三軸修正法の池上先生との対談本。いつも通りの内田老師のトーン。
・哲学は複雑な学問であると思われがちだが、世の中の方がよっぽど複雑であり、その点ではかなり正直な学問である。
・頭で感じる快不快と、身体で感じる快不快は異なっている。それを識別できない人が多い。頭で感じる快というのは幻想的なもの多い。政
...続きを読む治的陶酔やイデオロギー、はたまた身体毀損によるもので、おおむね幻想的な快楽であるが、身体的な快はじっくり、ゆっくり感じるもの。多くの人が、幻想に惑わされやすい。過度なダイエットやピアスなどは明らかな身体毀損であり、身体的には不快であるにもかかわらず、頭で感じる快の強さに押し負けて、快楽と誤認しがち。もっと、身体的な快に耳を傾ける必要がある。
・目の前にあるものの価値を構成しているのは、先取りされた未来の喪失感。実は、今の目の前のもののかけがえのなさを担保しているのは未来の喪失感であるというワードはとてもしっくりきた。その考え方を推し進めると、今を生きていてつまらないという人は、自分が死んだときに人生を回顧してどう感じるかということの想像をする習慣がない人である。常に自分の死について考えることが今のかけがえのなさをヴィヴィットに感じられる秘訣。