八尋舜右のレビュー一覧
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誰もが天下を夢見て覇権を争った戦国時代。
そんな中、野心を抱くことなく自らの生きる意味を探した知将・半兵衛。
僅か36年で幕を閉じた彼の生涯は、自らは天下を望むことは無くとも、天下統一の為に明け暮れたものでした。
戦乱の世を憂いていた半兵衛は、若き日の秀吉に懇願されて軍師を務めます。
当時は不治の病だった肺病を患いながらも、その知略を秀吉のために使い、天下への足掛かりを築き上げました。
自らの頭脳を驕ることなく、欲望に走ることなく、自らの生存意義を探し続けた半兵衛。
そんな彼の生き方に憧れます。
どうでもいい余談ですが、私の筆箱には半兵衛の家紋のストラップが付いています。
学業成就祈 -
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ネタバレ秀吉から「天下無双の勇士」と讃えられた筑後柳河十三万石の領主・立花宗茂。武勇人にして清廉な為政者であった武将の生涯を綴る力作。
筑後柳河十三万石の領主立花宗茂を描く長編小説。秀吉をして「鎮西一の忠勇、天下無双の勇士なり」といわしめた宗茂の生涯は、戦っては義戦多く、常に寡兵をもって大軍を破り、その生きざまは信義一筋、まことに誠実・清廉なものであった。これは実父高橋紹運、養父立花道雪という両父の高潔な生き方を範としており、ゆえに本編は、この三人の父子像が中心のテーマとなっている。
ともに大友家の加判衆であった両父は、当主宗麟を守り立てる立場にある。たとえ非道な仕打ちにあったとしても、決して当主を -
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ネタバレ戦国時代末期、信長が無念の最期をとげ、秀吉が天下を取る頃の九州での話。
九州では、大内氏が毛利に敗れ、薩摩の島津と豊後の大友が覇権を争っていた。その大友側の当主 宗麟の幕下を勤めるのが、戸次氏、立花氏、吉弘氏、高橋氏だ。高橋紹運の子、高橋統虎が立花道雪の娘婿に行き、立花統虎となる。この物語の主人公、後の立花宗茂だ。
宗茂の義父道雪は、武士無骨を絵に描いたような人であり、絵に描くだけでなく、しっかりと実践した人であった。主従の紐帯は信義である、というのが道雪の信条だった。信義は武士が己の生き方をまっとうするためのものだ。ただ、おのれ一人が生き延び、肥え太るために右顧左眄し、利のある方へなびく -
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さほどの厚さではないのに 進めるのには存外時間を要した。
理由の第一は 半兵衛の内向性の強さ そこから生ずる内省が 死の間際まで執拗に繰り返される処にある。大軍師たる者 無論己を律することには他者に対するより厳しいに違いない そして筆者は そんな半兵衛の孤高というものを著したかったのかも知れなくても 剰りに幾度も目に見えるかたちで綴られるが為 私にはかえって 優柔不断な・線の細い・似非完璧主義者のような――まるで自身のような――半兵衛重治像しか結ばれなかった。安寧なる天下を志して居る筈だのに 実の処は 暴虐を極めたとも映る信長の天下布武を 其れを未だ畏れることしか知らぬ秀吉を 助けて己もまた暴