夏木志朋のレビュー一覧
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ネタバレいわゆる「普通」がわからない田井中と、本質的に変わることは無理であると悟り、普通になろうとするのではなく、「普通という名の皮」を被って生きることを選択した二木先生。
性的嗜好がなんであれ、確かにそれも含めて自分自身であり、あるいはその人自身なのだから、誰かがとやかく言う筋合いはないのである。
とにもかくにも読んでいて自分の心を無理矢理覗かされているような気もするし、もうやめてくれと言いたくなるような展開もある。
しかし読み終えた時に、自分自身の生き方と向き合っていくことの大切さ。そして他人と関わって生きていくことの難しさを意識させられるのである。 -
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第173回直木賞候補作。今更読みましたが、とても面白かったです。
3編の中短編が収録されています。
どの話も、どんな結末になるのか全く予想がつかずハラハラしながら読みました。
冒頭から不穏な気配がビンビンに漂っていて、登場人物は日常を逸脱していきます。ホラーか怪談のような結末に至ると思いきや…意外な結末が待ち受けていてびっくりしました。
登場人物の置かれたヒリヒリした日常感の描写がお上手で、そこに引き込まれました。
例えば、1話目の『場違いな客』では、エキゾチックアニマル専門のペットショップで働く主人公はまだ20歳なのですが、子どもの頃父親が出ていき母親も亡くなって一人暮らしをしているという状況でその日常にはどこへも行けないという行き詰まり感を強く感じさせます。
2話目の『スタンドプレイ』は、生徒たちから暴言を受ける高校の数学教師の女性が主人公なのですが、強いストレスを感じて精神的にいっぱいいっぱいになっていきます。
日常からほんの少し逸脱することで出会う非日常の予想外さにゾクゾクしました。 -
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2025年・第173回直木三十五賞候補作となった本作。デビュー2作目にしてこの作品群というのは印象的です。三編から成る中短編集。
どの作品もストーリー展開に捻りがあります。
タイトルの「N」に主題を求めたくなりますが、三作目まで読むと、ゆるやかな連作性があり、噂されている隣人かなと思いますが、「Normal」の逸脱としたい気持ちがあります。
「場違いな客」
“僕の夢のジェネリック”という表現が秀逸。ジェネリックという語の肯定性が、そのまま違和感を薄めて 日常に非日常が滑り込む。やがて何事もなかったかのように日常へ回帰する運びも含め、いわゆるイヤミスを想定させながら外してくる展開が貴重。
「スタンドプレイ」
導入の引き込み方がとても巧み。主人公の生い立ちを滲ませつつ、人間的な厚みを感じさせる一方で、スタンドプレイによって徐々に均衡が崩れていく。
トラブル自体は双方に協調性を欠くもの。
スタンドプレイ、そして噂は一人歩きする。
個人の逸脱が情報の逸脱へと連鎖する展開が貴重。
「占い師B」
有能な占い師と、霊能の才はあるがどこかポンコツな見習いという設定は魅力的。ただ、前二作と比べると、読者を「ずるっと」引き込むような違和感の持続や転調の鋭さは弱いかなと思います。
web発の作品らしいが、娯楽性あり イヤミス的な読後感あり ほのかなホラー性、さらには純文学的な気配も感じさせる。
次作でどの方向で書かれるのか 期待してしまう作家さんです♪ -
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3話がそれぞれの日常の中にちょっとの逸脱を描かれているように一見そう見えます。
最後読み終わり、変わった行動をする登場人物を追っていくと、なんとなく自分もそういうことあるなと感じるところもあり、自分も変わっているようにも思ってきます。
犯罪行為とはあくまでも人間社会が作り出した虚構に過ぎず、人に迷惑をかけないためにあるものであって、その紙一重な悪いことは、やはり人間みな考えろこともあるのではと感じます。
笑ってしまうところもあるんだけど、でもなんか、みんな可哀想にも見えて、寂しく、孤独でなんとも後味悪く、いつまでも残りそうなお話しですね。
経験が浅いからといって、アツシをいじめないでほしい
まじめ過ぎるからといって、智子をいじめないでほしい
頭がわるいからといって、秋津さんをいじめないでほしい
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初読みの作家。昨年の直木賞候補作。短編が3作で、そのうち「スタンドプレイ」に既読感。奥付け見ても初出は読んだことがない本。読み終わって作家を調べていたら、「オール讀物」の直木賞編で2回に亘って掲載されていた。記憶が微かに有り、ほっと一安心。
3作とも普通(N?)では無い内容。イヤミスのような筋。
「場違いな客」
爬虫類の店でバイトする主人公。処分されるトカゲを救おうと、店に来た客の家に強盗に入り、逆に捕まる。この客は死んだ人間を解体する夢を見続けていることから、主人公も絶対解体されると思ったら、、? 想定外の展開。客の職業も驚き。
「スタンドプレイ」
知恵遅れの夫婦から生まれた主人公。医者を目指したが果たせず教師に。この事実を知った生徒達から酷いイジメに。帰りの電車で困った乗客に出会い、ストーカーに。その後イジメの首謀者の女生徒の家に向かいビンタ。自分の2つの行為を警察と学校に通報。その後、主人公はどうなるのだろう?
「占い師B」
洞察力で当たると有名になった占い師の元に、何もできないが霊感がある娘が強引に弟子入り。占い師となって夢を叶えて、それで自殺しようとする娘。洞察力で自殺する場所を判断した占い師は強烈な引き止めに。物凄く怖い展開だった。
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ネタバレ二木先生の著者、夏木志朋さんの作品。
ふたつのお話が入っている。
ひとつ目。
ゲーム実況をする非モテ?な男子高校生。
AKILAこと周助。
ある日、自分のアカウントに
ファンアートを描いてくれた
漫画化志望の女の子チトセ。
AKILAは、彼なりの方法で
チトセにアプローチをしつづける。
目的意識がしっかりした主人公は
着々と活動を続け、フォロワーを増やし
インターンという形で就職も果たす。
チトセも別の形で夢を叶えつつあり、
AKILAと対談することになるのだか…。
ネット、SNSの使い方や
そこに付随する感情の描写がうまい。
自尊心、承認欲求、他人からどうみられるか。
そういった人間臭いところが
読み手のこころもくすぐってくる。
この話はラストが、んー。
二木先生と同様、ダークヒーロー的かも。
ふたつ目。
通常のコミュニケーションは問題ないが
友だちとなんとなく楽しむ
だらだら過ごすという
フワッとした時間に苦手意識をもつ
成人男性のお話。
相手が楽しくないのでは?と
意識しすぎるあまり
自分も楽しめなくなる。
この感覚は、ちょっと異常な感じもするが
気詰まり感は少しだけわかる気もする。
こちらの話にもSNSが登場。
SNSで自己顕示する人を観察するスレ。
主人公をはじめ、他人の言動を面白がる
若干屈折した人間の心持ちが描かれている。
こちらはなんとなくほっこりラスト。
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夏木志朋さんの新刊を見つけて即買い!表紙がニキ先生と丸かぶり♡
私はゲームをしないのでゲーム実況とか全然分からない世界だったけど、自分と接点のない世界を知れるのが読書の楽しみ。
それにしても今回もネットの世界のあれやこれや。悪質な投稿や、嘘だらけの設定でやり取りする世界。実物が存在してるかもわかんないような。
そして何のことだかよくわからないネットスラング。
正直この時代の青春を生きてなくてよかった〜と思った。人間関係疲れそうだもん。
それでも、やっぱりさくさく読み切れてしまうのは著書のうまさなんだろうなぁ〜。
面白かったです。
とはいえ、『二木先生』には数歩及ばず、かな。
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Posted by ブクログ
『ゲーム実況者AKILA』の中に「ファン・アート」と「ヲチ」という短篇2作品。
どちらも今まで読んできたような小説と全然違ってとても良かった気がする。
どちらの主人公も友だちがおらず、基本的に孤独だ。
かといって孤独を愛しているわけでもない。
「ファン・アート」の底辺ゲーム実況者の周助はそのくせ、やたらと承認欲求が強くある意味傲慢で自分のファンだというチトセを騙して近づく。騙すという意識はあまり強くないのかも。なんというかある意味利己的でそれでいて寂しがり屋で、人らしさがある。お近づきになりたくない。
「ヲチ」の主人公は自分といると相手は楽しめないのではという不安に苛まれる。子供の頃から“友だちと楽しむ”ことが苦手でこちらも日々鬱々としている。ひととかかわるって本当に大変ででも誰もひとりきりでは生きていけない。なんて面倒なんだろう。
社会を変えるほどのなにかを起こすわけでもないはずだけど、どちらも炎上に近い場所のはなしでだから完全に他人事ではない新しい日常のはなしなのかもと思ってしまうのが妙にリアルでちょっと怖かった。
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Posted by ブクログ
「二木先生」に続き二作目です。
以前、王様のブランチに出演されているのを拝見し、
女性だったことに驚きました。
「二木先生」のイメージでは、男性の方が描いているのかと思っていたため。
本作は「ファン・アート」「ヲチ」が収録されています。
「ファン・アート」
ゲーム実況を配信している高校生が、自分をエゴサしている時に見つけた一枚のイラスト。
それは自分をイメージして描かれたものだった。
どんな子か知りたくて、他人のふりをしたアカウントで近づく…
「ヲチ」
Xで狂言や妄想にも似たような発言を繰り返しているイタイ奴を踊り子として眺め言いたいことを言い合うだけのスレッド。
プライベートで対人関係を築けない主人公は、ある日そのスレッドに書き込まれていた踊り子を特定する。それはとても身近な人物だった…
どちらも痛々しいし、
でもあり得なくなさそうで、
100%理解できるかと言われると、
そうでもない。
これを私より年上の方が描いてるんだと思うと、
すごいとしか言えません。
なんかちょっと依存的な部分とか、
少しでも見て欲しい承認欲求とか、
気になって止められない部分とか、
自然を意識すればするほど不自然になっていくとか、
自分を自分でうまく操縦できないもどかしさのようなものを感じる一冊でした。