S J モーデンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本作の特徴を箇条書きにすると以下の通りだと思う。
・SF
・ミステリ
・火星
ストーリーを一言でいうと、生きているうちに刑の見込みがない囚人を即席でトレーニングし、火星に送り込んで、NASAの正式な探査チームが到着する前に、恒久的な火星基地を建設させる。
こういうものです。
そして、これをNASAから請け負っている企業があって、その企業が所有している幾つかの刑務所から囚人を選び出しているのです。
これっておそらく、欧米では旧来、囚人を訓練して軍人とし、戦争に送り出すという習慣があるから発想されるのかな。日本ではないですよね。
しかし囚人、しかも死刑囚とか途方もない懲役刑(これも日本ではない -
Posted by ブクログ
ネタバレ何か技術を持った死刑囚たちが、地球ではなく火星で、無期懲役のように死ぬまで働き続ける話。
火星に行くまでの展開で「友達」ではないけれど「上手くやっていける人たち」として希望のある気持ちにさせての火星に着いてからの展開は本当にしんどかった。
それらを踏まえた上で、フランクが最後の相手に向けた言葉、どんな思いで発せられたものだったんだろう。
『星を継ぐもの』の時も思ったけど、SFで専門用語がめちゃ出てきて謎解きをするくだりはとても苦手だ。目が滑るし、説得力のあるミステリは求めていないので。
そもそもミステリの要素いるか?感だった。
「なんと!あいつは!!ヤク中だったのだ!!!」みたいな -
Posted by ブクログ
そうだよな~
「火星の人」では(ほかの作品でも)生存可能な施設から
物語がはじまるけど、何もないところに、
それも死と隣り合わせの、救援も期待できない、
何か欠けても年単位で待たなければならない、
戻ることすら困難な、そんなところに
一歩を踏みださなければならない、そういう人が
必要なんだよな~、と。
ミステリーサイドは正直ちょっと期待外れ。
でも読み終わってみて、章の初めに書かれている
記録が何を意味しているのか、読み終わったあとに
読み直して、物語を背景、舞台裏から完全にして、
囚人たちの、火星での人類のサバイバルが
いかに過酷であるのか、って思いにつながる。
続編は気になります。 -
Posted by ブクログ
やっぱり地球って大切だなぁ~。
空気も水も大地の恵みも、「有る」ということは奇跡なんだ。
「火星の人」の小説・映画の成功に触発された出版社が、作家にオファーしてできた小説、と、訳者あとがきに記されている。
そのせいか、どちらかというとミステリーやサスペンスといった要素の強い、比較的わかりやすい筋立てのSF小説で、80年代ハリウッドのアクションパニック映画を見ているよう。
章ごとにフォントを変えて記録されたXO社関連の記事や社内メモ等には、本筋を補完する情報に溢れているが、時間経過がバラバラなため、読書中は少し理解しにくい(読み終わってからその部分だけ再読すると、もう少し理解できた)。
原 -
Posted by ブクログ
生徒(中学生)が推薦していた図書。
息子にドラックを売りつけていた売人を射殺した罪で懲役120年を宣告されたフランクは、刑務所で無為に過ごすのではなく、新しい環境で「働き、生甲斐を感じることができる」場所への移動を承諾して契約書にサインします。
その場所とは火星。民間企業が宇宙開発を担うなか、NASAの宇宙飛行士が火星に降り立つ前に、彼らが使う基地を組み立てるのが、フランクたち長期服役囚の仕事になりました。
自主性や自由はある程度認められているものの、火星というどこにも逃げ場のない環境、少人数の閉ざされた人間関係など、正常な精神を保つことに困難を伴う状況の中で、次々にクルーが死亡するという事 -
Posted by ブクログ
ネタバレコストの関係から、地球に戻って来られなくても構わない人、としてMB1(火星ベースワン)建設計画のメンバーに選ばれた、建設、農業、医療などのスキルを持つ、囚人のフランクたち。しかし、仲間たちが1人ずつ一見事故のように見える状況で死んでいき、彼らは疑心暗鬼に駆られていく…
SFとしては、細部の考察がしっかりしていて、引っかかる所はなかったと思う。一つ気を抜けば死ぬという緊迫感の中で話が進む。とても面白く読めた。しかし、ミステリとしては正直イマイチ。というのは、最初から誰が一番自由に動け、優位な立場にあるのかは明らかだから。フランクたちが、なぜいつまで経っても「彼」そして「彼ら」のことを疑おうとも