若山滋のレビュー一覧

  • 漢字文化圏の興亡―中国の限界、日本の前途―(新潮新書)

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    楔形文字、聖刻文字、甲骨文字、フェニキア文字などから始まる壮大な物語に、建築が絡んで何とも夢のあるストーリーが展開される.さらに宗教が関連してくる.そこから発生する文化、ヨーロッパと日本の比較で、積み上げる文化と組み立てる文化を紹介している.今世紀に至るまでアルファベットの西洋諸国が覇権を握ってきたが、これからは漢字文化圏(中国・日本など)が主導権を取る事なるとの予測.楽しめた.最後の日本の再興に関して社会制度の簡素化を提唱していたが、その通りだと感じた.

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    2026年08月14日
  • 漱石まちをゆく 建築家になろうとした作家

    Posted by ブクログ

     そういえば、夏目漱石の千円札がお役御免になった。考えてみれば、金に翻弄され、権威に反発した漱石が、お札になったということ自体が皮肉な話ではあったが、それもおしまい。漱石も肩の荷が下りたのでは。
     私が日本近現代史に興味を持ったそもそもの発端は、夏目漱石の伝記を小学時代に読んだことである。そこから歴史にはまり、現在にいたっている(なぜ文学にはまらなかったのか?いまだに小説を読むのは苦手なのだが)。とにもかくにも、漱石というのは大変興味深い人物なのである。
     著者は、漱石が建築家を志したというエピソードから、漱石の作品を建築という視点から読み解いていく。その結果、漱石が実によく町を見ているということが分かってくる。その観察眼が、作品にとって重要なモチーフになっていたりするというのだから、漱石というのは大したもんである(ちなみに文学者・漱石は、実は理数系の方が得意だったらしい。うらやましい話だ…)。
     また、漱石作品に現れる「南画的世界」と「洋風建築」という二つの空間の対比に、東洋と西洋との文化的葛藤、そのなかで苦悶する漱石を見出すというのも、建築家の著者ならではという感じがした。東洋対西洋という図式自体は誰もが語ることだが、それを空間の問題から論ずるのは、文学研究者では難しいのかもしれない。
     すぐれた作品は、いろいろな読み方が出来る。ということが分かる。
     著者の若山氏は名古屋工業大学教授・工学博士。『風土から文学への空間』・『「家」と「やど」 建築からの文化論』・『建築へ向かう旅 積み上げる文化と組み立てる文化』など、建築と文化に関する論考が多い。本書は江頭淳夫(江藤淳)に私淑した著者が、恩師に捧げようとした一冊である。

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    2009年10月04日