若狭徹のレビュー一覧

  • 馬と人の古代史

    Posted by ブクログ

    古代、大陸から渡来した馬は日本全国に広がり普及していく。遺跡に遺された痕跡から馬の伝播の過程を再現する。

    筆者は群馬県出身。名の通り放牧する牧の跡が榛名山噴火の火山灰の下に埋もれている。
    自動車の普及する前、昭和30年代まで古代から連綿と続く馬と人のつながり。

    遺跡から歴史を探求する面白さを伝えてくれる良著。

    0
    2026年04月14日
  • 埴輪は語る

    Posted by ブクログ

    ◯埴輪の研究の黎明期から説明があり、どう採掘しているのか、どう研究されているのかも知ることができる。大変興味深い。
    ◯埴輪が古墳に並べてあって、祭祀などに使っていた、というなんかの番組で見たような知識でいたところ、古墳時代を通して、埴輪の役割が変わってきたという。
    ◯などなどあるけれども、なにより埴輪が可愛い。写真も多く、古墳との関係を図面で説明していてわかりやすい。著者の本をさらに手に取ってみたくなる。

    0
    2026年01月18日
  • 埴輪は語る

    Posted by ブクログ

    火山灰に埋もれていたおかげで大量の埴輪が良好な保存状態で残されていた群馬県の保度田古墳群、その調査に当たった若狭徹氏による埴輪解説書である本書は、同古墳群で発掘された品々の解説を序章で展開し、それを元に全国的な埴輪の分布状況、年代特定、埴輪の意義などを論じていくかなり本格的な内容となっている。予備知識なく読んだだけでは理解しづらい内容が多いため、同著者による『もっと知りたいはにわの世界』や朝日新聞出版『楽しく学べる はにわ図鑑』を読んでおくことを強くお勧めする。

    埴輪の発掘において一番重要なこととは何か。私は漠然とそれぞれの埴輪の形状的特徴や想定される年代こそ重要だと思っていたが、筆者は「発掘された位置」こそが最も大事な部分だと述べている。これはその後の展開でわかることだが、埴輪の利用目的がなんであったかを解明するためには、それぞれの個体の特徴を調べるのではあまり意味がなく、むしろそれぞれの埴輪を使って何を表現したかったのかを調べる必要があるとのことであった。これは目からウロコで、博物館に置かれている状態でしか物品にお目にかかることのない我々には想像にも至らないところであった。実際のところ、古墳が王の存命中から建設されていたのに対し、埴輪は王の死後に急ピッチで製作が進められたとのことである。顔の造形や線の粗さもあり、正直あまり質が良いと思ったことのない埴輪であったが、大量生産に適した穴窯でスピードを意識した手法で作られていた事を知って合点が入った。無論「挂甲の武人」のように国宝に指定されている逸品もあるが、埴輪それ自体に価値があるわけではない。むしろ埴輪という形代を使って、亡くなった王の生前の事績を再現することに古代人は重きを置いていたと言ってよい。

    治水や灌漑に関わる水に関わる神聖な儀式、王位の正当性を示す猪狩り、武人として出兵する場面、貴族の嗜みとして鷹狩に興じる姿、こういった王が関わった複数の場面を埴輪を使って演出し、顕彰することが目的であったとするのが著者の主張であり、そのため再現される場面の全てに王を表す埴輪が配置されているという。最初は俄かには信じ難かったが、足を省略して作られている人物埴輪によって表現される場面の全てに両足を持った埴輪が一人か二人のみ配置されているという説明を見る事で理解に至った。王や、それに準ずる臣下など上位の人物のみに全身表現が適用される埴輪の特徴を理解することで、それぞれの埴輪を配置していた理由がはっきりと見えてくるのである。

    埴輪の年代、製作された窯の特定といった専門的な部分の解説も詳細に為されている。製作場所の特定には窯跡から見つかった廃棄品や未完成の品々に残された、埴輪の形成に使ったヘラによる溝の広さをそれぞれの古墳から見つかった埴輪のものと比較することで特定していくのだという。これだけでも気が遠くなるような作業に感じられるが、X線装置を使って土や鉱物の組成を調べたり、形状の特徴を分析したりなど実際はさらに多くの手順を踏んで特定に至るらしい。地方の古墳や埴輪の研究がなかなか進まない話を聞いてなぜだろうと疑問に思っていたが、たった一つの埴輪の特定のためにここまでの手間がかかることを考えれば頷ける話だった。我々歴史ファンは研究者の方にはまったくもって頭が上がらない。感謝の限りである。

    動物埴輪の特徴、特殊器台から円筒埴輪への変遷の流れ、首長クラスの女性の埴輪の解説、大和に反旗を翻した磐井の勢力圏にて見つかった埴輪とは違う古墳の装飾品「石人」についての言及など、埴輪や古墳だけに止まらず、派生知識や当時の勢力図も含めた広い視野を持って展開される主張や解説は強い説得力があり、付け焼き刃ではない本物の知識を得たい人にはうってつけの書籍となっている。著者があとがきで述べていることだが、埴輪を知って「かわいい」と思ったあなた、そのかわいさの奥に潜む深淵の世界に足を踏み入れてみては如何だろうか。その際には本書が何よりも頼れるガイドとなること間違いなしだ。

    0
    2025年10月19日
  • 埴輪は語る

    Posted by ブクログ

    古墳(古代墳墓)ではなく、埴輪について焦点を当てた良書。埴輪について知りたい、埴輪の図録だけでは物足りない、という人の次の一冊に間違いなく推薦できる。図版も白黒ではあるが充実している。

    0
    2025年02月06日
  • 講談社 学習まんが 日本の歴史(1) 列島のあけぼの

    Posted by ブクログ

    尼で40%ポイントバックで売られてたのを機に購入。
    寺沢先生いいよね。うん。
    しかし、これ。小学生が読むにはちょっと難しい気がする。そりゃ、私が小学生の頃からは、世間の学習レベルが上がってるのかもしれないけど、んにしてもこの言葉の意味わかんのかな、小学生が。と思ってしまう箇所がありました。

    0
    2024年12月07日
  • 埴輪は語る

    Posted by ブクログ

    筆者がかかわった保渡田古墳群の保渡田八幡塚古墳から発掘された埴輪群の復元を通して、埴輪群像が王の葬送を表したのではなく生前の業績を顕彰したものであることを解説。埴輪の形式の発展、埴輪の普及の様子からヤマト王権と各地の王との関係性や地域社会の有様が読み取れることが分かった。

    0
    2021年07月18日
  • 馬と人の古代史

    Posted by ブクログ

    古墳時代に導入された馬は、どのように全国に生産が
    広まり、多くの役割を担うようになっていったのか。
    埴輪の考証、発掘された考古学的資料、
    文書や文献などにより、国家に影響を与えた馬についての
    様々な事柄を分析して、考察する。
    ・はじめに
    第1章 馬はどのように受け入れられたか
    第2章 馬生産と馬利用の実像
    第3章 古代馬の実像
    ・おわりに コラム、参考文献有り。

    朝鮮半島の戦闘での騎馬軍団との遭遇から始まる、
    馬との関わり。渡来人の馬生産集団導入と馬用塩の生産。
    畿内から地方への広がりは、馬生産でのヤマト王権と
    地方豪族たちとの繋がりになり、渡来人の移動と定着は、
    倭人への技術と文化を伝播した。
    古墳時代の牧。自由放牧、馬生産システムと、その対価。
    飛鳥時代と奈良時代。馬を司る国家の組織的機構。
    騎馬軍団、荷駄隊、駅家からの駅伝馬は駅伝制に。
    馬が主役の国家的儀礼。
    平安時代での騎馬軍団廃止での混乱により、
    武装した運送業者が登場する。
    馬に注目しての古代史は、考古学のみならず、
    発掘された馬の理化学的分析やストロンチウムの同位体分析、
    動物考古学や歴史地理学、『日本書紀』などの古代文献等、
    幅広く検証し、考察を行っています。
    馬の移動のために道が整備されて未来の道路網の基となり、
    駅伝制での駅家などは、のちの宿場やPAの原点、
    荷役馬は物流に、農耕馬は耕耘機と、現代に繋がっている
    様相が見られるのも興味深いものでした。
    画像はカラーも多く、古墳や遺跡の馬埋葬等の儀礼、
    当時の馬具などが目で理解できるのも良かったです。
    また、榛名山麓の火砕流や軽石の下から発掘された、
    馬に関する遺構・遺物では、多く遺る馬蹄跡が、
    牧や山野で動く馬の姿を見せてくれるようでした。

    0
    2026年05月12日
  • 講談社 学習まんが 日本の歴史(1) 列島のあけぼの

    Posted by ブクログ

    石器時代の事が、分かりやすくて下の部分に豆知識が書かれていて物凄く読みやすいです。ゾウと戦う時に頑張って立ち向かおうとする勇気が素晴らしいと思います。

    0
    2024年01月05日
  • 埴輪は語る

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    埴輪に焦点を当てた一冊です。
    埴輪にはどんなものがあって、どのような発展段階をたどり、時期が連動する前方後円墳をはじめとする「古墳」とどんな関係があるのか…
    などなど、埴輪を中心とした古墳時代の様子が
    図版多めに述べられていました。

    歴史事象は、決して簡単に鵜呑みにできるもの
    ではないことはわかっているつもりですが、
    強烈に印象的だったのは、

    「チラ見せの埴輪」でした。

    中では、肩すかしのような戦術だと言われています。きっと初めて見た人は、きっと一瞬息が止まるのではないかと思います。

    この、息が止まって、見ていられなくて、
    気持ちがブレて、たじろいでしまう。
    これが、戦術か…。と変に納得した部分が
    ありました。

    もう一つ言うならば、

    「女子用の馬形埴輪」です。

    鞍の中ほどに、横座りした時に足を置くステップがついているんだそうです。
    今どき女性でも乗馬する時はまたがっていると思うのです。しかしこの時代は、どうやらまたぐ
    などという、ある意味「女性らしくない所作」
    に対する意識が強いように感じられます。

    土偶でも横座りして赤子を抱くタイプがあったと
    思いますが、この精神が通じているのかな?と
    考えました。


    正直この本を読んで埴輪に対する知識も少しついたと感じますし、仏教が導入される以前までの
    アニミズム的な、メイドインジャパンの考え方が
    埴輪や古墳に現れていると思いました。

    古墳を作れるほど妙にゆったりした時代はなかったのかもしれないと感じます…おそらくヒマだったわけではないでしょうけど。


    実際の古墳や埴輪を見に行きたくなりました。

    0
    2023年09月23日
  • 埴輪は語る

    Posted by ブクログ

    3世紀頃から作られ始めた埴輪は、当初は円筒型のシンプルなものだったが、次第に複雑になり建築物を表すようになり、最終的には人物を模写したものが現れてきている.これらの流れを写真を示しながら解説している.特に人物埴輪から当時の生活様式や社会環境が読み取れるという論説は楽しめた.

    0
    2022年01月11日
  • カラー版 古代史の謎を解く! 日本の古墳100選

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    <目次>
    第1章  古代日本で造営された巨大王墓
    第2章  古墳で読み解くヤマト王権の軌跡
    第3章  古代人が見た死後の世界・石室
    第4章  大都市・東京に残る首長墓
    第5章  出土埴輪に見る古代世界
    第6章  発見された国宝級の出土品
    第7章  一度は訪れたい絶景古墳

    <内容>
    最近、古墳時代の研究も進み、発掘も相次いでいる。それを見開き2~4ページで紹介している本。カラー版だし、説明も簡潔でわかりやすい。強いて言えば地図が欲しかったが、無い物ねだりか…

    0
    2026年06月03日
  • 埴輪は語る

    Posted by ブクログ

    埴輪の意味には王位継承儀礼説、殯説、供養説、犠牲説、死後の近従説、他界説、神宴儀礼説など諸説紛々だったが、著者がこの本で述べられるとおり頌徳像説、すなわち生前の被葬者の姿を記念し讃える目的があるのは間違いないだろう。
    保渡田八幡塚古墳をはじめ豊富な事例が示されており、わかりやすいとおもう。

    0
    2022年01月05日