川島浩平のレビュー一覧
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ネタバレ黒人はスポーツに生まれつき強く、生得的な身体能力を有しているというのは、多くの人が持つステレオタイプの一つであろう。実際の競技実績等から見れば、一側面としては紛れもない事実であるが、文化的、社会的、歴史的な側面から慎重に検討した場合、それは黒人という社会集団が近代の社会的迫害を経験することで生まれたスポーツで成り上がるというイニシアティブのもと生み出された一つの現象であると言える。短距離走で活躍するのは西アフリカ出身の者に偏りがあり、長距離走ではケニアのリフトバレーに住むナンディ族が大半である。また、黒人は泳ぎが苦手というステレオタイプもあるが、19世紀までは、黒人の泳力は白人に圧倒的に勝って
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black lives matterが世界中で問題になって以降、人種問題についての本をぼちぼち手に取るようになったが、この本はスポーツという切り口から歴史的な人種問題を取り扱っていたので非常に新鮮で興味深い考察が多かった。
時代によって黒人は白人よりも運動神経が悪いと見なされていたり、現代のようにあるスポーツで黒人が活躍すると、黒人は運動能力が優れているという偏見が先行し、実際はどうなのかが盲点になってしまう。このような人種が絡んだ論点には歴史的要因がどうしても絡んでしまうのがよくわかった。
科学的に(遺伝子的に)黒人は運動能力に長けているのかが結局曖昧だったので、そこが一番気になる。あと -
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検証されたことではないにも関わらず、まるで事実のことのように喧伝されていることは多い。血液型信仰なども良い例である。
安易に「黒人は速い」ということは、努力による可能性、個人の多様性、ならびに人種による適材という考え方につながるため、その危うさを 理解したいと思う。
元来、黒人はフィジカルおよびメンタルで劣るものとされてきた。むしろ、「黒人は速い」は近代のトレンドに過ぎない。
本来、スポーツは余暇を有意義に過ごすためのものであり、白人のものであった。その白人のものであったスポーツがプロスポーツ化した結果、職業として捉えられ、多種多様な人種に開かれた。それにより、スポーツで活躍する -
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昨今の陸上競技では黒人選手が上位を独占する。これは『黒人は生まれつき身体能力が高い』という原因から生じた結果であるのか。本書はそんな一般人がなんとなく信じている理由なき因果関係を、米国の黒人のスポーツと社会の歴史から考察する一冊。南北戦争、人種分類主義体制、WW?。差別と偏見の米国の歴史の中で、如何にして黒人選手が居場所を奪われ、取り返し、その結果として環境要因が無視され、印象のみで語られてきたのか。その経緯と詳細が選手個人の歴史とともに語られ、自分もまた、印象で思い込むステレオタイプの一員であったことが思い知らされる。
ただしただし。本書を語る上で重要な点として、『科学』が皆無であることを忘 -
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「黒人は柔らかな体を持ち、身体能力が高い」という固定観念について、検証した本。
個人的には、“なぜ黒人の身体能力は高いと考えられるようになったのか”という点が興味深かった。
奴隷制度、人種差別政策といった「アメリカ黒人の特有の歴史」、それに起因する「特有の職業にしか就けない」「他の職業からの排除」といったことが、根底にあると思った。
ある黒人アスリートの言葉から考えると、この固定観念は、奴隷制度、人種差別政策といった「アメリカ黒人の特有の歴史」、それに起因する「特有の職業にしか就けない」「他の職業からの排除」といったことが、根底にあると思った。 黒人が特殊な能力を持っているのではなく、“ -
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この30年、夏季オリンピック陸上男子100m決勝でスタートラインに
立ったの56人は、すべて黒人選手だという。
「黒人は身体能力に優れている」という通説は本当なのかを探った
のが本書である。
主にアメリカでのスポーツの発展を軸に語られているのだが、奴隷
制下のアメリカでは今とは違い「黒人は身体的にも劣っている」と
見られていた。
それがさまざまな分野へ黒人が進出するにつれて、スポーツでの黒人の
活躍が注目を浴びるようになる。
だが、すべてのスポーツで黒人が優れている訳でもない。本書の話から
ははずれるが、私の大好きなウィンター・スポーツでは圧倒的に黒人
選手が少ないのだ。
すぐに思い