栄養を入れると癌が大きくなる。だから栄養は入れないほうがいい、という言い方は、癌細胞が栄養を摂り込むことだけに着目し、大事な栄養が自分たちの体から奪われていることを無視している。体から栄養が奪われ、その分の栄養を補わなければ、癌患者はあっという間に栄養障害に陥る。筋肉が細ってしまい、歩いたり立ったり
...続きを読む、自分で排泄したり、食事をしたりというのができなくなる。また、人間の体は、栄養が足りなくて「飢餓」状態に陥ると、セーブモードに切り替わり、エネルギー消費を抑えて、体力を温存するようにできている。ところが癌があると、癌がエネルギーを大量に消費し、栄養が足りない飢餓状態であっても、エネルギー消費はセーブモードにならない。したがって、栄養を補給しなければ、あっという間に栄養障害が進んでしまう。さらに、この状態に感染症が加わると、消費エネルギーはますます増加し、栄養障害はもっとひどくなってしまう。栄養障害があると緊急搬送されても回復は望めない。本来ならば患者を苦痛から解放し、命を延ばすべき医療が、栄養を軽視することで逆に患者を苦しめ、命を縮めている。本当に癌で亡くなる人は17.6%。あとの8割は、栄養管理が不適切なために無くなっている。栄養アセスメントに基づいた適切な栄養管理が最も肝要なのである。