石塚修のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
純文学や江戸の浮世草子、俳句や古典芸能の中から直接および間接的に茶の湯が扱われている箇所を取り上げ、筆者が考察してゆく。
必ずしも茶人ではない立場から描かれる茶の湯の姿は、おそらく茶の湯に傾倒する者が描くよりもより冷静で客観的なものとなろう。筆者も、茶人が描くものは茶の湯を賛称するものばかりであり、むしろ、茶の湯にいい印象を抱いていない者の言葉の方が、茶の湯の発展にはいいのだという。
しかし、やはり作家の表現力はすごい。夏目漱石の草枕における「羊羹」の描写は秀逸。「余はすべての菓子のうちでもっとも羊羹が好きだ。別段食いたくはないが、あの肌合いが滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は