ジェイムズ A マクラフリンのレビュー一覧

  • 熊の皮

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     圧倒的な自然描写力、とはこういう本のことを言うのだろう。作者はヴァージニア州の山の中で育ち、ヴァージニア大学で法学と美術額を修め、ネイチャー系のライターをしながらこの初の創作に取り組んだそうである。

     主人公は作者の想いを乗せたワイルドな主人公。メキシコ国境の砂漠での密売人の過去を振り捨てて偽名でアパラチア山脈で自然保護管理の職につき世捨人同然の孤独な生活を送っている。発端となったのは熊の死骸だった。皮をはがされ、熊胆(くまのい)や熊の手が取り出された残虐な殺戮。甘い蜜の罠に、犬たちの首輪に仕掛けられたGPS。現代の山の中での犯罪に、古いタイプの男が挑む。パートナーは、あからさまな暴力の犠

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    2020年03月03日
  • 熊の皮

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    ライス・ムーアはターク山自然保護区の管理人。資産家が周辺の土地を買い集めて私有地とし、みだりに原生林に立ち入ることができないようにしている。しかし、私有地となる以前から住民は森に出入りし、熊猟を行っていた経緯があり、密猟が絶えなかった。ライスの前にいた管理人である女性生物学者サラは、密猟者を摘発したことを恨みに思う何者かによって暴行の上強姦された。ライスの雇い主はサラを治療させるとともに、後任としてライスを山に向かわせたのだった。

    ライスにとっても、自然保護区は身を隠すには絶好の場所だった。ゲートに施錠すれば、私道を出入りすることはできない。もし、そこを突破されても山小屋まで来る間に迎え撃つ

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    2019年12月12日
  • 熊の皮

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    おもしろかった。退屈な場面がなく、最後までワクワクしながら読めた。自然保護区で起こる奇妙な出来事。終わりかたも良く、続編のにおいも。

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    2020年08月23日
  • 熊の皮

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    優れた自然描写と言えば、普通は優しく爽やかで癒される文章と考えてしまうところ、なんて汚くエゲツない風景が濃密に、しつこく殴りつけられていること…。

    嫌われていることなどお構いなしの爬虫類や、捕食動物たち。
    わをかけて不思議な行動の主人公。
    暴力の匂いを惜しげもなく露わにする登場人物たち。

    春を奏でる花々は、自己の遺伝子を残すために咲き、虫たちは生のために蜜を吸い、鳥たちは子育てのために、その虫を捕食し囀る。
    身勝手で、不条理で非合理的な人間たちの理由は、そこでは通用しないようだ。

    前半の遅々として進まない。でも非常に濃厚な舞台から、ラストシーンの殺し屋との対決まで、ギヤを上げ下げして走る

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    2020年07月23日
  • 熊の皮

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    ネタバレ

    ウィリアム・K・クルーガー、C・J・ボックスにも通ずるところのある”大自然と犯罪”もの。
    異色なのは犯罪者と対峙する立場の主人公ライスがかつて麻薬の運び屋をしており、服役歴有。出所後はとある事情から自ら追われる身ともなっており、舞台であるヴァージニア州ターク山の財団所有地の管理人としての立場も本来の素性を隠しての生活を送っているいわくつきの男であること。

    ある日ライスの居住区に迷い込んだ”キノコ摘みの男”が森で熊が密猟にあっていることを伝える。
    その日から密猟者を捉えることに四苦八苦することになるのだが、追手からの追跡の恐怖や地元住民との不和、女性前任者に行われた暴行事件の犯人探しも相まって

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    2021年11月20日
  • 熊の皮

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    CJボックス、クルーガー的な米国自然公園管理人小説。ただし主人公は根っからの自然愛好派じゃなくてメキシコ麻薬カルテルと関係した過去があるらしい…という思わせぶりな回想がちょこちょこ入る。リーダビリティありどんどん読み進むのだが、過去の話が面白くなりそうで今ひとつ盛り上がりにかけるのが勿体ない。長かった割には話の展開も一本調子だったなぁ。3.0

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    2021年08月07日
  • 熊の皮

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    アパラチア山脈の麓で自然保護管理の職を得たライスは、故郷から遠く離れ、穏やかな日々を送っていた。ところが、管理区域で胆嚢を切り取られた熊の死体が発見される。熊の内臓は闇市場で高値で取り引きされている。ライスは密猟者を追うが、地元民は非協力的で、前管理人で生物学者のサラを暴行した犯人もまだ見つかっていない。味方はサラと動物たちだけという孤立無援の状況で、さらに疎ましい過去の因縁―麻薬カルテルの暗殺者も迫りくる。

    自然描写が濃厚過ぎて、サスペンスは二の次になっている印象。

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    2021年05月30日
  • 熊の皮

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    ネタバレ

    あらすじは下の内容なんだけど、
    いまいち主人公のよって立つ処というか、なんでエイプリルなんかに惹かれたの?
    その前は何やってたの?そういうのは次巻なの?長い割に主人公の姿が見えてこない感じ。
    その割に結構なスーパーマンだったり無防備だったり、精神的な不安定さだったり、その落差の大きさに違和感を感じながら読んでいた。
    かといって読み口は悪くなく、ズンズンとのめり込んでしまう。でも読後感がなあ。いまいちスッキリしないというか。え?これで終わり?みたいな。

    内容(「BOOK」データベースより)
    アパラチア山脈の麓で自然保護管理の職を得たライスは、故郷から遠く離れ、穏やかな日々を送っていた。ところが

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    2021年05月24日