石川輝吉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
哲学を齧ろうと思っても、いきなり原書に飛びつくというのは私のようなものには難度が高すぎる。なので、入門書の存在というのはありがたい。
哲学者自身にも人生があるわけで、その中で考え方も変化していくのだから、著者の作品がその思想の変遷の中でどの段階にあたるのか理解しておくことは重要で、本書はその一助となる。
「ルサンチマン」、「ニヒリズム」、「永遠回帰」、「力への意思」という、ニーチェを学ぶ上でのキーワードもかなりわかり易く噛み砕いて書かれているのでイメージをつかみ易い。もっとも、後期の思想は纏まっていない断片を集めて解釈していく必要があるとのことなので、人それぞれで考えることも異なるだろう。だか -
Posted by ブクログ
ニーチェの思想をわかりやすいことばで解説している本です。
著者は、「超人」を説いていたはずのニーチェの思想を、むしろ「小さな人間のための哲学」だと規定しています。ルサンチマンをかかえた小人たちに対するニーチェの容赦のないまなざしは、そうした人間の心の働きを内側から理解する者に特有のものだと著者はいい、それゆえ彼の思想は、彼とおなじ弱さを抱えたひとへのメッセージとして読むことができると考えます。ここには、モラリストの系譜のなかにニーチェを位置づける解釈に通じるものがあるように思います。
一方、「永遠回帰」の解釈では、著者が大きな影響を受けている竹田青嗣のニーチェ解釈を下敷きにしているようです