ジョン・ケリーのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
1347年からヨーロッパを襲った黒死病に関する一代絵巻的な書。中世ヨーロッパの終焉を齎らしたとも言われるペスト流行時の状況を、主にイタリア、フランス、イギリスについて、同時代人による年代記や書簡、回想録といった文献資料に拠って、ビビッドに描いていく。
特に、第十章「ユダヤ人大虐殺」の章は、読んでいて苦しくなってきた。人は見えないもの、理解できないものに対して耐えきれず、何かに原因を求めようとする。反ユダヤ感情の下地があったところに、原因が分からない恐怖が火を付けて、ユダヤ人が悪者にされてしまった。コロナ禍の今、幸いなことにそこまでの事態にはなっていないが、心すべきことであろう。
ただ