森下弓子のレビュー一覧

  • フランケンシュタイン

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    ネタバレ

    ヴィクターの人間らしい憎しみ、憎悪こそがホラー。
    ヴィクターの亡霊(ドッペルゲンガー)「怪物」の孤独からくる憎しみ、苦しみとの対比が読者をぞっとさせる。なぜか?
    この物語の怖さの本質は「怪物」の見た目の恐ろしさでもなければ、主人公の愛する肉身の数々の非業の死でもない。自分が生み出した生命に対する人間らしいエモーショナルな感情の熱情が怖いのである。明らかに自分に帰ってくる許すべき存在である「怪物」に復讐することに取り憑かれた「哀れな」マッドサイエンティスト、それがフランケンシュタインであり、人間とはそうでしかあり得ない臨場感に恐怖する。
    「怪物」の視点でこの原作を読むと、その眼差しの奥にアニミズ

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    2025年06月11日
  • フランケンシュタイン

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    200年ほど前に書かれた本ですが、今読んでも、というか、今こそ読みたい、読んでほしい本ですね、これ。

    自分は、この本を読んでいて、『ジキル博士とハイド氏』と『ガリバー旅行記』を思い出しました。
    構成もなかなか面白いです。

    しかも、メアリー・シェリーが、二十歳そこそこで書いた本、というのは驚き。

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    2018年07月15日
  • フランケンシュタイン

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    「タイトルは有名だけど中身知らないよね」
    となる典型的な作品の一つ。

    長らく積ん読状態だったけど、
    とあるブログのレビューが興味深かったのでこの度呼んでみた次第。

    語り手が交代しながらモノローグを行うように展開されていて、
    解説よろしくこれが後生の『嵐が丘』等へ派生していくというのは個人的に胸がアツくなる部分ではある。

    フランケンシュタインと聞くと一般的には怪物をイメージしがちだけれども、
    怪物には固有名詞はなくフランケンシュタインとは怪物を生み出した天才科学者(ヴィクター・フランケンシュタイン、主人公)の姓である。

    物語の原題は正式には『フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウ

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    2014年09月29日
  • フランケンシュタイン

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    ピーター・ラヴゼイ『地下墓地』、
    ピンチョン『Is it O.K. to be a Luddite?』などを読んで
    気になっていた古典作品。

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    2014年02月01日
  • フランケンシュタイン

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    ”人造人間”のアイデアの元祖、そしてSF小説の起源とされることもある古典中の古典。

    知名度の割に原典は全然読まれてないことでも有名だそうです。

    科学を志す学生、ビクター・フランケンシュタインが造り上げた”怪物”によって引き起こされる悲劇的ストーリー。

    生命の創造、知識の獲得に伴う悲劇、孤独、善悪の二面性など、いろんなテーマが含まれており、とても深い。

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    2012年05月11日
  • フランケンシュタイン

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    ネタバレ

    1818年とは想像以上に昔の作品で驚いた。それでも古さを感じ無いし読みやすい。
    フランケンシュタインと聞くとどうしても映画のイメージが先にきてしまって原作もB級ホラーなのかと思ったら全然違った。

    命を生み出す側と生み出された側の心境の対比が物哀しい。

    生み出す側はしっかり最後まで責任持たないと駄目だろう。そんなに醜悪な外見なら綺麗に整えてやればいいのに。自分が作ったものに対してこんなにも嫌悪感を示すとはなぁ。「なんでやねん、お前が作ったんやろが」とつっこまざるをえない。やはり創り上げたときは何かに取り憑かれていたのだろうか。

    怪物の気持ちも痛いほど伝わってくる。心理描写や独白の場面は素晴

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    2011年06月22日
  • フランケンシュタイン

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    フランケンシュタインというのは怪物じゃなくって怪物を作った人の名前だよというのは知っていたけれど、こんなロマンティックな小説だとは思ってもみませんでした。1818年に出版されたこのイギリス小説、肌触りがルソーの「エミール」に近いなあと思いながら読みました。両方とも教養を得るために「プルターク英雄伝」が使われていますし、ジュネーブつながりもあります。
    戯画化されて流布しているフランケンシュタインって、原作と全然違うのですね。
    読みたい本があまりないsonyのReaderですが、この本を買って読んだのは大収穫でした。

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    2011年01月25日
  • フランケンシュタイン

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    ネタバレ

    フランケンシュタインの名前は聞いたことがあるし、あの人造人間のイメージは馴染みがあるが、その由来となった小説は誰も読まない、らしい。
    アンパンマンにさえ出てくるのに。
    たまたま本屋で出会ったので、読んでみることにした。

    まずしょーもないこととして、
    フランケンシュタインって、あの怪物の名前じゃないんかよ!
    (怪物を生み出した青年科学者の名前です)

    一通り読み、まずはフランケンシュタインの無責任さにイラっとする。自分の力を過信して、生命を作ったらそれが醜いからって部屋に逃げ帰って放ったらかし。なかったことにするな!
    で、大切な弟が怪物に殺されたと確信しているのに、無実のジュスティーヌが処刑さ

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    2025年04月12日
  • フランケンシュタイン

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    創作で出てくるような「フンガー」しか喋れないようなドシでノロマな怪物はそこにはなく、むしろその反対のような怪物が出てきたことに驚かされた。
    主人公に全く共感出来なさすぎたのと怪物が非行少年のような存在に見えてきたのも相まって怪物視点のみで作品を完遂させた方がよかったのではないか?とすら思った。
    虐待やDVで騒がしい昨今、この本に再びスポットが当たっても良いのではと思う内容だった。

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    2025年02月24日
  • フランケンシュタイン

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    主人公のだらしなさにイライラした‼️
    それだけ作品に引き込まれたんだと思う
    解説は長過ぎる‼️
    歯応えがかなり有る作品

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    2024年07月02日
  • フランケンシュタイン

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    ネタバレ

    人は鏡、不気味の谷現象、というワードが浮かんだ。神話の落とし込みが面白い。人は神にはなれぬという事を訴えてくる作品。
    創り出したものに対しての責任、同類への責任。今を生きる私たちもまた無意識に、または好奇心に誘われて突きつけられてしまう問題かもしれない。

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    2024年06月11日
  • フランケンシュタイン

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    〔フランケンシュタイン豆知識〕
    ・怪物の名前ではない
    ・怪物を創り出したフランケンシュタインはマッドサイエンティストの博士ではなく、大学生
    ・怪物が読んで感銘を受けた書籍は『若きウェルテルの悩み』『プルターク英雄伝』『失楽園』
    ・最初は北極を目指す冒険家の話、その中でフランケンシュタイン、その中で怪物の話という入子構造になっている
    ・怪物はあまり暴れない、知的で感性の細やかな人間の能力を超える存在。しかも動きが早い。確実に絞殺する。
    ・フランケンシュタインは怪物を創造した良心の呵責から現実逃避してばかりであまり天才という感じの人物ではない。結果、予想どおり周りの人を怪物に殺されまくる。
    ・今な

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    2024年03月02日
  • フランケンシュタイン

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    ネタバレ

    SFの起源と言われている本作、『標本作家』で登場したこともあり、手を取りました。ザ・いつか読みたいとは思っていたが、読んだことがなかった本。
    そして読み進めていくうちに、おそらくほとんどの方が思われている「えこんな話だったの…?」「フランケンシュタインって博士側の名前なんだ笑」などなど、思いながら読み進めました。

    正直、怪物に同情してしまって、なんというか煮え切らないフランケンシュタインおまえ!!と思ってました。怪物ぅう…そしてこれはある意味BLだなとも思いながら…

    「だがすぐに…自分は死に、今感じることももう感じはしなくなる。燃えるようなこの苦悩ももうすぐ終わる。自分は意気揚々と火葬の山

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    2023年02月19日
  • フランケンシュタイン

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    ネタバレ

    フランケンシュタインを単なる怪物と思っていた。
    フランケンシュタインは怪物を創った研究者で、怪物も見た目は醜いが知性を備えた生き物だった。怪物は狡猾とも言えるほどの知性を備えているし、感情も持っているし、思索もできる。
    人間を創るという発想が、この小説の最大の魅力だろうが、フランケンシュタインと怪物の語りも面白い。

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    2020年01月16日
  • フランケンシュタイン

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    1月にある読書会課題本。学生時代以来の再読になる。人造人間をテーマにしたSFの古典中の古典。映画のイメージしかない人こそ読んでほしいと思う。訳はいろいろあるけれども、この版は訳そのものはもちろんのこと、巻末の解説もとても的確で面白いので、お薦めできる。

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    2019年01月05日
  • フランケンシュタイン

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    ナショナルシアターの舞台を観て大筋は把握してるつもりだったけど解説まで読んでより理解が深まった。楽園喪失。

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    2016年08月02日
  • フランケンシュタイン

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    分類としてはホラーになるかもしれませんね
    天才科学者 フランケンシュタインが、生命の真理を窮めて創りあげたものが怪物だった。やがて、知恵を持ち感情を持つことになる。
    宗教色の強いこの作品は、キリスト教で言う創造物である人間を倫理を超えフランケンシュタインが名もない怪物・生命体を造ってしまった。それが是か否かは、わからない。
    醜悪であるがゆえに、全ての人間に問答無用の如く忌み嫌われてしまう。やがて、怪物は自身を創造したフランケンシュタインに憎悪を抱き、復讐する事となる。
    小説の著者 メアリー・シェリーは、パーシーやバイロンらと人造生命の可能性について語り合ったことが同作の着想のきっかけとなってい

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    2015年10月27日
  • フランケンシュタイン

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    バイロン卿のディオダディ荘で行われた怪奇談義から生まれたメアリー・シェリーのゴシック小説。今までに何度も映画化されてきたため、映画の印象が強すぎてホラー作品のように思えますが、原作は悲哀に満ちた内容です。フランケンシュタインの体験を聞いたウォルトンが姉への手紙に書くという体裁のため、一方から見た事実を中心に物語が進みます。出来ることなら、怪物からの見た話も読んでみたいですね。怪物の名前がフランケンシュタインだと勘違いしている人も多そうですが、怪物を作った科学者(大学生)の名前がフランケンシュタインです。

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    2014年10月28日
  • フランケンシュタイン

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    初めて読んだ本。怪物を生み出したことに罪の意識を感じる人間と、人間のように生きたいと願う怪物の話。哀しくもあるし、恐ろしくもある。名作。

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    2014年05月06日
  • フランケンシュタイン

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    11月のとある寒い晩のこと…
    怪物が案外初っ端から登場するので、ひたすらに不幸にまみれて坂を転がり落ちていく感じ。でもその永劫の絶望の中で敵対しあうフランケンシュタイン博士と怪物、それぞれが何かランナーズハイのような、天啓のようなものをひらめく瞬間がある。
    科学の力を思うままにふるった天才博士と、彼の才能によって生まれた人工生命体。その出会いは最初から不幸なものでしかなかったとしても、己の信ずるものをひたすらに追い続けるひたむきな姿が、この物語を単なるホラー以上のものにしている。

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    2012年10月16日