ダニ・ロドリックのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ー こうしたトレンドの裏には、テクノロジーと貿易の両方がかかわっている。世界的に急速に進んだ製造業の技術進歩によって、サービスと比較した工業製品の相対価格が低下したことで、発展途上国の企業にとっては新たに市場に参入するインセンティブが低下している。同時に、製造業がより資本集約的、技術集約的になったことで、農業や非公式経済出身の労働者を吸収する潜在力が著しく低下した。貿易の面では、中国など成功した輸出国との競争や世界的な貿易障壁の解消によって、いまでは国内消費向けの単純な製造業を発展させる機会すらほとんどの貧困国には与えられていない。 輸入代替による産業化の余地がなくなったのだ。
我々がこれまで親しんできたような形の産業化を経験するのは、東アジアの虎たちで最後になるというのもありえない話ではない。もしそうなれば、これまで説明してきたような理由から、経済成長にとっては悪いニュースだ。発展途上国においては、バンカーや経営者と小商いや家事手伝いなど非公式経済で働く人々との間の収入や労働環境の格差は、かつてないほど大きくなっている。 人的資本や制度の機能を十分に蓄積する前に早期にサービス経済に移行したことで、先進国でさえ対応に苦しんでいる労働市場における格差や排除の問題をさらに悪化させたのだ。 ー
安易に内側に閉じこもり、ブロック経済化を招くのではなく、新しいグローバリゼーションのあり方と向き合わなければならない、ってそんな話。 -
Posted by ブクログ
経済学の命題はすべて条件付きの命題なので、命題を適応する前に現実の状況が前提条件を満たすのか考えないといけないと主張していて勉強になった。
また、単一の普遍的モデルによって世界を説明する学問ではなく、複数のモデルを状況に応じて使い分ける学問であること、古いモデルが新しいモデルに完全に置き換わるのではなく、新しいモデルが増えていくことで発展する学問であるということも主張していた。
それゆえ、経済学は数学の言葉を使うからといって自然科学とは違い、状況に応じてモデルを選びとる技芸の要素が入るものだそうだ。
この主張は経済学に限らず社会科学への不満や不信が言語化されているように感じ共感した。
経済学の発展により合理的選択のモデルから行動経済学的なモデルに置き換わったのだと思っていたが、これは誤解だとわかった。