長門佳祐のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトル部分が冒頭からさっくりと始まりその後の展開も軽妙に続くものだから、ライトな内容の話かと思いきや会戦描写や政治工作などには非常に深みが有る
また、序盤では考えも人間性も浅いように思われた人物が後半で意外な深みを見せるのも面白かったな
具体的に言ってしまえば、とても好みな作風でしたよ!
冒頭から王子によって婚約破棄が叩きつけられ、アリシアが代わりに拳を叩き込んだわけだけど、この状況ってむしろ王国の側が最初から積んでるんだよね
蛮族を撃退し帝国との戦いでも最前線で活躍し続ける。国の騎士の大部分も王ではなく彼女に忠誠を誓う。そして王家よりも正当な血筋を持ち、王子とその母は嫌われ者
こうまで各種要素が揃ってくるとむしろアリシアを放逐することで王国側は非常に困ったことになるし、対立する帝国にとっても彼女を取り込む旨味ばかり。何がどう転んでもアリシアにとって優位な状況というのは追放系としては特徴的かも
つまりアリシアが局面の舵を握る側と言えるのかもしれないけど、そのアリシアを取り込まんとする帝国のジークハルトも中々の傑物だったね(笑)
軍人皇族としても中々の功績なのだけど、アリシアに一目惚れして彼女と結婚する為に数々の裏工作を実行したのかと思うと、その熱意には平伏したくなるね
まあ、そもそも皇子の意向に従って軍や諜報が動いたというのも凄い話では有るのだけど(笑)
ジークハルトは部下達とバカみたいな遣り取りに終始しているのだけど、一応有能さは見える裏工作では有るんだよね。でも、本当に言動の数々が能天気を通り越しているのではないかと思える程に酷い(笑)
アリシアの出奔やジークハルトの策略をコミカルに描写しつつ抑えるべき政治の理論を踏まえて展開される話はとても良いものでしたよ
こういった設定の下地になるような部分って地味で複雑だから勢いで遣り過したって多少のツッコミが入る程度で済ませられるのに、きちんと納得できるように抑えているのだから凄い
冒頭のアリシア出奔は勢いに満ちていてゲラゲラ笑える感じに描かれているのに、その後に帝国側の地道な裏工作が明かされることで納得できるものになっているね
ただ、その帝国側の裏工作を超える活躍を見せてしまったのがアリシアや彼女を慕う少女たちだったのだけど(笑)
そして本作のもう一つの魅力である会戦描写は本当に素晴らしいの一言
アリシアは単騎で戦場のバランスを壊せる程の実力を持っている。だから彼女を縦横無尽に駆け回らせるだけでも充分に描写としては面白くなるのだけど、一方で指揮官としての能力も非凡である為に、アリシアが戦場に現れるだけで様々な活躍を期待できるという
これ、真面目に戦争をする側からすれば彼女ほど反則じみた相手は他に居ないんだろうなぁ……
そもそも魔力を持っているだけの平民娘500余名を煉獄を生き抜ける騎兵として育て上げたという時点でとんでもないんだけどね……
だから何がどうなろうとアリシアが抜けた王国軍とアリシアが指揮する帝国軍の戦いの結末なんて決まりきっていると言える
なら、問題となってくるのは戦争責任者をどうするか、という点に尽きるのだけど、そこに関しても本作の魅力が活きているね
冒頭にしょうもない理由によってアリシアに婚約破棄を叩きつけた愚王子のエドワード。彼は一貫して人を率いる者として相応しい資質を持たない人間として描かれているのだけど、それをフォローする描写も見受けられるね
アリシアが時代を揺り動かす超越者であるならば、エドワードは間違って高い地位に就いてしまった凡人。だからアリシアへ劣等感を抱いてしまって大きな間違いを犯してしまいそれが国を揺るがす大事件に繋がってしまった
だからエドワードに最も必要だったのは支えてくれる人間ではなく、その雁字搦めになった立場から引きずり下ろしてくれる人間だったのかもしれない
最後、自分を陥れたエドワードに対して一方的に捲し立てたアリシアの姿は本当の本当に良かったなぁ……
立場としてはエドワードは悪の王子でアリシアは正義の軍人で何度も2人はぶつかりあった。けれど最後の最後にアリシアは「お互い様だ!」と言い切った。そしてエドワードが幸せになることは「いいことだ!」とも言い切った
この瞬間に戦争は終わって、アリシアもエドワードも幸せになれたんじゃなかろうか。そのくらいに本当に良いシーンだったわ……
後書きによると元々は恋愛小説だったとは思えないほどの熱量が込められた作品だっただけに、これにて問題の大部分に片が付いた状態で次巻ではどのような物語が繰り広げられるのかと期待が高まってしまうね
なんか、巻末SSでかなり未来の話が平然と描かれているものだから驚いてしまったけど。次巻は恋愛描写が深められるのか、それともこの巻では大人しめな活躍だった者達に大活躍の機会が与えられるのか。果たしてどちらだろうね
そういや、本作の世界観は乙女ゲーを基にした世界で一定の人物はこの世界が乙女ゲーである事を知っているという大層滅茶苦茶な設定なのだけれど、肝心のゲーム主人公である転生者アンヌはとても控えめな活躍だったね
後書きで言及されているように黒幕的なポジションでは有るものの、それはアリシアの為であるし状況全てを操っていたわけでもない
敢えてその立ち位置を現すなら、ドラえもんかもしくはアリシアの茶飲み友達か。
今後は彼女も表舞台に立たざるを得ない事態とかも有ったりするんだろうか? -
匿名
ネタバレ 購入済みラブ?コメ(ラブ要素極少)戦記
面白い。ただ、些か品が無い。
ヒロイン、サブキャラは勿論、ネームドモブも、名もなきモブも
なんか軒並みキャラが濃い。
「ケキョー!」って鳴く令嬢ってなんだよ、、、
一応恋愛ものだ。
しかし恋愛については紆余曲折とかありゃしない。
もうスットレートだ。
冒頭でぶん殴られる王子とか、中盤まで影が薄い。
恋愛劇的には、出落ちで終わる。
一応恋愛もののはずだ。
しかし、いきなり内戦である。
17歳美少女公爵令嬢学生。しかし歴戦の英雄で元帥。軍隊指揮運用能力抜群。しかし元帥の癖に、最前線で敵陣突破とか。「華麗な剣捌きで敵をいなして〜」ではなく、ガチ殴りで敵をブッ飛ばすパワフルファイター。軍隊らしい下品なジョークや挑発も慣れたもの。
属性モリモリである。
一応恋愛ものだろうと思う。
しかしイチャイチャシーンは殆ど無い。(するはする)
ヒーローポジの皇子は、イケメンだが
少し変態臭がする。少しネジが飛んでそう。
一応恋愛ものなのか?
ヒロインに付く侍女(と言うより脳筋副官)は、酒カッ喰らって、胸ほっぽり出して、変な踊り踊って、イケメンハメてゲットだぜ!
良いのかそれで?
コメディである。
しかし戦争なので、戦死者は出る。名もなき兵士が死ぬ。多くは語られないが、そこに少し哀しみを感じる。
王子は没落する。しかし「ザマァ」と言う感じではない。
転生者娘は居る。悪役令嬢(のはず)も居る。
でも正直「その要素いる?」
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Posted by ブクログ
ゴリゴリの会戦描写と軽妙洒脱なトーク運びで私を魅了してくれる本作、2巻では北方遠征を含みつつもメインとなるのはアリシアとジークハルトの恋愛模様だね
第1巻時点で相思相愛と成りつつも、その立場から国の都合を無視してイチャイチャするのは難しい二人。アリシアは戦地に赴かざるを得ないし、ジークハルトもその戦いを支援するために奔走せざるを得ない
そういった意味では今回の遠征は勿論蛮族を駆逐するのが目的なのだけど、一方で自分達に求められる役目に準じつつ広域的な意味でデートをする話だったと言えるのかもしれない
そう言えてしまうくらいにアリシアにとって蛮族駆逐なんて手慣れた作業だしなぁ(笑)
ただ、だからって会戦描写に手を抜いているわけではないという点が本当に素敵。また、前巻が王国を舞台としていたなら、今回は帝国側を舞台としている為に前巻時点ではその有能さが見えてこなかったキャラの良さや帝国軍の特徴なども見えるようになっているのは好印象
特に印象が大きく変わったのはクラリッサかな。第1巻時点では有能なメイド・秘書という印象に留まっていたのだけど、これ有能すぎて昇進が難しいタイプでは…?戦場がちょっと一突きすればあっさり大混乱を起こす点が強調されている本作において、アリシアみたいなトップのために各地の情報を正確に収集し続けていたクラリッサの有能さは異常なものですよ!
それを使いこなしているジークハルトも凄ければ、不正を糾弾する姿勢なども評価して副官にまで取り立てようとしていたアリシアも見る目があると判るね
そして素晴らしい会戦描写の後はアリシアとジークハルトによるイチャイチャ描写が延々と……
これ、何気に凄いのは途中で暗殺やら部下のやらかしやら議会の暗躍やら含んでいるのに、二人のイチャイチャを些かも邪魔できていない点。二人の政治力が非常に高いために大問題も穏便に済ませられている面があるけれど、周囲に控えている者達の有能さに助けられている面もあるのだろうね
ステイシーなんて有能風無能と思いきや、特定分野においてはとても高い能力を披露しているものだから面白い。……翌々考えてみるとメアリもこのタイプだったりするのか?
また、アリシアとジークハルトの会話に関して面白いのは双方の自己評価と相手への印象が全く擦れ違っている点だろうか
恋は盲目というけれど、アリシアは自身を戦闘狂のちんちくりんでジークハルトはイケメンで優しい皇子、ジークハルトは自身を変態で面倒なタイプでアリシアを天使のように可愛らしいとそれぞれ評価している
割と擦れ違っている気がするのだけど、お互いが相手を過剰に高評価しているために周囲から「馬鹿だなぁ」と思えるようなイチャイチャも何の照れもなく行えているのかもしれないね
それでも、アリシアが気にしていたのは自分が皇子妃になった未来ですか。確かに戦争関連に特化した能力を持つアリシアにとって本格的に政治や社交が舞台となるジークハルトの隣は荷が重いと感じるのか
皇子に相応しい別の女性が結婚すべき…。ある意味政治的なアリシアの判断をメアリが軽々と吹っ飛ばして、最終的に愛の力は全てに勝つ!と言わんばかりの展開になるのは笑ってしまったけども。既に恋愛脳になってしまっているこの二人を止められる者なんて世界の何処にも居ないんだろうなぁ(笑)
と、思っていたけど、意外な所から横槍が。この二人に接触禁止なんて果たして可能なんだろうか?無理だろうなとしか思えないのだけど(笑)