伊藤遊のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ小野篁という人物に興味が沸いた一冊だった。
今昔物語等でも篁についての逸話は、たくさん残っているらしく、本書もそれらの資料をもとに伊藤さんが物語に仕立てた作品だ。
自分に自信のない、弱い、軟弱な男子「小野篁」が、義理の妹を自分の不注意で亡くしてしまう。
その時よりあの世の入り口へ、何かと繋がるようになってしまった篁が、征夷大将軍であった坂上田村麻呂や半分鬼である非天丸、父を探して上京してきた阿子那らと関わり、彼らの生き方や考え方に触れる事で成長していく物語である。
篁の成長が、焦ったくも丁寧に書かれていて、父と共に陸奥へ行こうとする場面を素直に受け入れることができた。
六道の辻は、京都 -
Posted by ブクログ
ネタバレ明野神社の狛犬たちには、彫った石工たちの魂が宿っていた。狛犬の「あ」には親方、「うん」には弟子の佐助。親方の「あ」は立派な出来だが、佐助の「うん」は不出来とされている。
人間には変な顔だと評される佐助の「うん」だが、それを、自分の飼っていたイヌ・モモと似ているからと、佐助を訪ねてくる見習い大工の耕平がいる。
狛犬の二匹は話しもできるし、動くこともできるが、それを見ることができるのは6歳までの子どもだけ。いつもおばあちゃんと一緒に来る幼稚園の翔太は、佐助がしゃべるのを聞いたが、はあちゃんに言っても信用してもらえない。耕平にも、佐助の言葉は聞こえない。
だが、翔太のおばあちゃんの話しから、耕平