堀越ゆきのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『鞭で打たれる痛みには耐えられる。でも人間を鞭で打つという考えには耐えられない』という箇所が印象的だった。
初めて読む奴隷についての書物。だが考え直してみると、奴隷で読み書きができる人は少数だから、もしかしたら真っ当なのかもしれない。
思っていたよりもずっと酷く、むごい。奴隷主によって奴隷への接し方、扱い方は様々だが、どのような思想、社会背景の中でも、良いことと悪いことの判断がつく教養のある人でありたいと改めて思った。
人を売り買いし、「所有する」のは今では不思議な感覚だが、それが当たり前だった時代があるのが恐ろしい。
弱者が卑怯なことをしても、他に責められる人はいない、いたとしてもその状況を許容し生み出している社会のシステムが悪い。抑圧された側の狡猾さは、それが暴君に対して持てる唯一の武器だという箇所が、印象的だった。この見方はなかった。 -
Posted by ブクログ
「奴隷」と聞いて何を思うか。
奴隷制は良くないと赤ん坊の頃から刷り込むように教えられて来た。子どもながら、人を暴力的に従えることは悪いことなんだな、と実にフワッとイメージしていた。だからこそなのか、友人間では「お前は奴隷な」と冗談まじりに言い合いその言葉の重みを今日まで考えたことはなかった気がする。
先日、少年十字軍について調べているときだった。この十字軍は最終的に奴隷商人に売り飛ばされる結末を辿るのだが、ふと「奴隷って一人あたりいくらなのだろうか」と考えてしまった。そこから妄想を膨らませていき、奴隷の暮らし扱われ方など知りたくなった。そして読まずに部屋の片隅に置きっぱなしにしていた本書を思い出した。
奴隷制の一番の問題点は、奴隷を実際にどう扱うかということよりも奴隷を所有物とみなしているところだと言う。いかに奴隷を人間的に扱おうが、「彼ら」を物とみなしている見方・考えそのものが悪だとするものだ。
この論理は本書を読めばピタリと当てはまることがわかると思う。けっきょく人間的な扱いがなされていたとしても主人から解放されない限り、「彼ら」が自由を感じることはできない。いつまでもその首に鉄の鎖が繋がれたままなのだ。
そしてこの「解放」という言葉は実に曖昧である。奴隷制における「解放」とはどのような意味合いを持つのか、それが表していることは何なのか。本書を読み実際に感じとっていただきたい。
「奴隷」という言葉があまりにも浸透しすぎて、その言葉の重みが蔑ろにされている。y=ax +bと言えば一次関数の方程式とわかるが、その内容を理解している人はどれくらいいるだろうか。それと同じで、奴隷制=悪と短絡的に考える習慣が、奴隷という言葉を形骸化させているのではなかろうか。奴隷制は非人道的な行いだと刷り込む教育の在り方は否定せずとは言え、もう少し生徒に考えさせる授業であっても良いのではないか。
頭から何かを否定する習慣は必ず身の破滅を招く。奴隷制の知っていること知らないこと、それらを整理した上で何が最も許されざる部分なのかを考える。それができるようになれば、奴隷制を超えた真に多様な社会を受容することができるように思う。