高木正勝のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
昨年の秋に、高木正勝さんの「Marginalia」というアルバムと出会った。
私自身の気持ちが不安定な時で、ぼんやりと砂嵐の中に佇むような感覚でいた。
時間が無為に流れていくのを何とかするために、毎夜一周流して、聴いていた。
「マージナリア」のお話には、「文章の周りの〝余白〟に書き込んだ覚書」という意味、マージンには「縁•端」という意味もあると書いてあった。
境界のあわい、グラデーション。
今年は、余白という言葉に縁がある。
アルバムについては、ひと月に一枚、新しく買うことにしたので、今は四枚揃っている。
鳥の歌、雷の響き、蝉や名も知らぬ虫、風……ピアノが合わせる?ピアノに合わせる?いろんな音が楽しくて、優しい。
あらためて『こといづ』を読むと、自然の中のおうちの情景が浮かんできて、聴きながら、読みながら、嬉しくなった。
神様の木のお話、染色の色の表現、ハマちゃんとの他愛ない会話(ハマちゃんは、今もお元気なのだろうか)。とにかく、居心地が良い。
以下、印象に残った言葉を。
「やりたいことって、たくさんあるけれど、やるなら「ちゃんと」やりたい。ちゃんと勉強してから、ちゃんと準備してから、ちゃんと間違わないよう。ああ、けれど、「ちゃんと」ばかり先立つとやっぱり進まない、なぜだかおもしろくない。
僕は、この数年、特に震災以後、「ひとまず」やってみるのを大事にするようになった。自分ができるのかどうかわからない。いいかどうかわからない。だけど「ひとまず」やってみる」
「演奏している間、普段は目を瞑ってしまうけれど、瞑らないように気をつける。目を閉じると音にしっかり集中できて、自分のやりたいように演奏できて、それはそれで楽しいのだけれど、目を開いてみると、当たり前だけれど、現実があって、想像以上に僕は小さい」