山田恭平のレビュー一覧
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高校生の時、OBの「南極は静かで自分の心音が聞こえる」との言葉から憧れた南極。研究者となって実現した体験とは。
20世紀初頭のイギリス。南極探検のメンバーを募集するための新聞広告。
「男子求む
至難を極めし航海
薄給、極寒、続く暗黒、常なる危険
生還の保証無し
成功時には名誉有り」
当時より交通機関、装備は発展したが危険であることは変わらないだろう南極。第59次南極地域観測隊の一員として約1年4か月の南極滞在記。
閉鎖された空間で過ごす男たち、ほかの作品でも描かれる奇天烈な人々が本書でも描かれる。その分新鮮味は薄い。ただ筆者は研究者のはしくれ、真面目でかつ詳細時に詩的な記述は良かった。中 -
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あれ?南極ってユートピアなんだっけ???
読んでいる途中から自分の感覚がおかしくなってくる。
越冬隊においてはメンバーが一人何役をもこなし、それぞれが瑣末な仕事にも責任を持つ。しかも、意見や価値観の相違をどうにかこうにかすり合わせしながら。さらに言うなら、物資(主にビールやコーヒー、ソフトクリームなど、謂わば不要不急の嗜好品)窮乏の折には規制が設けられ、メンバーはそれに不満を言うでもなく受け入れている(これは一種の計画経済?)。施設の除雪は基本的には使うメンバーで行うが、みんなが使う場所は協力して行う(ここには「共有地」がある!)。それもこれも、すべては生存のため。
うーん。
ここは『ナウシカ -
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第59次南極地域観測隊に研究者として参加した筆者の、1年4ヶ月に及ぶ南極での体験記。
よく言えば諧謔味ある、あるいはユーモラスな文体で書かれたもの。一見ふざけているようにも思えるが、さすがに科学者、南極での生活のディーテイルを、こちらの目に浮かぶように記録している。
研究者として参加しているということは、いくら南極という極端な場所であったとしても、普段の生活は研究のためにある。多くの時間を観測、あるいは、観測をするための予備的な作業に費やす。しかし、そこは南極。冬の内陸部の山地では、マイナス60度にも達する。観測・研究も命がけだ。
そういった、研究者としてのどちらかと言えば日常的な側面と、南極 -
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日本は昭和基地という拠点を南極に持っており、毎年越冬しつつ観測作業を継続しています。その越冬隊の日常とはどういうものか、越冬隊の一員となった著者の滞在記と呼べる一冊です。
南極大陸と言っても面積は日本の37倍(オーストラリア大陸より広い!)もあり、平均標高は2000mを越えます。日本でさえ、平地と標高2000mの山岳地では気温その他が大きく異なるように、南極も海沿いと内陸では気候が大きく違って来ます。実は昭和基地は南極大陸本土にはなく、すぐ傍の東オングル島という島に設けられています。越冬隊の気象観測員である著者は、昭和基地だけでなく、標高の高い内陸への観測チームにも参加し、その気候の大きな違い -
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南極で越冬してみたいと思っていた。著者も高校時代に南極に行きたいと思い、研究者になってそれを実現させた。素晴らしいと思う。そして、こんな本を書いて南極観測隊の研究や日常の一端を教えてくれている。
昭和基地だけでなく、S17と呼ばれる大陸内の拠点や、ドームふじ基地までの内陸旅行まで体験し、たぶん南極暮らしを堪能したことだろう。面白おかしく書かれている部分が多いが、厳しい自然環境や限られた人数での閉鎖空間での苦労も多かったと思う。それでも南極に行けたことの喜びが行間から滲み出てきているように感じる。
今でも南極に行きたいが、ペール缶トイレだけはちょっと辛いかもしれない。でも、ウォシュレット付きトイ -
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何の因果か仕事で OCI を触らなくてはいけない上、資格も取らないといけないというのでお勉強。
日本Oracleの執筆陣による包括的な解説書で、前半のクラウド機能解説に留まらず、後半はネットワーク設計、可用性設計、運用設計といった切り口で機能をどう使うかを説明しているところは素晴しい。が、機能説明が前半と後半で完全にダブってしまっているのは、複数執筆者で書いた弊害というものか。
なお、OCI 自体は後発な上にロクでもない代物だったが、Gen2 になって以降はそれなりで、Oracle が大量の開発者と大量の資金を OCI にブチ込んできているスピード感を感じる。