを通して「やっぱり本格的にやってみたい」と本当の気持ちに気づけたことはよかったと思います。 -
Posted by ブクログ
内容がすごく濃いのにページ数が少なくて、でも充実感のある不思議な本。
主人公の唯吹は音大に通っているわけでも、レッスンを受けた訳でもなく、でもオーディションに落ちても色んなところから声をかけてもらえるのは、もはや天性の才能なのではないかなとも思った。ただ、才能をいくら持っていたとしてもそれを活かしきれるかどうかは努力次第なんだよなって改めて感じた。
歌を歌う時に感情を込めることが大切なのは知ってるけど、きっとそれはプロの領域で、私にはできなくて。自分にできない何かをできる人って無性に憧れる。主人公はあまり勝ち気がなくて、でも歌いたいから、自分なりの解釈をして必死で歌ってる。周りの人から見たら不思議で異色な存在なのかも。でもそういう人がやっぱり認められたりするんだよな、って。でもいろんなものを手に入れようとすると、どうしても手放さないといけないものも出てくる。その葛藤と戦ったり、それがまた理解できなかったり、争うという考えがなくふわふわしていたり、それがまた感じ取られてよかったかも。
いい本でした。 -
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ネタバレウェディングカメラマンである主人公が過去に因縁のある女性落語家を担当することになるお話。カメラ、落語、ウェディングという3つの特異な業界について知見を深められた。普段は接点のない専門家たちの誇りと苦悩を感じることができて面白かった。特にウェディング業界は一生に一度のイベントであるため顧客からのクレームや急な予定変更など過酷な側面があると感じた。
主人公は担当することになった女性落語家の寄席中に写真を無断で撮影してしまった過去をもつ。起こしてしまった問題に対して落語家達からの不相応なほど当たりが強いシーンが多々あり、そこはあまり共感できなかった。一生に一度である結婚式の雰囲気を破壊してしまうかもしれないほど主人公に当たってしまうような問題だったのかと疑問に思った。最初は落語という古くからの文化に染まって柔軟性に欠けていると考えたが、プロの世界にいるからこそ他のプロに対して生半可に対応されるのが許せなかったのかもしれない。自分が命を賭けて何かに取り組んでいるものに茶々を入れられたと感じたのだろうか。
最後のシーンで「誰かに怒ることと可能性を感じることは両立する」という言葉が印象的だった。最近は子育てでは怒るのではなく褒めることが推奨されている。仕事ではハラスメントを恐れて怒ることが少なくなったとも聞く。つまり今の若者たちは怒られる経験が少なく育ってきたのだ。僕自身が当たりの強いシーンを不快感や疑問を抱いたのはこの背景が影響しているのかもしれない。怒りとは自分が大切にしているものを守る感情であり、大切なものに裏切られた時に人は怒りを感じる。したがって主人公が怒られたのは皆から大切に思われている証なのかもしれない。このように考えると、怒ることは必ずしも悪いことではないのではないか。むしろ、全く怒られないことは、逆に自分が大切にされていないのではないかという不信感を抱かせる可能性がある。この視点で物語を読み進めると、少しは不快感が和らいだかもしれない。 -
Posted by ブクログ
関かおるさんのデビュー作。
青春&お仕事小説。とても読みやすかったです。
読んでいて素敵だなと思ったのは、主人公の父親が専業主夫である事を、自然に当たり前のように描いている所。バリバリ働いている母親の出番はほとんど無し。役割が逆なパターンは何度も出くわすので、このパターンは新鮮で斬新に感じました。
読みやすかったのですが、自分にはいまいち物語に入り込めないような、登場人物に感情移入できないまま終わりました。居心地が悪いような息苦しいような感覚。
なんでだろう?と考えながら読んでたのですが、終盤くらいに気付きました。主要な登場人物みんな、仕事に潔癖で完璧主義で全身全霊だからだ、と。
私は5年前体調を崩してから、その生き方は自分にはとことん合わない事を思い知らされたから、だから疎外感のような感覚を覚えたんだと思います。逆を言えば、お仕事や好きな事に対して妥協したくない、全力出すぜって方は凄く入り込める、好きな物語なのだと思います。
私の現在の生き方には合わなかったという事。正直、今でもこういう生き方が正しいような、憧れみたいな感覚はあります。物語は読みやすくて、終わり方も凄くいいのに、自身の体調体質症状のせいで入り込めなかったです。ちょっと悔しい気持ちになりました。
以下付箋貼った所
P185 この仕事をする時間を、無駄なものだと思わないでほしい。どっちもおなじ、写真だからさ。宮本が本当に撮りたいものを撮るためのハードルだと思って、全力で助走つけて、飛んでほしい。
P233 みなさんご存じかとは思いますが、私は写真ってもんがきらいです。
目をつぶっちまったり、あくびをする寸前みたいな間抜けな顔が、一生残っちまうんですから、たまったもんじゃない。写真は、自分の気に入らねえとこを否応なく突きつけてくる、そういうもんです。
でもね、鏡がなけりゃ、自分の顔はそもそも分かりません。鏡がないまま、写真だけあったなら、その写真に写ってるのが自分かどうかは分からねぇ。たまに、そんな気持ちで写真を見ることがあたしにもあります。なんだ、なかなかいい男じゃねえか、っていい気分になれますから。おすすめですよ。
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Posted by ブクログ
舞台袖から落語家を見ているうち、勝手に手が動いて写真を撮ってしまった主人公。それは、演芸写真家である師匠との約束「演者の許可なく写真を撮らない」を破ることであり、しかしその謝罪もせず、逃げるように師匠のもとを去った。四年後、彼女は会社に属して、ウエディングフォトを撮っている。演芸写真への思いには蓋をして、主役であるお客様、会社の言いなりの彼女に、新人のアルバイトは「いい写真を撮るより、トラブル回避っすか」と、たてつく。彼にはウエディングフォトを撮りたいという、情熱がある。
落語の世界に導いたお父さんの病気、あの日、勝手に写真を撮ってしまった落語家との最悪な再会、それから師匠の病気、アルバイトの発達障害や、それにまつわる同僚との意見の食い違いなどを通して、ふたたび、演芸写真家になりたいという強い思いを取り戻す。
王道青春もの。で、落語家を舞台袖から撮る、演芸写真家という聞いたことのない仕事。落語が好きなんだなーということが、強く伝わる。
「ばさっと羽の音がして、別の小鳥が電線にとまった。青い空を横切る黒い線が、ちいさく上下に揺れる。」
朝、喫煙所でアルバイトの子と話すシーンに、鳥の描写が差し挟まれているのがよかった。 -
Posted by ブクログ
うーん……。
これは……、若者の成長物語&お仕事小説、としてよりは、芸術を追い求める人たちのお話として読むと、より味わい深いのかもなぁ、という読後感でした。
<あらすじ>
主人公・宮本繭生(まゆう)はカメラマン。
父親に連れられて高座にハマり、落語家の写真を撮る演芸写真家を目指していたが、師匠からの決まりごとを破り、咄家が高座にあがっている最中に了承を得ずに写真を撮ってしまった。
己の大失態に怯え、誰にも謝罪せず逃げた繭生は、その後ウェディングカメラマンとなるが、仕事にヤル気も誠意もなかった。
そんなとき、繭生が失態した相手、咄家のみず帆が結婚式の打ち合わせにやってきて、写真撮影を拒絶される。
----あらすじはシンプル。
一度の失敗に怯え、逃げる。自分とは価値観のちがう後輩や上司に対応できず、殻に閉じこもる。
仕事や人生に対する姿勢がまだまだ甘いぞ、若者! といいたくなってしまうところが、いかにも野生時代の作品ぽいなぁ、と地味にイラッときつつ(笑)、でもここから成長するんだよね、というところまで、まあ予想どおりで、さらっと読めた。
どうもネガティブ感漂う感想になってしまうのは、成長物語としてはありがちだったなあ、と。
でも、この作品の輝きは、少し別のところにあったとおもった。
高座の魅力がすばらしくイキイキと描かれていて、その周りの大人たちがとにかくステキ!
落語家たちの咄しっぷり。
芸に人生と身を捧げる厳しさ、美しさ。それに魅了された周囲の人々。
次世代を見守るベテランたちの温かい視線。
自分の仕事と将来のことでいっぱいいっぱいで、視野も考えも狭くなっている、繭生とみず帆。
そんな彼女たちの周囲には、豊かな大人たちが、ゆったりどっしり控えてくれているのだ。
2人の師匠の、大咄家・帆宝しかり、カメラマン・真嶋しかり。
なにより、繭生のパパがいい!
登場するだけで、空気が緩み、ホッとする。
でも、単純な癒しではない。彼らの壮絶な来し方からくるセリフは重く、芯が通っている。
そして、師匠や親たちの言葉は、きちんと主人公たちに届いているのがよかった。