千葉紀和のレビュー一覧

  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    出生前診断、障害者入所施設建設、社会的入院や治療拒否、ゲノム編集と受精卵診断、相模原殺傷事件と優生思想、遺伝差別、コロナによるパンデミックが起きたことから考える総障害化という分岐点。など様々な「命の選別」が起きている、起きてきたであろう状況からむしろ現代は優生社会化しているのではないかと世に問う一冊。

    第1章出生前診断に関する章の中で、病気や障害を理由にした選択的中絶についての統計が取られていないということが書かれていて驚いた。あえて取っていないのだろうなと思われた。p52「現状を直視せず、タブー視して議論しないことが一番問題です」その後のどの章の問題についても言えることだと思う。

    第2章

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    2025年02月11日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    優生思想をめぐる近年の主な出来事を取材した内容である。
    障がい者施設の設立反対運動は明らかな差別であるから、間違いであり到底共感できないが、その他の事案については、自分の立場が違えばどう考えるだろうか。特に自分が遺伝病を持っていて子どもに受け継いでしまう可能性が高い場合などは。
    やまゆり園の施設内の実態は目に浮かぶようであった。精神科病院や高齢者施設でも同じようなことを目にしている。管理者の責任は大きいと思う。
    技術が発達すればするほど、使う人間の品格が問われるのだと思った。技術革新や拡がりを妨げることはできないだろうが、海外ではOKなのにという安易な考えはやめたい。現在進行形な規制などと並行

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    2022年03月13日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    1996年まで「優生保護法」という法律が存在
    したのはご存知でしょうか。

    要は、特定の障害や疾患のある人を「不良な
    子孫を産む可能性のある人」として、不妊治療
    させていたのです。

    つまり障害者達を差別していたのです。

    残念ながら、この差別意識は今でも様々な形で
    表れています。

    その最悪の例が2016年の相模原殺傷事件です。

    この本ではその最悪の例とは別に、密かに進み
    つつある差別意識=優生思想の事例をいくつも
    取り挙げます。

    「出生前診断」「遺伝子のゲノム編集」さらに
    障害者施設建設をめぐる地域住民との争いまで
    様々です。

    このような問題は当事者意識を持つことが難し
    いと思います

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    2022年03月07日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    「旧優生保護法」問題を追ってきた記者が書くものだけに真摯に読ませる部分が多い。優勢思想に基づくものは「旧優生保護法」問題だけに済まず、現代では出生前診断の問題が横たわっている。また障害者施設建設への相模原事件反対運動など根は深い。相模原事件の問題も、後で次々と出てくる施設自体の問題。障害者を「排除」し、しかも安上がりな福祉で済ましてきた我が国の社会保障の根深い問題もある。今もあり、この先も続く優成思想に基づく様々な事象について、またそれが技術の進歩で見えにくくなっている現代だからこそ、常に注意してアンテナを張って、その根を見続けないといけないだろう。

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    2021年12月04日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    この本の前に読んだ出生前診断より個人的な思想や意見は示されていなかったので、より考えさせらた。優生思想=悪、そう思っていたけど、その裏側には多くのしがらみが存在していた。でもやはり、論理として成り立っていると決めてしまったら人間社会というものが崩壊すると思う。マジョリティがいつも正しいとは限らない、優先されるべきでもない。でも私はマジョリティの中にいて、マイノリティの世界に気付けない。いつもマイノリティの中に放り込まれた時にようやく社会の生きづらさに気付く。人は当事者にならないと何もわからない。経験がモノを言う。

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    2021年04月16日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    すごく考えさせられる内容だった。
    色んな立場で色んな意見があって、
    どれがいいのかわからない。
    でもこんなに考えさせられる内容の本は
    久々に読んだ気がした。

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    2021年04月04日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    ーー安寧を願っているのに、最終的に個人が「排除」へと選択を迫られかねない社会を放置しておくこと、弱者と共に生きる方法を考え続けることを放棄してしまう「怠惰な思考」こそが、優生思想なのではないだろうか。(p.318 あとがきより)

    重度の知的障害を持つ弟がいる、大学の同期。自閉症の長男を持つ、知り合い。次男が肢体不自由の同僚。彼ら彼女らの生き方には、そのことが重く関わっている。けれど、それを一括りに「不幸」と呼んでしまうことには抵抗がある。ままならなさから生まれる言葉や思いの深みの様なものを、常々、感じさせられているから。そして、逆に、そういう事情を知らない人たちからの彼ら彼女らに対する人物評

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    2021年02月23日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    まず圧倒的な取材力と熱量を感じた。これだけの内容を2人だけでカバーしているのは単純にすごい。筆者たちは冒頭で、『「論」ではなく「事実」を地道に積み重ねることで、社会の通奏低音を明らかにするとともに、誰も幸せにすることのない優生社会化を問い直す糸口を探りたい』と志高く宣言する。容易なことではないはずだが、まさにジャーリストが担うべき仕事であり、見事にそれを達成している。

    生命倫理の分野で「リベラル優生学」や「新優生学」という言葉が登場して久しい。筆者たちはそうした知見は踏まえながらも難解な専門用語で誤魔化さず、ビジネス化の現場や学会の利権争いに踏み込み、時には「善良な」市民にも問いをぶつけ、そ

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    2021年01月04日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    技術の進歩と市場経済と差別が混ざり合う現代の優生思想の複雑さを勉強した。

    出生前診断の話はあまりにも色々な思惑が絡まり合いすぎて愕然とさせられた。
    障害者への社会の冷たさと障害を抱えながらも幸せに生きる人々のエピソードに心を大きく動かされた。
    じっくりこれからも考えないといけない。

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    2023年04月14日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    社会的な問題と認識しつつも何となく詳細を知ることを避けていた事例がいくつも。端から見てるときは言えることも当事者となったら逆のことを言ってるかもしれない。自身も無意識に命の選別をする思想を持ちうると考えると怖い。今まであまり読んでこなかった類いの本なので、今後はもう少し読み広げたい。

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    2022年03月19日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    普段あまり光の当たらない出生前診断、障害者施設の実態等について丁寧に取材した本。

    非常に難しい問題だと感じる。
    障害者施設に反対するような人々の態度は論外だとしても、障害を持って生まれてきた人は苦労して生きていかなければならないことは多いだろう。

    それを心配して、出生前に検査を行おうとする人達、その心配をビジネスにする人達、問題は複雑で、何が正しいのか考えさせられる。
    ただ、障害を持つ人、持たない人という二元論で考えるのは良いことではなく、それぞれの状況によって考えていくべきということは間違いないと思う。

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    2022年02月05日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    オランダには、ダウン症の子供がいない。
    NIPT新型出生前診断が公費で受けられる。
    日本では、自費だし、受ける要件は、日本産婦人学会により決められていたが、今は厚労省が、音頭を取りガイドラインを策定中。
    NIPTを受け、陽性となった場合、障害者を産む可能性がある為、中絶する。
    先天的な障害者を無くす、旧優生保護法の思想に近いものがある。
    医療費、社会保障費の軽減にもなりうる。

    障害者差別解消法では、その障害児を産みたくないから中絶する、と言う概念でもう差別しているのだが。

    権利意識として、知る権利、障害者を持たない権利を口にされると弱いのだが、レイシストだね。

    しかしね、障害は、先天的じ

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    2021年11月09日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    第1章 難しく、集中して読まないと内容が理解できなかったです。
    第2章 無知であることが、差別偏見を生む。障害者施設反対の実例を踏まえて理解できました。
    第3章 我が子に障害があるのを受け入れられない親。その反対に、障害があってもなくてもうちの子だと言う親も出てきます。
    第4章 親になって初めて自分が障害の原因を持っていたと気付き、2人目は健常者で産まれてほしいと診断を望む親。
    第5章 そこまで選んでいいのでしょうか。
    第6章 津久井やまゆり園、植松死刑囚。最初は障害者をかわいいと言っていたと知りました。
    第7章 国が求めているのは、生産性のある人間だけなのでしょうか。



     私が親になると

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    2021年09月09日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    障害児と関わる仕事をしています。周りに健常児より、障害児の方が多い環境にいると、この世界での「多数派」としての価値観が、世間一般では「ごく少数派」としての価値観だということを忘れがちで、そこが乖離を生む要因の一つになっていると感じます。
    「ごく少数派」の私たちも、「多数派」がどうかんがえているのか、目を背けず、向き合っていくことができれば少しはさまざま前進するのでしょうか。

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    2021年06月12日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    「なかったことにしたい」「遠くで暮らして欲しい」「生まれないで欲しい」それが本音だとしたらなんと悲しいこと。傍観者として眺めているだけならなんとでも言える。「現実は過酷だ」当事者にそういわれたら、返す言葉はない。「ほっと一息つく暇もない」それでも幸せは思わぬ瞬間に感じるもの。自分も家族も健常で、一見平穏な暮らしにみえても、生きていくのは楽ではない。ハンデがある人もそうでない人も、身近にいて、助け合いながら暮らして行く。そんな古くて新しい世の中であったらいい。いろんな問題を読み進めながらそう思った。

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    2021年02月15日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    印象的だったのは出生前診断NIPTに対して「不安ビジネス」との批判しているところ。
    美容外科が次々とNIPT事業に参入する理由として、利益率の高さが挙げられているのも医療としての倫理が置き去りにされ、ビジネスとしての側面が強いから。

    NIPTは本来、親が安心して将来を考えるための技術であるはずが、ビジネスとして過度に商業化され、親たちの不安を煽る仕組みが広がっている現状は非常に問題だと感じた。親たちが冷静に選択できる環境作りと、十分なサポート体制の整備が急務だと思った。

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    2024年09月16日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    出生前診断には目先の利益、妊婦へ不安を煽る。思っていたより広まっているのだな。

    特に興味深かったのは障害者を拒み施設反対運動をする地域住民の話。地価が下がるという根拠のない話から何をするか分からない危険因子を取り除く…など言い分は様々で説明会は聞く気がないから意味をなさないとかみんなで一致団結して工事を妨害するのが楽しいといった当事者の声など知ることができて良かった。

    中には地道な努力で地域の反対者を味方につけられた例もあって希望もあった。お互い許し合うことができるなんてすごいじゃないか…

    何かを排除したい気持ちにフォーカスを当てた本を読みたくなった。

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    2024年01月17日
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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    感想
    境界線のあちら側とこちら側。特定の目的のために設定された境界は別の目的にも転用されうる。それが差別意識へとつながる。社会と個人の問題。

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    2023年01月03日