政治思想史家の若尾さんが百姓一揆というでかいタイトルで新書を出すという事で喜び勇んで買った。内容は、さすがに近世史の第一線のかたなだけあって序盤で上手に百姓一揆についての近年の研究の成果をまとめてくれている。途中からは本人も言っているがおそらく『太平記』読みの時代的な(こちらは積読)話が中心になって
...続きを読むきている。まあ、序盤とまとめだけでも、百姓一揆についてコンパクトに学びなおせたので良かったと思います。なお、思想史家だけあって、百姓一揆の事件というよりかはテクストとしての、または史料に描かれた百姓一揆像ないしは伝承されたことについて重きを置いている。最後の方で須田努氏の研究に触れられて、幕末期の悪党は、「顕彰」されなくなることへの「怖さ」というものには首肯できる。