卯城竜太(Chim↑Pom)のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ卯城竜太・松田修著(2019)『公の時代』朝日出版社
この本は、自分が出会った多くの本の中で、間違いなく5本の指に入る一冊。「公」とは何か?「個性」とは何か?そんな疑問を、現代の「公」に批判的に向き合うことから導き出す。
現代の「公」は、「公」と言いながら著者の言う「エクストリームな個」を排除する点で完全な「公」ではない。さらに「公」は「民」に委託され、ビジネスとして「民」的な「公」が作り出される。その「公」はエッジを削りとった、人畜無害な「公」。振り切った「個」の入る余地はない。果たしてそれって本当に「公」なのか?「公」を考えるに最適な一冊。ぜひ多くの人に手に取ってほしい。アートは現代の -
Posted by ブクログ
とても面白かった!!!書店で見つけてパラパラとページを捲ったら面白そうな匂いがしたので、そのまま買ってきました。chimpomは、東日本大震災の時に、渋谷駅の岡本太郎の壁画に、細工をして話題になったときに、知りました。でもそれ以来、全く何をしていたのか知りませんでした。
この書では、彼らの活動の本質や社会や歴史とのつながりなどが述べられていて、大変面白かった。分厚いけれど、どんどん読み進めることができました。
アートも一つのスタートアップであり、イノベーションであると改めて考える機会をいただきました。また、活動には、実装と理論づけ、その両方が必要だと再認識しました。 -
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Posted by ブクログ
大正時代の黒耀会や望月桂の発見の話も取り入れつつ、アートは、自由、ポリティカル、マイノリティとの共感、という要素をラディカルに投影するべき、という作家二人の対談。
また、対話や調停、融和より、闘争を全面にした作品表現の正統性も語る。
バブル崩壊前まであった「個」の作家性や作品にシンパシーを感じていて、反対に現在の作家や作品がすべからく「公」を意識する、あるいは従うという空気を批判する。
言うなれば「行き過ぎた人権思想」や「自由の氾濫」という最近の社会の言葉へ、反対(または追及)している立場。
とはいえ、二人とも現代美術史の知識は大変豊富である。二人のラディカルな芸術活動の過程で、独りよがりに陥 -