森下弓子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレヴィクターの人間らしい憎しみ、憎悪こそがホラー。
ヴィクターの亡霊(ドッペルゲンガー)「怪物」の孤独からくる憎しみ、苦しみとの対比が読者をぞっとさせる。なぜか?
この物語の怖さの本質は「怪物」の見た目の恐ろしさでもなければ、主人公の愛する肉身の数々の非業の死でもない。自分が生み出した生命に対する人間らしいエモーショナルな感情の熱情が怖いのである。明らかに自分に帰ってくる許すべき存在である「怪物」に復讐することに取り憑かれた「哀れな」マッドサイエンティスト、それがフランケンシュタインであり、人間とはそうでしかあり得ない臨場感に恐怖する。
「怪物」の視点でこの原作を読むと、その眼差しの奥にアニミズ -
Posted by ブクログ
「タイトルは有名だけど中身知らないよね」
となる典型的な作品の一つ。
長らく積ん読状態だったけど、
とあるブログのレビューが興味深かったのでこの度呼んでみた次第。
語り手が交代しながらモノローグを行うように展開されていて、
解説よろしくこれが後生の『嵐が丘』等へ派生していくというのは個人的に胸がアツくなる部分ではある。
フランケンシュタインと聞くと一般的には怪物をイメージしがちだけれども、
怪物には固有名詞はなくフランケンシュタインとは怪物を生み出した天才科学者(ヴィクター・フランケンシュタイン、主人公)の姓である。
物語の原題は正式には『フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウ -
Posted by ブクログ
ネタバレ1818年とは想像以上に昔の作品で驚いた。それでも古さを感じ無いし読みやすい。
フランケンシュタインと聞くとどうしても映画のイメージが先にきてしまって原作もB級ホラーなのかと思ったら全然違った。
命を生み出す側と生み出された側の心境の対比が物哀しい。
生み出す側はしっかり最後まで責任持たないと駄目だろう。そんなに醜悪な外見なら綺麗に整えてやればいいのに。自分が作ったものに対してこんなにも嫌悪感を示すとはなぁ。「なんでやねん、お前が作ったんやろが」とつっこまざるをえない。やはり創り上げたときは何かに取り憑かれていたのだろうか。
怪物の気持ちも痛いほど伝わってくる。心理描写や独白の場面は素晴 -
Posted by ブクログ
ネタバレフランケンシュタインの名前は聞いたことがあるし、あの人造人間のイメージは馴染みがあるが、その由来となった小説は誰も読まない、らしい。
アンパンマンにさえ出てくるのに。
たまたま本屋で出会ったので、読んでみることにした。
まずしょーもないこととして、
フランケンシュタインって、あの怪物の名前じゃないんかよ!
(怪物を生み出した青年科学者の名前です)
一通り読み、まずはフランケンシュタインの無責任さにイラっとする。自分の力を過信して、生命を作ったらそれが醜いからって部屋に逃げ帰って放ったらかし。なかったことにするな!
で、大切な弟が怪物に殺されたと確信しているのに、無実のジュスティーヌが処刑さ -
Posted by ブクログ
〔フランケンシュタイン豆知識〕
・怪物の名前ではない
・怪物を創り出したフランケンシュタインはマッドサイエンティストの博士ではなく、大学生
・怪物が読んで感銘を受けた書籍は『若きウェルテルの悩み』『プルターク英雄伝』『失楽園』
・最初は北極を目指す冒険家の話、その中でフランケンシュタイン、その中で怪物の話という入子構造になっている
・怪物はあまり暴れない、知的で感性の細やかな人間の能力を超える存在。しかも動きが早い。確実に絞殺する。
・フランケンシュタインは怪物を創造した良心の呵責から現実逃避してばかりであまり天才という感じの人物ではない。結果、予想どおり周りの人を怪物に殺されまくる。
・今な -
Posted by ブクログ
ネタバレSFの起源と言われている本作、『標本作家』で登場したこともあり、手を取りました。ザ・いつか読みたいとは思っていたが、読んだことがなかった本。
そして読み進めていくうちに、おそらくほとんどの方が思われている「えこんな話だったの…?」「フランケンシュタインって博士側の名前なんだ笑」などなど、思いながら読み進めました。
正直、怪物に同情してしまって、なんというか煮え切らないフランケンシュタインおまえ!!と思ってました。怪物ぅう…そしてこれはある意味BLだなとも思いながら…
「だがすぐに…自分は死に、今感じることももう感じはしなくなる。燃えるようなこの苦悩ももうすぐ終わる。自分は意気揚々と火葬の山 -
Posted by ブクログ
分類としてはホラーになるかもしれませんね
天才科学者 フランケンシュタインが、生命の真理を窮めて創りあげたものが怪物だった。やがて、知恵を持ち感情を持つことになる。
宗教色の強いこの作品は、キリスト教で言う創造物である人間を倫理を超えフランケンシュタインが名もない怪物・生命体を造ってしまった。それが是か否かは、わからない。
醜悪であるがゆえに、全ての人間に問答無用の如く忌み嫌われてしまう。やがて、怪物は自身を創造したフランケンシュタインに憎悪を抱き、復讐する事となる。
小説の著者 メアリー・シェリーは、パーシーやバイロンらと人造生命の可能性について語り合ったことが同作の着想のきっかけとなってい