大学院の春学期の授業で「経営学研究方法特論」という科目を受講していた。その科目で用いていたテキスト。
「経営学研究方法特論」とは、文字通り読めば、経営学の分野での研究方法についてを教える科目であるが、実際に研究したものは論文にするわけなので、広い意味で「論文の書き方」を学ぶ科目であった。学術論文は、最初に論題に関連する先行研究を紹介、仮説を述べる。自分が検討しようとしている仮説は、これまでの先行研究の中でどのように位置づけられるのか、そして、何が新しいのか(すなわち、自分の世の中に対する貢献は何なのか)を宣言し、その仮説を検証していく。検証は、定量的に行う場合と、定性的(ケーススタディ・事例研究)があり、その結果を分析し、最初の仮説が正しかったのか等の検証結果と考察を述べていくというのが、一般的な形態である。
本書は、「定量的な」検証を行うために必要な、基本的な統計学・データ分析の方法を教えるものである。
私自身の修士論文は、事例研究による定性的なものを予定しているが、経営学の論文には定量的な論文も多く、それを読み解いたり、あるいは、あわよくば将来的に定量的分析を伴う論文を書くチャンスがあった時のために、この授業を選択したものである。
経営学の定量研究とは、例えば、「株主優待を増額すると、個人株主比率が増大する」というような関係が成立しているかどうかをデータを用いて検証する。この場合で言えば、例えば、東証プライム市場全企業について、過去〇年間の株主優待の増額比率と、個人株主の増加比率を見てみる、等が考えられる。関係をデータで分析する方法の一つが回帰分析であるが、実際に回帰分析を行ってみて、その結果が統計的に意味があるのかどうかを検証し、統計的に意味があるとすれば、それは仮説が検証できたとするのである。
考え方はシンプルであるし、実際の計算はエクセルがやってくれるのであるが、実際に論文の中で自由自在に活用するには、相当に経験を積まないといけないな、と感じた。