須永朝彦のレビュー一覧

  • 王朝奇談集

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    ネタバレ

    「日本霊異記」「今昔物語」「大鏡」「古事談」「宇治拾遺物語」等など、王朝時代の説話集から、不思議な話、奇妙な話、クスっと笑ってしまう話まで、筆者独自のセンスで選び抜かれた82編を収録。

    これ、メッチャ、おーもーしーろーい~

    以下、おススメのお話

    「人を造る」
    西行のエピソードで、人骨集めてホムンクルス作っちゃう話。宮中には公卿にまでなってる奴もいるらしい。

    「伊勢の人魚」
    忠盛(清盛の父)が、漁師から献上された人魚の肉を、さすがに気持ち悪くて食わずにいたら、漁師たちが美味そうに食べちゃった話

    「地獄の紫式部」
    源氏物語で多くの読者を惑わせた罪で、地獄で苦しんでいるというお話

    「外法

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    2023年05月21日
  • 王朝奇談集

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    須永朝彦編訳『王朝奇談集』(ちくま学芸文庫2022年8月第一刷)の感想。
    王朝の奇談を集め現代語に訳したもの。会話部分はより古風。美しい文章で読ませる。
    古事談の宇多法皇と源融の霊、霊が腰に抱きつく辺り妙に可笑しい。
    宇治拾遺物語の一条桟敷屋の鬼「ようも御覧なされたな、ようも御覧なされたな」と言うところ、熱のあるときに見る悪夢のようで怖く、何やら懐かしい気もする。

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    2023年05月04日
  • 須永朝彦小説選

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    〈冥府よりの誘惑者、あるいは暗い美青年としての吸血鬼〉を創出し、天使や妖の美に悦んで屈服するマゾヒスティックな願望を描いた、耽美小説の極北。編者・山尾悠子。


    吸血鬼小説を読み漁っていたころ、『就眠儀式』『天使』は特にお気に入りの作品集だった。旧仮名遣いの綺羅綺羅しい文体と、主人公と読者を暗い森へ誘惑するヴァンパイア。萩尾望都の『ポーの一族』の初出が72年、アン・ライスの『インタビュー・ウィズ・ザ・ヴァンパイア』は76年。70年に「契」を発表した須永先生は、耽美的吸血鬼小説の先駆者だった。
    とはいえ、その原型はやはりレ・ファニュの『カーミラ』に見つけられるだろう。『カーミラ』は、少女が激しく

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    2022年05月19日
  • 須永朝彦小説選

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    ネタバレ

    2012年4月に廉価版「天使」を読んで以下のように書いた。
     *
    もっともっと凄まじくおどろおどろしいものを想像していたのだが、意外にポップ。
    にやりにやりと口元が緩んでしまう。
    しかしまあ、それだけかとも思う。
    薄い夕暮れの中にさまよう程度のもので、別の世界や遠いところへ奪取していかれるほどのものでもない、小品たち。
     *
    その後アンソロジーで出会ったり、え、Twitterとかブログとかやってんのと驚いて時々覗くくらいで、いい読者ではなかった。
    が、この2021年5月15日にご逝去され、なんと山尾悠子が編んだというからには、読まずばおれまい。
    「就眠儀式」「天使」収録の諸作では執拗に吸血鬼志

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    2021年10月13日
  • 須永朝彦小説選

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    ネタバレ

    旧仮名遣いがとても素敵な余韻を残す。
    暗く美しく残酷な喜びに満ちた存在が書かれていて、うっとりと妖しい雰囲気に浸りながら読んだ。
    永遠を生きるヴァンパイアが見目麗しく、同じくそんな青年を探し当てては仲間にしていく様子などは、いつまでも読んでいたくなる。
    そのほか、人の形をしていながら人ではない、と仄めかされるさまざまな美青年たちの、隠された野蛮な暴力性にハラハラした。
    印象に残っているのは『天使II』の不気味な天使。わたしの場合、天使といえば愛らしく無垢な赤ん坊の見た目を思い浮かべるが、ここに出てくる天使は大人の姿をしているため、なおさら神々しく思える。そんなこの世のものとは思えない美しい存在

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    2024年09月17日
  • 王朝奇談集

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    平安時代を中心とした奇譚。
    巨大な女が流れ着いた話とか簡素なモノはアッサリしているだけに妙に信憑性がある。
    面白かったので再読し再度感想を上げたい。

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    2023年09月01日
  • 王朝奇談集

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    こんな事があったのよ,というようなお話を日本霊異記から平家物語までピックアップ.思わず、えっ本当!と思ったり,そうなんだと思ったり.わかりやすく書いてくれているけれど,少し読みづらい.

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    2023年06月14日
  • 須永朝彦小説選

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     本書巻末の「編者の言葉」を読んで、須永朝彦という人物を知ったのは、後半生のアンソロジストとしての仕事を通じてだったのだなあ、と分かった。

     作家としての作品は初めて読むものばかり。確かに読者を選ぶ作品が多いとは思うが、掌編と言っても良いような作は面白いし、読みやすい。
     もっとも、『小説全集』刊行時にパンフレットに寄せた文章にある「現実の自分には望み得ぬ境涯、言い換へれば自分が変り代りたき存在を選び取り、その肖像を描く事が即ち私の小説の方法となつた。」との一文にあるとおり、美しき吸血鬼や天使が度々取り上げられる。

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    2021年12月03日
  • 須永朝彦小説選

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    ・須永朝彦を知つたのはいつのことであつたか。私は歌人としての須永をほとんど知らない。歌人であつた、歌集を出してゐるといふことを後に知つた。私が須永を最初に知つたのはやはり「就眠儀式」であつたと思ふ。これは1974年に出てゐる。私が見つけたのはこれよりもかなり後のこと、めつたに行かない書店でたまたま見つけた。その頃には須永は短歌を捨ててゐた。山尾悠子編「須永朝彦小説選」(ちくま文庫)の「編者の言葉」によれば、「短歌となるとやはり直接教えを乞うた師からの影響が色濃いようだ。其れかあらぬ か、須永は作歌からは早々に離れてしまい、没後に歌集未収録作少々のみ残されていた由。」(303頁)とある。私は後に

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    2021年11月05日
  • 須永朝彦小説選

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    今年2021年5月に没した耽美幻想派の作家の作品から
    山尾悠子がセレクトした逸品集。
    収録作は、

     契
     ぬばたまの
     樅の木の下で
     R公の綴織画
     就眠儀式
     神聖羅馬帝国
     森の彼方の地
     天使Ⅰ
     天使Ⅱ
     天使Ⅲ
     木犀館殺人事件
     光と影
     エル・レリカリオ
     LES LILLAS――リラの憶ひ出
     月光浴
     銀毛狼皮
     悪霊の館
     掌編 滅紫篇
     聖家族Ⅰ
     聖家族Ⅱ
     聖家族Ⅲ
     聖家族Ⅳ
     蘭の祝福
     術競べ
     青い箱と銀色のお化け

    ――の、全25編。
    隙のない流麗な文体で、
    殊に掌編の上手さ(美味さ)が際立つ。

    個人的BEST3を挙げるとしたら、圧巻の巻頭、
    中秋の名

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    2021年10月01日
  • 須永朝彦小説選

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    山尾氏の巻末解説によると、今や定番と言って良い、誘惑者としての美青年吸血鬼の原型を産み出したのは須永氏なのだそうだ。ただ、そうしたものとして読むには、ここに現れる者たちはすごみがありすぎるかも知れない。
    集められたものはほとんどが掌編。形式から言えばショートショートだが、そう捕えると異形で、形式のミソであるはずのオチがなかったり、プロットさえ曖昧だったり。散文詩と思えばいいのかも知れないが、それも違う気がする。

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    2022年02月12日