坂井臣之助のレビュー一覧
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ネタバレ20年以上も前の1998年に、米国の湾岸戦争の戦い方に刺激を受けて、2人の中国人民解放軍の将校が著した本。軍事のイノベーター、現在の中国の軍事戦略が基本的な考え方から述べられており、中国はここに書かれた事を20年以上に亘って遂行していると思わざるを得ない。正直驚愕。
まず感心するのは米国の戦争の仕方を徹底的に分析し評価している。この他国から学ぶ姿勢は中国のお家芸。これはよく考えないといけない。
以下抜粋ですが、
『超限戦にとって、戦場と非戦場の区別は存在しない。平時も有事も区別しない、軍事も民事も区別しない。陸、海、空、宇宙などの自然空間も戦場であるし、軍事、政治、経済、文化、心理といった -
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この本は1992年2月に中国で出版され、多くの
話題を呼んで台湾、香港などでもベストセラー
になったそうです。
池上彰氏が推薦していたので読んでみました。
特に2001年9月11日の米国同時多発テロを事前
に言い当てている、ということで英訳版まで出
るほどの注目の書となりました。
「超限戦」とは、全ての境界と限度を超えた戦
争のことです。
「もし全てのテロリストが自分の行動を爆破、
誘拐、暗殺、ハイジャックといった伝統的な
やり方に限定しているならば、まだまだ恐ろし
い事態にはならない。本当に人々を恐怖に陥れ
るのは、テロリストとスーパー兵器になりうる
各種のハイテクとの出会いだ」
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超書 21世紀の「新戦争論」 あらゆるものを組み合わせて、1つの目標を達成するように運用し、その全過程を管理する、それが、あたらしい戦争論である。
超限戦とは、軍事の領域を大きく超えた総合戦のことである
湾岸戦争以後の状況を冷静に分析し、現代に必要な闘いとは、孫子、クラウゼビッツによる、旧来の軍事論に加えて、マキャベリの「君主論」による軍事領域を凌駕した領域での戦いである。
■問題提起
・すべての境界と限度を超えた戦争、それが超限戦である
・あらゆるものが手段となり、あらゆるところに情報が伝わり、あらゆるところが戦場となる。
・すべての兵器と技術が組み合わされ、戦争と非戦争、軍事と非軍事と -
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とても嫌な恐ろしくて重苦しい、大変な危機感、緊張感を持たざるを得ない本の内容。
ただそれが現実の国際社会で世界情勢。
日本で戦争反対とか言っている人達は、昔だって今現在だって常に日本は戦時下だったという現実を自覚し、日本人として自分がどうしたら日本のために生きられるかを問うてみる必要があると思います。
楽観的に能天気にのうのうと自堕落になんか生きていける世の中、時代ではないということを痛感せざるを得ない内容。
戦争の平民化、すべての国民が兵士であり、この世の中は軍事・非軍事含めたすべてが戦争行動。
国の動員できる戦争資源のすべての力を協力して組み合わせて配置していくこと。
われわれ -
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この「ハイブリッド戦」の最たるものと言えるコンセプトが、他でもない共産中国から生まれたことが、ある意味当然で、かつ各国軍事当局者にとっては畏怖すべきことで、非常にインパクトのある一冊である。
従来、中国の対外的な軍事行動には、非軍事的な要素も組み合わされてきたことは、日々の報道などでわかっていたが、それらが明確に定義付けされていることは、改めて認識すべきだろう。曰く、
<軍事>核戦争、通常戦、生物化学戦、生態戦、宇宙戦、電子戦、ゲリラ戦、テロ戦
<超軍事>外交戦、インターネット戦、情報戦、心理戦、技術戦、密輸戦、麻薬戦、模擬戦(威嚇戦)
<非軍事>金融戦、貿易戦、資源戦、経済援助戦、法 -
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第二次大戦の趨勢に関わる時期など細かい間違いは目につくものの、全体としての議論は幅広い教養と調査、そして深い思索に裏付けられている。
戦争が軍事領域に限定されなくなり、あらゆる手段と方法が用いられるようになり、戦争というものが軍人はもとより政治家にすら任せることのできない事象になった。
そのような状況の変化にどう対応すべきかを論じている。
兵器の新概念と新概念の兵器。新旧の戦争状態の分水嶺になる慈悲化兵器。物理空間と技術空間の概念、戦争参加者や戦争そのものの種類の変化。利益に基づいた現代の同盟とゴールドウォーター・ニコルス国防総省改組法。アメリカの軍事技術の発展と軍事思想の停滞。組み合わせ、偏 -
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非軍事の戦争という概念を提示しただけでも価値のある一冊
軍事部門による殺傷力を競う従来の戦争から、多様なアクターを利用した、殺傷に限らない手段を限りない領域で展開し、目標を達成する。
前半はこれまで縁のなかった軍事の歴史にも触れることができ、ワクワクしたが、後半は著者の雑感を含む軍事哲学の様相を帯びており、蛇足であったようにも思える。
中国の著者ということだが、米国を中心に、欧日など、幅広い国の軍事に関する参考文献を縦横無尽に駆け巡っていて、特にバイアスも感じさせない優れた記述に、米中を軸とした新たな時代の到来を今更ながらに感じることができた。 -
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借りたもの。
現代戦争が「ハイブリッド戦」――多次元作戦――となることを的確に指摘した良著。
国家の総力戦を体現したWWⅠ,Ⅱ、ハイテク戦を駆使した湾岸戦争を経て、現代の戦争がどの様に行われるかを的確に分析した一冊。
この本が20年以上前に中国で出版されていたこと。アメリカではすぐさま英語翻訳版が軍上層部に配られたこと……この事実を重く受け止める。
(他の方のレビューによると、多少の齟齬があるとの事だが)丁寧に各国の特筆すべき戦争史をも分析し、時代ごとに兵器や戦略の革新があったことをふまえ、現代戦に話を持って行く。素人の私には流れを知るには良かった。
兵器の「慈悲化」傾向――戦争の目的は兵 -
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(メモ)
①超限戦の解説。超限戦とは、軍事領域の境界や限度を超えた戦争を行うことをいう。それは、非職業軍人が非通常兵器を用いて非軍事的意義を持つ戦場で行われる。
前半は、知と教養の力作だ。てっきり人民解放軍によるナショナリスティックで視野の狭い戦略書かと思ってたが、欧米またはグローバル時代の知を結集した、現代という時代そのものの考察ともいえるものだった。主権国家とそれが排他的に有する軍事力だけでなく、多様なアクターの相互関係(と多様なパワー)を想定するリベラリズム的な世界観を、冷厳なリアリズム(マキャヴェリズム?)をもって考察している。例えば、ソロスによるアジア金融危機のようなものを、国ぐるみ -
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超限戦
湾岸戦争で戦争の概念が大きく変わった。兵器人員兵站の物量勝負だったものが、自国兵士の生命優先で「死なせない戦争」へ移り変わった。火力による侵攻圧倒制圧が主戦場だったこれまでの戦争の常識が大きく様変わりする。
ドローンを使ったミサイルでの遠距離からの空爆攻撃が主流となり、兵器の高精度高価格化が進み、持てる者が圧倒的な優位となった。しかしそれさえも過去の戦争で、これからの戦争とは、情報戦、法律戦、世論戦の三戦以外にも政治経済文化思想技術などの分野、そしてインターネットや金融、物流など国家の枠を超えたサービスなどを利用した新たなイノベーションの場が主流になり、さらにそれら一つずつを個別に戦う -
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これからの戦争の本質を説いた本と言えるかもしれない.
戦争とは「武力的手段で意思を強制する」から「あらゆる手段で自己の利益を受け入れさせる」になった.
「国が,兵隊と武器を揃え,作戦を立案し,部隊を編成し,境界を跨いでくる敵やイデオロギーが異なる敵を武力で追い詰める」という戦争のイメージはその1パターンでしかない.
本の構成としては20世紀末の湾岸戦争を軸とした軍事評論というイメージ.
細々とした話が多く,この手の話題に疎い自分には読みづらいところもあるが主張は軍事オタクではなくても知っておいて良さそうだ.
正直難しくて相当読み飛ばしてしまった.またリベンジしたい ということにしておく