毛内拡のレビュー一覧
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アストロサイトやグリア細胞のこと、脳波やシナプス可塑性の話など難しそうな内容も端的でわかりやすい文章にまとめられているため、なんとなくは理解することができた。
なにより驚いたのは、「考える」ということが、ニューロンの生み出すナトリウムとカリウムのアンバランスを取り返すための電気的インパルスである、ということ。それを脳波という形で脳の活動と捉え、測定してきた、という話。
脳の中で起きてることは、電気信号の発生と化学信号への変換であり、その結果人間の意識や思考、情動や、(言語で解釈された)感情が生まれるという話は、人体のミラクルとしか思えない。
「色即是空、空即是色」
脳の中を開けても心があるわけではなく、脳細胞をただ集めても脳にはならない。心も脳も、「私」さえも実態などなく、移り変わっていくもの、という話は説得力があってとても沁みた。
脳の病気になって一年、まだ治ってないけど随分異常な状態から、修復のために頑張ってくれたんだなと思ったら自分の脳が愛おしくなった。
たくさん寝て、隙間をたくさん作って、老廃物を流したい。 -
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ネタバレ脳科学について専門的なことを身近な例でわかりやすく書かれていて、「それは脳のこういうしくみのせいなんだ!」と大変興味深く読めました。
「頭が柔らかい」というが実際にシナプスの可塑性(柔軟性)が脳機能に影響を与えていることや、「忘れること」は脳機能が落ちるためではなくむしろ脳の正常の働き方であること、抽象的なアートを見ている時脳は作品を通じて自分の内側(記憶や意識)を見ており、その自分の中での変化を楽しむのが抽象的なアートの楽しみ方ではないか、などなど各章のテーマは非常に興味深く多くの気づきを得ることができました。
タイトルにある「頭がいいとは」について本書では、自己認識力、またそれを表現する言語化能力やアートを通した表現力、スポーツなどの身体のコントロール能力であると書かれています。これらは能動的な経験によって鍛えられるものであり、課題に対し粘り強く試行錯誤を繰り返す「脳の持久力」こそ重要と書かれています。
辞書のような単なる知識の羅列ではなく、経験から得た気づきを言語化したもの、または言語化できない第六感的なものをどれだけ持つかが、その人の器量に関わる部分なのではないか、ともありました。
全体的に親しみやすい文章で、脳科学について詳しくない私ですが、新たな発見が多く楽しく読むことができました!
またアートとは異なりますが、読書をする時の私も、作者の書いた文章を読んでいるようで実は自分の内側で起こる気づきや変化を楽しんでいます。筆者の言うようにこういった行動が「私自身」を形作るものだと思いますので、今後も続けていきたいと思いました。 -
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ネタバレ計算論的に脳の研究をしている大学院生ですが、知らなかった情報が満載でとても楽しめました!
本書では、序盤に古くからあるニューロンを中心とした研究の話題を、その後に最近注目を浴びているグリア細胞や脳脊髄液の話題に移るという構成です。この本の主題は後半のグリアや脳脊髄液だと思いますが、ニューロンに関する内容も分かりやすくまとめられていて理解が深まりました。グリア細胞については、アストロサイトの神経伝達物質の回収や数珠状突起による広範囲への投射、オリゴデンドロサイトのミエリン形成によるパルス伝達速度の向上、ミクログリアによる異物の排除など、最新の研究成果を含む興味深い内容が盛りだくさんで非常に勉強になりました。グリア細胞以外にも、脳脊髄液の循環による老廃物の排除や、広範囲調節系からの神経修飾物質の拡散による脳のモードチェンジなど、最新の研究で明らかになった内容が多分に含まれており、とても面白かったです。
これまで何冊か脳科学の本を読んできましたが、最も楽しく読めた本で、自信を持っておすすめできます。 -
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脳は、受け取った刺激から情報を補完して映像や音声といった世界を創造している。そう考えると幻覚や幻聴と実際に見聞きしていると思っている映像や音声の区別もあいまいである。
ニューロンと、ニューロン以外のアストロサイトが1:2程度の比率であり、アストロサイトの役割は不明な点が多いが、この大きさが知能に関係している可能性があることや、世界の認識にあたってシナプス刈り込みが行われて、賢い人ほど神経回路がシンプルで省エネであることは勉強になった。
ドーパミン、セロトニン、アセチルコリン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が関係し合って快感ややる気や抑うつ状態がもたらされている。
そして、心も意識も錯覚で、脳がほとんどの情報を自動処理した後に大脳皮質に送られた情報だけが解釈され言語化され、それがエピソード記憶として長期間保存されることで連続する「私」が存在すると思っているだけの錯覚かも知れないという説は極めて興味深かった。悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいと解釈しているだけということ。
面白い本。少し日本語が下手で、主語と述語がよくわからなくて意味が不明な箇所もあったが、内容が興味深すぎて星5つ。 -
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心の病なんて気の持ちようだ、という言葉に待ったをかけるこの本。
「憂うつになったりハッピーになったりするのも、脳内ではたらく化学物質ひとつのサジ加減」で、人間は当たり前に認知の歪みがあり、非合理的で、理不尽で、情に流される。だからこそ気の持ちようじゃ何ともならない。
認知に歪みのない人だけが心の病にかかった人に石を投げなさい。と丁寧に説明してくれる。
「コンピュータスクリーン上で相互作用する2つの光の点にすら意思やストーリーを感じずにはいられない。これは、もはや病的だ(でもきわめて正常な脳のはたらきだ)。」
など、表現も面白くわかりやすい。科学的な内容だが、全体的に思いやりが感じられる本だと思う。 -
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■第1章のまとめ
・心は脳という臓器が作り出すもの
・脳科学は心理学の一分野に過ぎないが、科学的に心を扱う手法が充実してきた
・現在では神経科学、進化、遺伝学、精神医学、行動学、認知科学、社会学など様々な側面から心の働きが研究されている
・生物としての体の働き、認知や知覚、気分などに与える影響、育ってきた環境や文化、現在を取り巻く社会、人間関係などの心理に影響する
・脳の生物学的な側面、ハードウエアとしての特性を理解することも欠かせない
・心理学と神経科学が互いの知見を持ち寄って、歩み寄ることが大事
■第2章のまとめ
・脳は神経系のうち「中枢神経系」の一部。体の神経は「末梢神経系」に分類される
・脳も細胞からできている。脳細胞は「神経細胞」(ニューロン)と「グリア細胞」からなる。ニューロンは電気的な信号を発生し、長い突起によって他の細胞に情報を伝達するネットワークを作っている
・ニューロンは電気的な信号を発生するが、他のニューロンと接合する部分では電気信号を化学信号に置き換えて情報を伝達する。これによって情報の質を変化させる
・脳には様々な部位があり、それぞれが役割分担をしている。その大半は、生命の維持や姿勢の制御など、意識的には制御できない全自動的な働きである
・大脳皮質は体からの様々な入力を分担して処理しており、これを「機能分担」と呼ぶ。特に前頭連合野のある「前頭葉」では言語や精神、人間らしい活動や思考を司っている
■第3章のまとめ
・生きものの体には様々な伝達様式がある
・シナプス伝達のほかに、ホルモンや自律神経系による全身の調節や、神経修飾物質による広範囲調節系がある
・広範囲調節系は、特定の標的細胞を持たない拡散性伝達によって広範囲のニューロンとグリア細胞を同時に活性化する
・広範囲調節系は生存に必須なものから人間らしい生き方を支援する機能まで、さまざまな部分を極めて絶妙なバランスで調節している
・広範囲調節系は、生存に必須な生理機能だけでなく気分などの精神機能にも関与する可能性がある
・脳と身体の機能は密接に関わっており、健康な体と心の働きには臓器と脳の連携が不可欠である
■第4章のまとめ
・脳という臓器は様々な理由で病気になるが、メンタルの不調も同様にの脳の疾患であると理解すべき
・心が病んでいるとき、脳のアイドリング状態を担う神経回路が過剰になっていて、後悔や不安を過度に反芻している状態になっている
・脳の活動が過剰になる要因は脳の疾患などによる「器質性」、遺伝的な問題やモノアミンの異常、ウイルスや炎症などによる「内因性」、ストレスによる「心因性」に分けられる
・いずれも気合で乗り越えられるようなものではなく、そのメカニズムを正しく理解することが必要
・体は様々なストレスへと対処するために脳や体を柔軟に変化させる力を持っている
・しかし長期間、過剰なストレスに晒されると実際に細胞が死滅したり体の機能が低下したりする
■第5章のまとめ
・生物が共通に持っている原始的な反応を「情動」と呼ぶ。「感情」は情動を言語化して解釈したもので人間らしい心の働きを指す
・悲しいから泣くのか、泣くから悲しいのかはいまだに議論が続いているが、体に起きた反応の納得のいく原因をみつけたり解釈したりするのは脳の仕業
・ポジティブな情動を生み出す脳の仕組みは「報酬系」という。「ドーパミン」が重要な働きをしており、モチベーションに深くかかわっている
・予測した報酬を上回る報酬を得たい気持ちは生存に有利に働いたが、これが行き過ぎると「ギャンブル依存症」や「行動嗜癖」になってしまう
・「人から認められたい」「社会と繋がりたい」「自分を実現したい」というのは人間らしい欲求だが、それが叶わなかった場合に心を守る心の働きも備わっている
■第6章のまとめ
・「自分を傷つけられるのは自分だけ」であり、外界の情報をどうやって脳に届けているか、そのフィルターの性質を知る必要がある
・偏った思考や歪んだ認知は「認知バイアス」と呼ばれ、ネガティブなことを増長するようなものに囚われやすい性質を私たちは持っている
・高度な共感能力ゆえに、あらゆるものに心を感じるため、他人の気持ちに敏感になってしまうことがある
・「スキーマ」と呼ばれる理論的枠組みを作り上げて体験を解釈し、調整を繰り返していくことで、世界の認識を発展させている
・そもそも認知の発達や記憶の整理の仕組みとして「カテゴリー化」したり、「レッテル貼り」をしてしまう
・信頼のおける他者の言葉によって痛みを軽減したりする効果が得られるのは、注意を分散させる効果があるため
■森田正馬のメッセージ
・考えるのではなく、見つめること
・気分ではなく目的を最優先すること
・注意を一転に向けるのではなく、分散させること
・自然体であることを大自然に学ぶこと
・~ねばならないではなく、事実を受け入れてあるがままを受け入れること
■第7章のまとめ
・「プラセボ」に効果があるのは恐怖や不安からの予測に変化を与えるためかもしれない
・複数の活躍の場を持つことは、注意を分散することになり、ストレスの影響を軽減できる可能性がある
・重要なのは自分が意図したとおりに影響を及ぼしているという実感(自己効力感)
・todoリストを活用して、小さな成功体験を積み重ねよう
・過去に成功体験を共有した人と無責任なおしゃべりをすることは最高の精神安定剤。夢のある未来に思いを馳せることも重要
・一人旅に出たり道に迷うことで脳のアラートシステムを活性化することも時には重要。孤独を恐れず一人の時間をとるのがよい
・マインドフルネス瞑想をはじめとする「認知行動療法」は、科学的根拠のある健康法。意識を「今ココ」に集中させることで、ぐるぐる思考回路の活動を低下させ、脳を休ませることが重要。
「バイオフィードバック」や「ニューロフィードバック」は、最新のテクノロジーを利用して自分の心の状態を知ることができる技術。今後の発展に注目
■知人者智、自知者明(他人を知るものは賢いが、本当に聡明なのは自分自身を知るものである) -
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まったくの門外漢で科学全般素人レベルの知識しかないのですが、タイトルにひかれて購入しました。なんとか素人にも読めるレベルにまとめてもらっていると感じました。特に各章最後の「まとめ」が役に立ちました。私なりの理解ですが、本書の主な論点は、これまであまり着目されていなかった、脳内の「スキマ」に存在しているグリア細胞、しかもそのなかでもアストロサイトというグリア細胞の果たす役割です。素人の私でも、脳内ではニューロン細胞がシナプスをつうじて電気信号を送りあっている、というメカニズムは知っていましたが、それ以外のコミュニケーションの仕組みがあること、それは言ってみればワイヤレス通信なのか、アナログ的通信のようなメカニズムで、それにアストロサイトが重要な役割を果たしているとのことです。
最終章にも書かれていますが、細胞外スペース、神経修飾物質(セロトニン、ノルアドレナリン等)、拡散性伝達、脳脊髄液、細胞間質液、細胞外電場、アストロサイト、といったニューロン以外の要素にスポットライトを当てている本です。なるほど脳科学の現在位置はこういうことか、というのが本書を通じてよくわかりました。
個人的に最も印象に残ったのは最終章です。著者が、知能と知性の違いに言及し、知能とは「答えがあることに素早く正確に答える能力」、そして知性とは「答えがないことに答えを出そうとする能力」であり、後者こそが人間らしさであること、またそれを生み出しているのはデジタル的なシナプス伝達と、アナログ的な細胞外スペースでの拡散的伝達の相互作用ではないか、と締めくくっていることです。テレビのクイズ番組などを見ると、現役東大生などが登場し、答えがあるものをいかに早く正確に回答するか、という「知能」を競っているものばかりが目につきますが、はたして彼ら/彼女らの「知性」はいかほどなのでしょうか。本書を読んで、改めて「知性」の大切さに気付かされました。 -
Posted by ブクログ
人間をコントロールしているのは「脳である」のだから、脳のことを知る必要がある。知りたい。
しかし、素人に分かるほどにシンプルなものではない。それでも、最新の科学により分かってきていることは日々増えてきている。
この本では脳のことはもちろん、生物学などにも素人の人間にも面白く興味深く全編が読ませてくれる。
「脳科学ストレス解消法」の章などは特に興味深く読んだ。”短期的なストレスは脳にとって良いこと。脳の健康のためにも...新しいものを求めて外にでよう(散歩して道に迷うなどが良い)”
脳の主要な部分はニューロンだと思っていたけど、脳の隙間を埋めるグリア細胞そこにあるアストロサイトに大きな役割があるという話などすこぶるオモシロイ。 -
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ネタバレ読書している時の脳の状態とは…
読書推奨派の自分にとって、興味をひくタイトルであったということもあり購入+読破。
・幼少期の読み聞かせは読書週間の形成に影響あり
・強制読書は逆効果
・休日の若者のメデイア使用平均時間は5時間。
・正の効果があるのは自発的で深い読書体験が必須
・紙の本は記憶と結びつく手がかりをたくさん作れるため、記憶に残りやすい。
・学習系の本→紙、物語系の本→電子もあり
・読書はクールダウンに最適(実体験からも共感)
・声に出して読む音読最強。寺子屋すご。
読み応えというか、読んでいて学びになることが結構あった。やっぱり、本は紙がいいという漠然とした主観に、根拠づけしてくれた、そんな1冊になりました。 -
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日本語ってすごいんだな、と改めて思った。
漢字とひらがなカタカナでは、脳の処理をする部分が違うらしい。
漢字は見ただけで、それが何かをイメージできる。
でも、ひらがなやカタカナは音なだけで、その文字ひとつだけでは何かをイメージすることはできない。
情報処理をする部分がいくつもあると、それだけ脳を刺激することができる。
そんな日本語を読める読書というのは素晴らしい。
本の読み方にも色々ある。
要点だけを拾って読む、細部までじっくりと読む、声に出して読む。
それぞれにメリットデメリットがある。
本を読むことは、知識が増えるだけではない。
共感する力を養える、推察して行動することができる。
自分の内から出る幸せホルモンで、リラックスでき、満足感を得られる。
興味深い内容で、結構面白かった。 -
Posted by ブクログ
読書、特に紙の本を読むことの効用が、分かりやすく説明されて、読書欲をかき立てられた。
日本語の漢字仮名混じりの文章を音読する、小学校からの国語教育は、理にかなっていたことがわかって、もっと音読をちゃんとやっておけばよかったなぁと回顧したりした。
音読の効果は、大学の先生も論文を読むときや自分の書いた文章を確認するときに使っていると聞いたこともあり、生活の中で音読ができる環境のときは、声に出して読んでみたいと思った。特に勉強をするときは意識したい。
もっとたくさん、色んな本を読んで、自分の意思で自由に生きられるように(「精神的自由」を得て主体的な人生を送れるように)なりたいなと思った。