アンジーキムのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレおすすめ作品。
アメリカン・ドリームを胸に韓国から移住してきたパク一家の営む高濃度酸素摂取による医療施設ミラクル・サブマリン。
とある夏の夜、自閉症の子どもや不妊症治療の患者への処置を行っていた最中に悲劇が起きる。
酸素ボンベの近くでの放火を原因とする火災を伴う爆発事故。
死者2名、重傷者多数の大惨事に。
一年後、法廷で訴追を受けていたのは亡くなった子どもの母親エリザベスだった。
いわゆる法廷ミステリの部類だが、一味違う。
渡米韓国人の苦難、障がいを持つ親の生活と揺れ動く胸の内、目まぐるしく局面の変わる法廷劇。
いずれの要素についても著者自身の経験に基づき、よく書き込めているかつ、バラン -
Posted by ブクログ
ネタバレ読書備忘録608号。
★★★★。
リーガルミステリであって、フーダニットのサスペンス。火曜サスペンス劇場?笑
舞台はバージニア州郊外、ミラクル・クリーク。
韓国人移民の夫婦が営む高濃度酸素治療施設「ミラクル・サブマリン」で放火事件が起きる。被害者は治療を受けていた自閉スペクトラム症の少年ヘンリーと、同じく治療を受けていた別の少年の母親キット。
捜査の結果、ヘンリーの母親であるエリザベスが逮捕され裁判となる。検察官エイブは治療施設に高濃度酸素を送るタンクから延びる配管をタバコとマッチを使って放火したとの証拠でエリザベスを殺人容疑で起訴。エリザベスはヘンリーの治療で心身共に疲れ切っていたことが動機 -
Posted by ブクログ
評価で☆一つと☆五つの両極端が並ぶのが無理ないほど読むのが大変な作品。500ページ近いボリュームの法廷劇で多くの登場人物たちが入れ替わり立ち替わり秘密と嘘、悔恨と疑惑を抱えた話者となって章を重ねていくから五里霧中になって読み進めるのが辛くなってくる。しかし残り30ページ頃から霧が晴れるようにすっきりとした語り口になって後味が爽やかな読後感。
閑話休題。少なからぬ日本人が知っているであろう「恨」という語を訳者が「ハン」と記したのは何故か?韓国演歌でお馴染みの言葉に込められてる万感の想いを日本人読者に伝えようとするならばあり得ない選択だと感じるのだが。