トム・フィリップスのレビュー一覧
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人類の「発展」の歴史のなかには、びっくりするほどたくさんの大失敗が存在する。それを面白おかしく、紹介してくれるのが本書だ。酷すぎて笑えない事例も多く含まれる。
まずは「頭のおかしい」皇帝たちの話。君主制によくある話だが、オスマン帝国においても、世継ぎを争う血なまぐさい争いが繰り広げられた。争いが大きくならないよう、いちど皇帝が決まると、その兄弟を殺すならわしがあった。だが、後継がいない状態で皇帝が死んでしまい、兄弟もいなかったとすれば王朝は途絶えてしまう。だから保険のためにスペアの兄弟を残しておいて「鳥かご」に入れることを思いつく。ムスタファ一世は、兄の死去に伴い「鳥かご」から出されて皇帝に -
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Posted by ブクログ
面白かった、というのを躊躇するほどの人類の愚行だが、やはり面白かった。podcastのコテンラジオの中でも登場していたエピソードや歴史背景が幾つかあり、それも個人的な興味と理解を深めてくれた。訳の問題でもあるのか、イギリス特有のブラックジョークなのか、所々あまりにブラックな皮肉の表現が読んでいて気になった。世界史や教科書では隠されがちな、失敗談に焦点を当て、私たち人間の愚かさと直面化させてくれた。未来から過去を判断することはとても簡単で、当時の判断はとても馬鹿げた判断のように見える。だが、恐らくここに書かれている以上の複雑な人間の心理状況や歴史的背景、当時の空気感があっての判断だったのだろうと
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Posted by ブクログ
<目次>
第1章 人類の脳はあんぽんたんにできている
第2章 やみくもに環境を変化させたつけ
第3章 気安く生物を移動させたしっぺ返し
第4章 統治に向いていなかった専制君主たち
第5章 誰が誰をどう選ぶの民主主義
第6章 人類の戦争好きは下手の横好き
第7章 残酷な植民地政策をヘマばかり
第8章 外交の決断が国の存亡を決める
第9章 テクノロジーは人類を救うのか
第10章 人類が失敗を予測できなかった歴史
<内容>
人類が地球上でしでかしたことを「失敗」という視点でまとめたもの。語り口の柔らかさ(?くだらなさ)が読むスピードを加速させてくれる。第4~8章は、世界史部門で -
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Posted by ブクログ
いつの時代にも嘘はある。権力を持っていようと持っていなくても、誰でも嘘はつく。しかし、影響力の大きい人間がつく嘘はパワーが桁外れだ。
思い込みが激しくなると見抜けなくようだ。例に挙がっているのは、西アフリカにあるコング山脈だ。セネガル西部の平原からギニアの最北端に至るまで裾野が広がっている書かれていた。
しかし、コング山脈は実在しなかった。それなのにそこに行ったことがあるという探検家たちの発言に食いついて、確かめもせず想像だけで行間を埋めた結果だった。
人間の見たいものだけを見たいという欲求の悪い方向へ進んだ成れの果てだな。「妄想特急」は出発するとどうにも止まらなくな -
Posted by ブクログ
タイトルを見て、興味を持って購入
タイトル通り、人類がしでかした大失敗について、ユーモアを交えながら、失敗の中身ごとに分類した形でまとめられていました
人類は将来を見据えることができなくて、欲を優先して決断する生き物だから、いつまで経っても同じ失敗を繰り返す、ということかなと思いました
その繰り返すサイクル、速度が、時代が進むにつれ、技術が発達するにつれて加速度的に早まっていることも認識できました
わかっているのに、失敗を繰り返してしまうことこそ、人間らしさである、ということがわかり、複雑な気持ちになりました
最後に、とある人物の写真が唐突に出てきて締めくくられるのですが、あー切ない