森下弓子のレビュー一覧
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随分長く、読まずに置いてあった本。アナキスト思想の著作のあるウィリアム・ゴッドウィンとフェミニストのメアリ・ウィルストンクラスト。30年前の学生時代にこの夫婦のことを習う。その授業の際、娘がフランケンシュタインの作者とほんのチョッと紹介された。
作者メアリは詩人シェリーと駆け落ち。バイロン達と過ごすうち、怪談話を書くことになる。
ヴィクター・フランケンシュタインはマッド・サイエンティストと程遠く、彼を見守る父、幼い時から一緒に育つ許嫁、心許す親友、愛らしい弟に囲まれ、自身も心優しく、知性に溢れた人間。
彼の生み出した怪物は、体は巨大であるが、敏捷で、寒さにも強く、木の実などで腹を満たすことが -
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フランケンシュタインといえば、自分の世代では『怪物くん』かなぁと思います。ふんがー。名前はフランケン。
という刷り込みで育っているので、本来の物語ではフランケンシュタインは怪物を創造した科学者の名前で、怪物には名前がないと知った時は驚いたものです。この怪物が登場する作品のほとんどが、ふんがーの造形に近いのは、ホラーとしての需要が高いからなんでしょうね。初の映像化の時点で、この造形だったという話だった気がします。
原典であるこちらを読んで何より驚いたのは、怪物の知性の高さと、フランケンシュタインの無責任さ。
これも後世の様々な作品の影響かもしれませんが、狂気の科学者フランケンシュタインという -
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率直に言うと、ストーリーとしては然程「面白い」というわけではない。寧ろ似たような話をどこかで見たことがあるかな、という感覚があった。
しかし、これが19世紀に書かれた小説である、ということに思い至って、改めて驚いた。
「似たような話を見たことがある」ではなくて、「似たような話がいくつも作られている」というのが正解だった。
「SFの元祖」と言われるこの作品が、幾つもの小説や映画といった物語の雛形になっていることは言うまでもない。
実際、私も『屍者の帝国』からの流れでここに行き着いたわけだし。
「ヴィクターが創り出した『怪物』とはいったい何なのか?」ということがこの小説の最大のカギなのだろうけれ -
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「アルジャーノンに花束を」を読んだら、こちらを読みたくなったので数年ぶりに再読。
人が手を加えてはいけない一線を越えてしまった部分が共通していたからだと思います。
特にこの作品は人工物である怪物と対比するように描かれる自然の美しさや厳しさに凄みを感じるので
余計に人間が踏み入れてはいけない領域だったと思わされます。
初めて読んだ時も、2度目の今回も怪物に同情しながら読みましたが、
怪物が目の前に現れた時にとった人々の行動は、自分に置き換えて考えると否定できません。
それでも怪物が弁舌に長けていたのではなく、本当は愛情深い性格なんだと思ってしまうし…矛盾。
「人は見かけによらず」と言い切っ -
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2011.12.01
授業で扱っています。
「フランケンシュタイン」という言葉は知っていても、はたしてどれだけの人がちゃんと「フランケンシュタイン」を知っているのか・・・
フランケンシュタインって怪物の名前じゃないんだよ、作った化学者の名前なんだよ。
そして、怪物も私のイメージでは継ぎはぎだらけでネジとかも刺さってて、大きな屋敷に他の怪物と住んでるってイメージだったけど(ハロウィンとかにイラストにある感じ)、全然違った。
作者のメアリー・シェリーは、19歳の時にこれを書いたんだよな。考えられない・・・
読んでてハッピーになる感じではないよね。 -
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ネタバレ誰もが知っているフランケンシュタインという名の怪物の原作です。実はフランケンシュタインというのは怪物の名前ではなく怪物を創り出したある学生の名前なのです。読んでみるとこの怪物はもともとは心の優しかったのですが醜い姿のため創造主であるフランケンシュタインにも怖がられ憎まれ誰ひとりとして彼を愛してくれる人はいないのです。フランケンシュタインがものすごく横暴な人だと思うかもしれませんが彼はとても人間らしくあるときは情熱に燃え、あるときは自分の罪に苦しみ。あるときはすべてから逃げようともします。いやそれどころか、常に優しく、愛し合う人のいる一般人以上の人だったでしょう。怪物は自分が受けた苦しみをフラン