起業のお勉強。
多くの起業家が「社長の仕事は雑用です」と言う。創業者以外のメンバーは明確な役割を期待されてチームに加わっているため、与えられた役割を全うすることに一生懸命になる。結局、最後の頼みの綱は社長なので、社長自らが役割を限定しないことが重要だ。
共同創業者がプログラミングしかできない人であれば、社長自らが法務局に行って登記をしないと会社は始まらない。お金もなく、採用ができない内は、最終的に、社長が能力の有無の関係無しに手を動かさなくてはならない。
財務、経理、人事、労務、法務、総務、庶務などのすべてに、それらの設計と運用がまだ複雑ではないこの時期に関わることは、経営者としての成長につながる。
ビズリーチの多田(現ビズリーチ社長)はリファラル採用成功のポイントに次の3点を挙げている。
1 トップの熱量(自ら率先して行動することで、全社員がリファラル採用に主体的に参加)
2 数値の可視化(ランキングなどを導入して、社員同士が楽しみながら競い合う)
3 表彰制度(全社に対する貢献として表彰する。副賞として学習支援補助を出すなど)
本章の冒頭に紹介した、Appleのスティーブ・ジョブズの言葉にもあるように、優秀な人材は優秀な人材を紹介する。このポジティブ・スパイラルを構築できるようになると採用力は格段に高まる。自社のことを愛する優秀な社員が、さらなる優秀な仲間を集める。このループの構築をせびとも目指してほしい。
ミラティブ 赤川
「大前提として、今は "プロダクトの時代" だと思っています。ユーザー体験が悪いモノを作って勝ち続けている企業は世界にほぼ存在しない状態になってきているし、いいモノはスモールチームでもメガスケールする事例がここ10年でもたくさん出た。たとえば、WhatsAppは社員4人で10億ユーザーを抱えているし、Facebookだって一人から始まった。なので、創業初期から、もっとも重要視するべきはユーザー体験を作れるプロダクト人材だという思想でチームを作っていきました」
「採用面接の最初によく『人生、どうですか?』と聞きますね。これはアイスブレイクなんですけれど、回答でその人の人となりや、現状への不満や向上心・野心の度合い、人生に何を求めている人なのか、ということがわかったりします。あとは、いろいろ話して打ち解けた後に『ところで○○さんには闇(の部分)はありますか?』という質問をすることも多いです。
面接っていいことばかりを言いがちなんですが、なんだかんだ人間って甘える部分・弱い部分とか、自分が嫌だと思うポイントがあるじゃないですか。正直に自己開示してくれる人は信頼できるしミラティブに合うなと思います。闇が深い回答をしたらダメだというわけではありません。コンプレックスがエネルギーの源泉になっている人もいる。少しでも本音に近づいて相性を見たり、組織全体のバランスを取るために、この質問をしています」
ユーザーヒアリングでは、回答する側は思ったこと・感じたことを素直に答えるように求められる。しかし、ヒアリング相手が家族や友人であれば否定的なことは言いづらくなるものだ。また、口では「便利」や「使いたい」と言っていても実際に使わない・購入しないケースはごまんとある。顧客の声はアイディアを創出する際のきっかけとしては活躍するが、アイディアの検証には役立たない。
アイディアの検証時に見極めなくてはいけないなにより重要なポイントは、実際にお金を払ってプロダクトを購入したり、サービスを利用してくれるかどうかの「課金ポイント」。そして既存プログクトやサービスに戻らず、新しい自社のプロダクト・サービスを使い続けてくれるかどうかのリピートポイント」だ。
サイタの有安は、初月の利用客がたったの10人しかいなかったが、翌月継続率が100%だったことから勝負に出ることを決めた。継続率がもっともカギになる変数だという仮説があったからこその判断だった。
Pairsの赤坂は初日で20人、1ヶ月で1.5万人のユーザーが集まりはっきりと手応えを感じた。
それぞれクラシル、サイタ、Pairsのサービスにたどり着くまでに、各社でボツになったアイディアは山ほどある。ただし、起業家の誰もが、最後のアイディアにたどり着いたときには「今までにない感覚。これはイケると思った」と口を揃えて言う。まさに電流が走るような感覚だ。
すでに紹介したZOZOTOWNでは、ツケ払いというサービスをリリースしたことによって、今まで購入したくても購入できなかった層を取り込むことに成功した。リリース記事によれは、開始10ヶ月でツケ払い利用ユーザーは100万人まで拡大したそうだ。
CACを下げる方法は3つに分類される。
1 ターゲット顧客に限定したアプローチを探す
2 Non-Paidを活用する
3 誰も気づいていいない獲得方法を発見・発明する
デリー 堀江
「30億ぐらい資金調達するまで、僕が自分で広告運用画面全部いじってましたからね。だからこそ、CPIの下げ方や、ユーザーの獲得の仕方に死ぬほど詳しくなっていったんです。多分そのとき、僕は10分に1回ぐらい広告をチューニングしていましたね。『CPIが一瞬高くなったから、こいつ落として』みたいな。デイトレーダーみたいに、夜中じゅう張り付いてやってましたね」
「広告の入れ替えって、1時間遅れるだけでCPIが10円変わったりするんですよ。1円でも1000ダウンロードだったら、1万円じゃないですか。昔(前フードデリバリーサービスにおい て) 1万円稼ぐのに、どれだけ大変だったか。だったらCPI下げようぜって思う。いまだにケチな精神が根付いていますよね」
メルカリ 小泉
「事業はよくクルマに喩えられます。プロダクトとマーケティングが両輪で、ハンドルを持っているのが人、マネジメントチームです。そしてファイナンスはガソリン。ないとクルマが走らない」