堀越ゆきのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この本との出会いは、ほんの偶然、時間をつぶすためだったという訳者の堀越ゆき氏同様、私も、実家のある田舎の小さな小さな書店で、時間つぶしのために手に取ったことだった。
翻訳本、それも北欧ミステリー好きなのに、その書店にはそれの類が無く、仕方なく、、、期待もなく、、、海外コーナーわずか十数冊の中から選んだ一冊だった。
しかし、読み出したら止まらず一気読み。
作家でもない一人の奴隷少女によって書かれた彼女の過酷な実体験を綴った本作は、アメリカの古典名作ベストセラー・ランキングで上位というから納得である。
自由を得るために、彼女が選び自らに課した運命は、あまりにも悲痛なものであり、その痛みは想像を絶す -
-
-
-
-
-
-
Posted by ブクログ
タイトルからしてキツイ内容を想像できるのですが、本当にきついです。
最初から最後まで息つく暇もないほど、緊迫感と痛みを感じました。想像を絶する辛さです。
人間に所有という概念がある世界。
自分が自分のものでない存在。自分が何者かに支配され続ける人生、それが奴隷制度。
当事者だけにしか、本当の辛さは分からない。
私たちは想像することしかできないけれども、彼女の痛みは理解できるはず。
この本を読んで、思ったこと。
「自由」とは何か、よりも「自由でない」事とは何かを考えさせられました。
自由でない状況とは、、、
やりたいことができないということではなく
イヤなものを「嫌だ」といえない状況なの -
-
-
-
-
購入済み
衝撃
奴隷の女として生まれたから、という理由だけで虐げられ逃げ続けないといけなかった少女の話。
アメリカの奴隷制、南部と北部の関係性については学校で習って知っていましたが、このような小説は初めて読み衝撃でした。今の世界が実際どのような人種差別があるか実際のことろわかりませんが、少しでも平等になるよう祈るばかりです。 -
ネタバレ 購入済み
課題図書にして欲しい
夜寝る前に漫画の広告を気になって数話読み、本書に飛んで一気に読んだ。最初に思ったのは「ムラート」「母親に付帯する身分を引き継ぐ」この2点は高校の世界史で学んだが、本書を読むまで言葉の暗記でしかなかったと気づいたということだ。いかに白人男性にとって都合の良いことなのかへの気づき、その"都合の良さ"は現代日本でも多く見られるという気づきである。訳者の言うように、もっと早くに会ったならやりたかった夢への後押しをしてくれたとも思う。しかしそれだけでなく、今も日々行なっている”女性らしさ、女性なんて"という固定観念と不自由さに対しての改善を求める個人の戦いへの後押しにもなる
-
Posted by ブクログ
日本にいると、多様性について考える機会は、与えられない限り、あまりないかもしれない。
特にコロナ下においては、自ら情報を得ようとしないと日本社会特有の一般論での考え方に偏ってしまうこともある。
そんな時に読んだ本で、今も根強く残る黒人差別問題の渦中で劣悪な環境で過ごした130年前の実体験を綴られた本。理解できない言動、現実味のない情景、今も形を変えて残る差別問題を知ることの大切さを改めて感じた。
知らない国の知らない人が、どこでどう生きて考えて希望を見出しているのか、そこから自分は何を得て考えて行動できるのか。
日本が世間体や固定観念ではなく、多様性に寛容な社会になるには時間がかかると思 -
Posted by ブクログ
アメリカが奴隷制度を廃止する前、南部アメリカで奴隷として生まれた少女の半生の実話。本人が北部に逃亡し、晴れて自由の身になったのちに自身で実話として出版したが、文章力の高さから白人が実話の体で書いたフィクションとしてあつかわれ、100年以上の時を経て実話と証明された数奇な本。
筆者の人生も数奇で壮絶。
美しい筆者は主人一家の主人に貞操を狙われ続け、執拗な嫌がらせを受ける。筆者が選んだ自分を守る道は、自分を支援してくれそうな別の白人男性の子供を身籠ること。二人の子を産んだ筆者は、子供をいずれ自由の身にするために自身の逃亡という道を選ぶ。しかし主人の筆者に対する執着はすざまじく、主人が亡くなるまで -
Posted by ブクログ
『鞭で打たれる痛みには耐えられる。でも人間を鞭で打つという考えには耐えられない』という箇所が印象的だった。
初めて読む奴隷についての書物。だが考え直してみると、奴隷で読み書きができる人は少数だから、もしかしたら真っ当なのかもしれない。
思っていたよりもずっと酷く、むごい。奴隷主によって奴隷への接し方、扱い方は様々だが、どのような思想、社会背景の中でも、良いことと悪いことの判断がつく教養のある人でありたいと改めて思った。
人を売り買いし、「所有する」のは今では不思議な感覚だが、それが当たり前だった時代があるのが恐ろしい。
弱者が卑怯なことをしても、他に責められる人はいない、いたとしてもその状況を -
-
-