夏木志朋のレビュー一覧

  • ニキ

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    少しずつ、自分が何が好きだったのかがわからなくなっていった。それでいい、と思った。こうして元の自分が消えてしまえば、きっともう少し息がしやすくなる。
    それでも、中学に入り、卒業する頃になっても、空気は薄いままだった。(p.29)
    人を見下して心をなだめる自らを蔑む気持ちと、その心理を知っているという自負、そうした自意識がキャベツやレタスの層になって、心を襞だらけにしていた。(p.31)
    …理解不能なものをこうして「そういうものだ」と押しつけられると、こっちが、明文化されていないものに関しては何が本当で嘘なのかを見抜くのが不特手なことに付け入れられている気がして、不快で、不安だった。そしてなぜ、

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    2024年05月24日
  • ニキ

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    ネタバレ

    「広一は気が付けば手を挙げていた。内心の激しさとは裏腹に、少し肘ひじを曲げた遠慮がちな挙手だった。」
    この文に作者の才能の全てが込められていると言っても過言ではない。文字にすればほとんど変わらない2つのシーン。しかし、そこに至るまでの過程、内心の激しさの理由、そして誰の名誉のために手を挙げるのか。
    ぜひ最後まで読んでほしい1冊。

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    2023年05月30日
  • ニキ

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    ネタバレ

    人とうまくコミュニケーションがとれない
    高校生と
    小児性愛者という秘密をもつ教師とのバトル。
    これはホラーなのか?
    人間同士の成長ドラマなのか?
    はたまた敵か味方か、悪か正義か?
    その不安定な揺れに
    どんどん物語にひきこまれる。
    最後は
    クラス全体を巻き込んでのコメディや
    立場を越えた友情のようなものもあり
    「爽快青春小説」とか
    一言ではあらわせない複雑な面白さがあった。

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    2020年10月10日
  • 二木先生

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    ネタバレ

    いわゆる「普通」がわからない田井中と、本質的に変わることは無理であると悟り、普通になろうとするのではなく、「普通という名の皮」を被って生きることを選択した二木先生。
    性的嗜好がなんであれ、確かにそれも含めて自分自身であり、あるいはその人自身なのだから、誰かがとやかく言う筋合いはないのである。
    とにもかくにも読んでいて自分の心を無理矢理覗かされているような気もするし、もうやめてくれと言いたくなるような展開もある。
    しかし読み終えた時に、自分自身の生き方と向き合っていくことの大切さ。そして他人と関わって生きていくことの難しさを意識させられるのである。

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    2026年06月07日
  • 二木先生

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    なかなかセンセーショナルな作品でした。
    次の展開が気になり、一気に読み切ってしまいました。
    性格的に難ありな主人公と担任の先生の秘密の共有はどういう風に膨れていくのかなと思って読みましたが、思っていた以上に面白かったです。
    作中でハッピーエンドな終わり方でなくてもいいと先生が言っていましたが、この小説自体は、最悪な状況での最低限のハッピーエンドで終わっていました。
    是非時間がある時に一気読みしてほしい一冊です。

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    2026年06月03日
  • 二木先生

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    面白かった!!展開が早いから読んでて飽きない。ストーリーを想像できるようで、毎回想像とは別の道に転んでいくような展開だった。そういう話なの!?が何個も連なり、最終的には普遍的で強いメッセージ性に辿り着く。単純に面白いエンタメ小説で終わらないところがいいなと思った。

    自分が世の中とズレている、そこに誇りもありながら寂しさもあり、結局普通を諦めきれずじたばたしたことがある人にとっては、主人公と二木先生の関係性がある種救いでもあり、欲しかった過去の1つな気がした。

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    2026年05月18日
  • 二木先生

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    ネタバレ

    「きみは前に、自分は内面を掘り下げて生きてるタイプだとかどうとか言ってたな。
    結構なことだけど一人じゃ限界があるぞ。下手な自己修正を重ねた紛い物の自分を信じ込む前に、他人を反響板にしてみたらどうだ。」

    アスペルガー気味な高校生とロリコン趣味の先生の物語

    思春期特有の高い自意識を持ってる田井中と普段とは全く違う皮肉っぽくて口が悪い二木先生のやりとりが面白かった

    人から受け入れられない趣向を持ってしまった二木先生のそれまでの人生で散々悩んだ末に獲得した生き方が印象的だった

    「隠して生きる」という田井中の手本になる方法は精神的にしんどいものであるだために自分を好きになる必要がある。
    自分を好

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    2026年05月13日
  • 二木先生

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    派手な黄色の装丁が気になって買った小説。

    美術の先生の話ということで、
    自分も昔なりたいと思ったことあったな〜なんて気持ちで読み始めたけど、想像してたのと全然違う話だった。

    “特別”を持つ先生と、人と違うことで悩む生徒。
    あり得ないような展開なのに、妙にリアルで苦しくなる。

    途中かなりモヤモヤして嫌な気持ちにもなって、
    「これどうなるん…?」ってハラハラしながら読み終えたけど、結局まだ自分の中で続きが気になることがいっぱい。

    普通って何なんやろう、とか、自分の“特別”とどう向き合うのかを考えさせられる小説だった。

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    2026年05月09日
  • Nの逸脱

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    第173回直木賞候補作。今更読みましたが、とても面白かったです。
    3編の中短編が収録されています。
    どの話も、どんな結末になるのか全く予想がつかずハラハラしながら読みました。
    冒頭から不穏な気配がビンビンに漂っていて、登場人物は日常を逸脱していきます。ホラーか怪談のような結末に至ると思いきや…意外な結末が待ち受けていてびっくりしました。

    登場人物の置かれたヒリヒリした日常感の描写がお上手で、そこに引き込まれました。
    例えば、1話目の『場違いな客』では、エキゾチックアニマル専門のペットショップで働く主人公はまだ20歳なのですが、子どもの頃父親が出ていき母親も亡くなって一人暮らしをしているという

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    2026年04月30日
  • 二木先生

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    田井中の気持ちがよく分かる。
    自分のことを上にして見ないと心が持たない気持ち。自信がないから、自分より優れている人間がいると、その人に嫉妬とか劣等感を覚えちゃう。
    その人の粗探しをして、自分の方が優れてたら安心するんだよね。性格ヤバいと思うけど、自分の心を守るためには方法がこれしかない人もいると思う。

    褒める時に「〜みたい!」っていう人いるよね。
    作品に似てるって言いたい訳じゃなくて、自分の中にある良いと思った作品と同じ分類にして「それみたいにすごい!」って言いたいんだと思うけど、自分の気持ちをそのまま言語化できないからコピペして話すんだろうなとは思ってる。
    まあ自分にもブーメランですけどね

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    2026年04月28日
  • 二木先生

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    ネタバレ

    教師としては決して許されない性的志向を持ちながらそれを巧みに隠して過ごす二木先生と、「普通」になりたいとずっと願いながらも周りから浮いてしまっている高校生の田井中の物語。

    終盤、二木先生の性癖が生徒たちにばれ、生徒から糾弾されることとなるが、彼らが糾弾する根拠となる「普通」も「許されない」ことも時代、国、帰属する集団によって全く異なるのに、高校生の時点で既に生徒たちが強固に「普通」と主張するものを持つに至るのは何故なのだろう、と改めて「多様性」ばやりの昨今の風潮と共に考えさせられた。

    戦国時代には人殺しも10代での婚姻や男女差別も何ら珍しいことではなかった一方、現代では普通のことになりつつ

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    2026年04月18日
  • 二木先生

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    表紙のイラストレーターNayさんのファンで最初は購入。

    高校美術教師でロリコン同人誌漫画家の二木先生。かたやシンマと暮らすアルペルガー高校生。途中、イジメのシーンが主人公の心理描写が繊細な分読んでてかなり苦しい。吉田を殺したくなる。話しの展開が全く読めず、早く読み終わりたくて最近はよくトイレにこもっていた。クラスや友人グループなどで一度は自分の存在に違和感を感じたことのある人であれば、かなり興味深く読めるかも。あと、最初は鼻につく二木先生も最後には彼を攻撃する社会科から護ってあげたくなってしまう。気持ちになってしまった。

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    2026年04月18日
  • Nの逸脱

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    ネタバレ

    ・場違いな客
    ・スタンドプレイ
    ・占い師B

     どれも面白かったですが、一番は「場違いな客」でしたね。爬虫類ペットショップの話でしたが、爬虫類ペットは哺乳類ペットに比べて設備や環境づくりにお金がかかって大変であると自分は思いました。同時にペットを容易に飼えることはできないと改めて感じました。
     印象に残ったセリフがあります。1話目の「すべての人間は父親から認められたがっている」、2話目の「わざわざ加害に出て嫌いな人間のために自ら不利益を被る」が印象に残りました。

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    2026年03月27日
  • 二木先生

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    ネタバレ

    自身を普通でないと思っている生徒と、普通の皮を被った二木先生の駆け引きが見どころ。

    万引きと性癖、互いに弱みを握り合い、秘密をバラすと脅された二木先生がしぶしぶ生徒の作品を評価するという関係が奇妙で面白い。

    ラスト、秘密がクラスにバレた二木先生をとっさに庇い、土下座した先生と見つめ合う場面はシュールなのはもちろん、これまでの2人の関係が全て詰まっていて最高だった。

    散々な目には遭ったけど、秘密がバレた者同士通じ合っているように思えたからか、読後感は非常に爽やかでした。

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    2026年03月30日
  • 二木先生

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    ー何も積み上げてきていないと二木に言われた。
    何かを目指すかどうかはともかく、それは事実だった。どうして今まで気付かなかったのだろう。自分の何かを認めてもらうには、当たり前だが何かをしなければならなかったのだ。

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    2026年03月23日
  • Nの逸脱

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    2025年・第173回直木三十五賞候補作となった本作。デビュー2作目にしてこの作品群というのは印象的です。三編から成る中短編集。

    どの作品もストーリー展開に捻りがあります。

    タイトルの「N」に主題を求めたくなりますが、三作目まで読むと、ゆるやかな連作性があり、噂されている隣人かなと思いますが、「Normal」の逸脱としたい気持ちがあります。

    「場違いな客」
    “僕の夢のジェネリック”という表現が秀逸。ジェネリックという語の肯定性が、そのまま違和感を薄めて 日常に非日常が滑り込む。やがて何事もなかったかのように日常へ回帰する運びも含め、いわゆるイヤミスを想定させながら外してくる展開が貴重。

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    2026年03月21日
  • Nの逸脱

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    3話がそれぞれの日常の中にちょっとの逸脱を描かれているように一見そう見えます。

    最後読み終わり、変わった行動をする登場人物を追っていくと、なんとなく自分もそういうことあるなと感じるところもあり、自分も変わっているようにも思ってきます。

    犯罪行為とはあくまでも人間社会が作り出した虚構に過ぎず、人に迷惑をかけないためにあるものであって、その紙一重な悪いことは、やはり人間みな考えろこともあるのではと感じます。

    笑ってしまうところもあるんだけど、でもなんか、みんな可哀想にも見えて、寂しく、孤独でなんとも後味悪く、いつまでも残りそうなお話しですね。

    経験が浅いからといって、アツシをいじめないでほ

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    2026年03月18日
  • 二木先生

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    ポインティのおすすめ。

    色々感想はあるけどまず、二木先生レスバが強過ぎる。
    自分が不利な立場でも、瞬発的に的を得た発言切り返せる能力が普通に羨ましい。

    セクシャルマイノリティに関しての考え方もなるほど納得。
    最後の美術室のシーン、生まれ持った性質とうまく付き合って生きている人を吊し上げて晒して集団で叩くのは、現代のSNSに似ている。
    自分が多数派であることに一種の愉悦を感じるのだろうなと思う。
    日本人に大切なのは程よい他者への無関心と、話の中でも言ってたけど自分のことを好きになることだなぁとか思ったりした。

    表紙からホラーっぽい話かと思いきや中盤から青春展開になりいい意味で裏切られた。

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    2026年03月15日
  • Nの逸脱

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    怖かった……。笑。
    ずっとちょっとずれているような、どれも気味の悪いお話でした。
    でも一気読みできました。場違いな客は意外と爽やかさが残る感じでした。
    「一番退屈なのは人が見た夢の話」はめっちゃわかる!と思いました。
    「変態の考えることは飛躍していてよくわからない」も好きでした。

    占い師Bはぞっとする感じで、怖かったですが嫌いではなかったです。

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    2026年03月12日
  • Nの逸脱

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    ネタバレ

    Nとはノーマルを示すとのこと。3編の短編が収録されている。「場違いな客」では、ペットショップでトカゲの命を救うためにお金を用意しようとした男の行動は常軌を逸脱したものだが、ターゲットとなった男はそれ以上の逸脱者だった。「スタンドプレイ」のストーカー&体罰先生の行動も大概のものだ。そして「占い師B」に登場する占い師とその弟子の女性との関係も普通ではない。そしてこの3作品は薄い関連がある。この関連を世間と考えるなら、ノーマルを逸脱した世界は案外身近に存在するのかもしれない。死を特別視しない人々が隣にいるのかと思ったら、結構怖い。

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    2026年03月10日