『就活』という切り口から、人生の岐路に立たされた時に何を選びとるかを描いた作品だと理解しました。
ネット文化に馴染みが深い人にとっては、そこかしこに散りばめられたネタの数々に思わず頬が緩むこと請け合いの本作品。ガガガ文庫の読者層にはマッチするのではないでしょうか。
ファンタジーの世界観でありなが
...続きを読むら、これでもかと現実を突きつけてくる描写の数々に成り立つ独特の世界観が非常に面白かったです。新感覚。ファンタジーはあまり得意じゃない私でもサクサク読める。すごい。
私自身、就活中にはよく主人公のチタンの思考に親しいことを考えたもので、有り体に言ってしまえば感情移入ができたのも大きかったですね。
ロミオ氏は就活まっただ中の人には本書をオススメしない旨を書いていましたが、私としては是非とも読んで欲しいと感じました。もちろん、これからの人に対してもでオススメしたいです。ネタバレ箇所だけ反転させて宣伝したい感。
――企業に収まることは選択肢の1つに過ぎない(唐突な文体モデルチェンジ)。そこで高い壁にぶち当たったとしても、どうか人生を諦めないで欲しい。生き方なんていくらでもある。企業文化も一大勢力とはいえ所詮ひとつの文化圏にすぎず、この文化圏が規定する枠内に収まらなかったとしても人生すべてを否定する理由とするには些か早過ぎる。社会は幾重にも編みこまれている。その表層に揺蕩う常識や価値観についても、今一度見つめなおしても良いと思う。
評価が4である点については、もう少し最後の事件を経た後日譚が欲しかったという点です。(あとがきに納期という言葉がありましたが。。。)
様々な種族、考え方を持った集団を取り上げており、それぞれが最後には(おそらくは)考え方も変わっただろうと思っていますが、その思考の変遷が読めたらよかったなと。
特に、イディアくんの最後の描写があれでは、救いが感じられなかった。意図的なものだったのだろうか。そこがわだかまりとして残った。
それでは、最後に冒険野郎からの有難いお言葉を。
「旅に出ようと思うんだ」