伊達淳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
人間にとって常に重要な動物だった「熊」。先史時代から現代まで人がどう熊を見てきたのか。
--------------------
共存の歴史という副題から、クマと人の最前線がどのように移り変わってきたのかというちょっと緊張感のある内容を期待したのですが、多くの内容は歴史的に「人間側がクマをどう認識して扱ってきたのか」ということを紐解いた内容でした。それはそれで非常に面白かったのですが、(仕事の絡みもあって)今求めている内容ではなかったのが残念でした。
とはいえ洞穴熊に一章割いていたり、最後の章では日本の事例を引っ張り出して人とクマの軋轢、そしてまさにどう共存していくのかということが(具体的ではないにせよ)力強く訴えられていて読み応えがありました。
まあこれは自然に向き合うためには大体全部そうなのですが、「人間側がそのことに真剣に向き合い、学ぶこと」が最も確実な解決方法なのですよね。そしてそれができないのも人間ですが。 -
Posted by ブクログ
人類と熊の長い歴史を辿りながら、熊と「共存」するとはどういうことかを考える。人類にとって熊は古くは脅威であり信仰の対象でもあり、今では狩猟の獲物、人間に危害を加える害獣、さらには愛すべきキャラクターにすらなった。そんな複雑で奇妙な関係性を、古今東西の様々な逸話を元に筆者と共に考える内容となっている。
熊にまつわるそれぞれの逸話は、どれも面白くバラエティに富んでいて、人に話したくなる。しかし、熊がというよりは人間の方が明らかに面白い。熊は人間から離れようとしているが、人間は熊に近づこうとしすぎていて、問題なのは明らかに人間の方だ。熊は森で静かに暮らしたいだけではないか。
また、熊との「共存」を考えるにはあまりにも人間目線で、熊からの目線ついてはほとんど分からない。様々な学説が引き合いに出されているが推論が多いように感じた。
熊の生態について知りたいのであれば他の本をお勧めする。実際に狩猟をされている方や、専門に研究されている方の本を読むほうが良いと思う。
ここで紹介されている話は、熊についての誤解を解くようなものではなかった。熊への誤解の歴史として割り切って読めば、読みごたえもあり楽しい本だと思う。挿絵も豊富で、何より表紙の絵が素晴らしい。