下野新聞社編集局のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
誤った捜査、誤った弁護、誤った判決。それによって奪われた17年半
に対して、刑事補償法で算定された金額は約8000万円。それに裁判
費用を加算し、再審無罪となった菅家利和さんに対して約9200万円
が支払われた。
不当に拘束されていた期間は、いくら金銭を積まれても帰って来ない。
だが、計り知れない苦しみの中で過ごした期間は金銭に換算するしか
手段がないのも現実なのだ。
栃木県足利市のパチンコ店の駐車場から姿を消した少女が、渡良瀬川の
河川敷で遺体となって発見された。後にDNA型の一致から菅家さんが
犯人とされ、裁判で無期懲役の判決が出た事件。
再審無罪が決定した時、そ -
Posted by ブクログ
冤罪を生んだ最大の原因は当時のDNA型鑑定の不確かさであるが、もう一つの原因は足利警察署の刑事達が菅家さんを犯人と頭から決めつけて、有無を言わさなかった暴力的で強引な取調べにある。
菅家さんは自らの著書でもその暴力性を強く訴えていて、植え付けられた恐怖心が後々まで無実を言い出せなかった心理状態を生んだと言える。
他の冤罪事件でもこのような暴力的な取調べが数多くあるにもかかわらず、本書ではその点の追究がなく警察側の言い分をそのまま掲載してしまっている。
それ以外の点は十分まとめ上げているだけに、警察への批判が腰砕けになっていることが非常に残念である。