安東量子のレビュー一覧

  • スティーブ&ボニー

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    官公庁が相手の打ち合わせで、技術畑でない方としばしば同席する。そのなかで彼ら彼女達が求める立場的な「事情」に、建築の技術者である私は工学的な「正しさ」をぶつけてしまったことがある。もちろん反応は鈍く、その後の気まずさは言葉にし難い。この本に沿って言えば、砂漠の強風で舞った砂をジャリっとやってしまう感じだろうか。

    “けれど、「わかりあう」ことは、見解を一致させることを意味するものではない。人と自分は違う。違いにはそれぞれの理由も事情も考えもあって、かんたんにどちらかがまちがっているといえるものでもない。誰だって人間は、他人には測ることのできない側面を抱えているものだ。
    「わかりあう」とは、その

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    2023年01月21日
  • 海を撃つ――福島・広島・ベラルーシにて

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    NHK Eテレで紹介あり、著者が語る淡々と語る、あの日から福島での日々。静かに怒っているというお話に、思わず引き込まれました。海を撃つ、という言葉の意味合いも最後にわかり、その重さを受け止め兼ねております。小松理虔さんの新復興論と合わせて読んでゆきたい本でもあります。★五つ

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    2021年06月26日
  • 海を撃つ――福島・広島・ベラルーシにて

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    福島第一原発事故による放射能汚染にどう向き合えばいいのかという素朴な問いの一つの答えは、何はともあれまずは線量を測ることからだと、自身も携帯用の線量計を身に付けながら、汚染の実態がわからず不安を感じている住民に、少しずつ線量観測することを広めていく。それは、筆者がチェルノブイリ原発事故後の対応を、実際にノルウェーとベラルーシのそれぞれ現地を訪れることから知り得た答えでもあった。
    いま、世界は新型コロナウィルスの感染脅威にさらされている。有効なワクチンもないまま、とりあえずは自衛するしかないという状況の中で、唯一確かなことは、筆者たちが放射能汚染の実態を知るために線量計を携行して実態を確認したよ

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    2020年07月22日
  • 海を撃つ――福島・広島・ベラルーシにて

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    筆者の安東量子さんは、広島のご出身であるが、福島ご出身の方とご結婚され、開業のために福島県いわき市の山間部にお住まいになっていた時に、震災を経験される。
    現在、「ETHOS in Fukushima」という団体の代表を務められているが、その団体のHPには、団体の目的が下記の通り記されている。
    【引用】
    原子力災害の福島で暮らすということ。それでも、ここでの暮らしは素晴らしく、よりよい未来を手渡す事ができるということ。自分たち自身で、測り、知り、考え、私とあなたの共通の言葉を探すことを、いわきで小さく小さく続けています。
    【引用終わり】
    この文章の中に言及されており、また、本書「海を撃つ」の中で

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    2023年06月06日
  • 海を撃つ――福島・広島・ベラルーシにて

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    「ここで暮らしてきたのだ。ただここで」

    理屈ではない。数字でもない。
    ただここで暮らしてきたという事実。

    誰も決めることはできない。
    その人の価値を。
    その人が愛する庭を。
    その人が愛する土地を。

    故郷を失うということが、これほどまでに、つらく、そして複雑な感情を引き起こすのか。

    「支援」というものの難しさを実感する1冊。

    相互の違いを埋め、信頼を生み出すための魔法があるわけではない。愚直に足を運び、困りごとを聞き、一緒に考える。それしかできないのかもしれない。

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    2022年01月23日