泉克典のレビュー一覧

  • われらみな食人種(カニバル) レヴィ=ストロース随想集

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    レヴィ=ストロースの時事問題などを踏まえたエッセイ集。

    1952年の「火あぶりにされたサンタクロース」が最初にあって、そこから一気に1989年に飛び、1年に2つづつくらいのペースでかかれ、2000年のエッセイが最後。全部で17本の珠玉というのがまさに相応しいエッセイ集。

    この半世紀にもわたる執筆期間にもかかわらず、レヴィ=ストロースの物事をみる目は驚くほどの一貫性がある。

    人間の思考は、いかに現代的、論理的にみえても、「未開」の思考がふと思いがけなくでてくる。つまり、わたしたち「文明人」と「未開人」の差は、思いがけないほど、近いということ。

    「未開というものがあると思う態度こそが未開」

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    2020年02月28日
  • われらみな食人種(カニバル) レヴィ=ストロース随想集

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    初レヴィ・ストロース。
    早熟な高校生や教養学部の大学生にも手に取ってもらえるように、という配慮あっての訳だったが、彼の専門であるアメリカ神話や親族構造についての前提知識がないと、正直理解することは難しい。ただ、章によっては比較的読みやすいものもあり、彼がどう世界を眺め、人類学という学問をどのように位置付けていたか、そしてそこで得られる知見をどのように目の前の世界の解釈の材料にしていくか、ということに触れられた気はする。そして、これほど知的好奇心をくすぐられる文章はなかなかないとも思う。
    難しい!というのが正直な感想ではあるけども、一朝一夕でいかないのが「学ぶ」という営みであるから、一歩ずつ柔軟

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    2025年05月16日
  • われらみな食人種(カニバル) レヴィ=ストロース随想集

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    このところの自分の思考に顕著なある傾向には、おそらく文化人類学の論考に近しいものがみられるのではないかと思い手に取った。もっとも入門的なところに位置すると思われる一冊だが、正直なところ自分程度の教養では立ち向かうのは難しかった。それでも著者がいかにフラットな視野で世界を見ていたか、それを膨大な教養と知識の海で飾りながら綴られていることはよく分かった。
    直線的・一方向的進化に対する疑問、「未開」という視点の誤りなど、触れたかった内容も通奏低音のようにすべての論考に流れていた。勉強を積んでもうすこしスムーズに、この内容を楽しめるようになれればよいが。

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    2021年04月23日
  • われらみな食人種(カニバル) レヴィ=ストロース随想集

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    レヴィ=ストロースの思考のエッセンスが詰まった評論集。社会的事象に対して、そこから根底にある人々の思想、意識にまで抽象化した推論を行う。一見関係がなさそうな事象でさえその卓越した、帰納的思考と演繹的思考によって鮮やかな線として炙り出す。特に『まるであべこべ』では、日本人の振る舞いから見られる特徴を求心的とし、西洋の遠心的な思考と対比させて、日本人の社会意識にある方向性を見出していた。

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    2020年05月05日